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2018年10月13日土曜日

2018.10.13 錫杖岳

錫杖岳

今回は4人での山行であったので、2パーティに分かれて登攀した。
以下にそれぞれのパーティの行動記録を書く。

メンバー:縄(L)、畑中(記録)
天気:晴れ時々曇り

行動概要
起床 0540 = 出発 0630 = 左方カンテ取り付き 0700 = 登攀開始 0720 = 7P終了点 1030 = 懸垂下降終了 1138 = 1ルンゼ取り付き 1200 = 登攀開始 1220 = 8P終了点 1615 = 懸垂下降終了 1845 = 1930テント場着


朝、畑中がセットしたアラームに気づかず寝坊してしまう。前日からの天気予報が芳しくなく時間との戦いになることが予想されていたので一同焦って出発する。左方カンテ取り付きに着くまでにあるはずの1ルンゼ取り付きまでの道との分岐は倒木でわかりにくくなっていた。取り付きに到着するとせっせと準備して登攀開始。この時点で我々2パーティーの後続に1パーティーいた。結果論になるがここで一番に登攀開始できたことは大いにラッキーであった。奇数ピッチ縄、偶数ピッチは畑中リード。中間支点は6P目のチョックストーン超え前のハンガーボルト以外は全てナチュラルプロテクション。カムのサイズは#0.3-#4まで全て使用した。ビレイ支点はハンガーボルト又は木でとった。1,2P目は顕著な凹角沿いに進む。2Pで開けたテラスに出て、3P目は目の前にピナクルを超えてバンド状のスラブを2mほど左上しその後右にトラバース。バンド状スラブはホールド、スタンス共にあるが高度感もあり緊張する。トラバースの箇所は良いスタンスを見つければそれほど難しくないはずだ。4P目は少し右に歩いたのちに目の前の顕著なチムニーを登る。ここは前日までの霧雨の影響もあってかなり濡れていたが、チムニーのため然程恐怖感もなく突破する。5P目は4P目終了点から見えるコーナーの左のフェースを登る。フェースのみから中間支点をとろうとすると最初の支点まで少しランナウトしてしまうので不安であればコーナーからカムをスリングで伸ばして取ることもできそうであった。その後易しいカンテを登って大きなテラスに出て終了。ここから核心の6P目である。初めのチョックストーン超えはバックアンドフットのチムニー登りでなんとか解決。いくつかのチョックストーンの中には動くものもあるので注意が必要である。そこから右の壁も使いながら徐々に左の壁のフェースに移っていく。クラックがいくつも走っていて中間支点は取りやすい。カンテに到達してそれを乗り越えてリッジの左に移るが、ここの乗り越えが結構悪くて緊張する。カンテ超えて少しスラブを登ると、テラスになるので終了。7P目は目の前にあるスラブを潅木の間を縫いながら登る。濡れていて少し緊張するが難しくはない。8P目は省略することに決めて、ここで左方カンテ終了。注文の多い料理店に沿って懸垂下降して、4回でしたに降りられた。時間的に余裕があったので1ルンゼも登ることにして移動&休憩。そして登攀開始。初めは2Pくらい登って終わりくらいに思っていたが、予想されていた天気の悪化が一向にその気配が無いので、様子を見ながら完登できそうなら最後まで行っちゃおうということになった。こちらもリードは奇数が縄、偶数が畑中。支点の状況もほぼ同じだが、こちらでも6P目に中間支点としてハンガーボルトを使用した。1P目はルンゼ左のカンテ(フェース?)を登る。終了点がわからず結局途中のピナクルとカムで支点を形成する。2P目は登り始めてすぐの縦にクラックが走った垂壁くらいの壁を越えると、簡単になってすぐにビレイ支点。途中ハンガーボルトの支点があるが、その奥のハーケンで作られた支点まで登ってから終了した方が、次のピッチとの接続と足場はいい。3P目は簡単なルンゼ沿いに登りV字状岩壁に突き当たるまで進む。ビレイ支点はたくさん作ってあるが、全て大して強固でも無いので補強したりするのも良い。4P目はV字状岩壁の左の凹角を登り、広いテラス状の場所に出たら終了。5P目は大部分が水流で濡れていて、どこを登るか難儀したが、結局壁の右端を登ったのちに左にトラバースしてボルトがあるので終了。4,5P目はロープの長さからすれば接続可能だが、ロープがめちゃくちゃ重くなるらしいのでオススメしない。6P目も初めは左にぐんぐんトラバースしていき、頭上の凹角が出てくるのでそこを登り、傾斜が落ちたところで終了。このピッチはⅣ程度だが、少し緊張する。7P目は目の前のスラブを登ったのちにハングを右巻きする形で登り外傾したテラスに出て終了。8P目は初めは凹角沿いに登り、その後右の壁に移るらしいが、今回畑中はそのまま凹角を詰めてしまい悪い草付きを登ることになってしまった。終了点は木で取ってあって、捨て縄が何重にも巻かれていた。そこで1ルンゼは終了。下に池田さん達がいたので一緒に懸垂下降5回で下に降りられる…はずであった。2回目の懸垂下降を終えて、ロープを回収しようとした時に最悪の事態に気づく。結び目を解くのを忘れていた。運にかけてぐいっと引っ張ってみるがやはり抜けてくれるものでは無い。仕方ないので畑中が7P目をロープ一本でリードし直して上でロープを連結させ懸垂し直す。ここで大分時間をロスしてしまった。猛省である。その後は何事もなく懸垂下降し地面に降り立つ。最後の3Pはほぼ真っ暗闇の中での懸垂であった。恐怖。帰り支度をして踏み跡を辿りテント場に戻る。倒木がひどくてかなり歩きにくかった。テント場では達成感とともにワイワイ楽しんで就寝。良い山行であった。

メンバー:池田(L)、近江(記録)
コースタイム:07:50 登攀開始-11:20 6ピッチ目終了点-12:40 懸垂終了-13:00-1ルンゼ取り付き-13:15 登攀開始-16:30 6ピッチ目終了点-18:45 懸垂終了

 元々左方カンテと一ルンゼのみ登ることになっており、前日に雨が降ったので比較的乾きやすい左方カンテを登ることになった。
【左方カンテ】
1ピッチ目(III40m
ルンゼを登っていく。カムや立木で支点を取りながら登る。池田リード。
2ピッチ目(IV40m
ルンゼを登る。近江リード。
3ピッチ目(V30m
ピナクルを登理、バンドに沿って左から回り込んだのち、スラブ状フェースを右上。バンドのところでカムが使える。
4ピッチ目(II20m
バンドに沿ってチムニー入り口まで歩く。近江リード。
5ピッチ目(IV+30m
チムニーを登る。濡れていたがしっかりとしたホールドがあり、足の置き場などにも困らない。フォローの池田さんは背負っているザックが邪魔だったらしい。近江リード。
6ピッチ目(IV+40m
ルンゼ左のフェースを登る。最初は支点が取り辛い。スタートから4mくらいのところのバンド状のところにカムが決まる。池田リード。
7ピッチ目(V+40m
チョックストーンを取ったのち、チムニー、左壁乗越、カンテ。チョックストーンと取るのは大変だが、すぐ横に生えている木を使うと楽になった。チョックストーンは少し浮いているように感じた。順番的には近江リードになるはずだが、ここは難しいピッチなので先輩の池田がリード。

 本当はあと2ピッチあるのだが、もう核心は過ぎていることといま降りれば日の入りまでに一ルンゼも登れそうであることから注文の多い料理店に沿って3ピッチ懸垂下降する。
 下降したら沢に沿って下り左に行くと踏み跡に合流するのでそのまま一ルンゼ取り付きへ。午後になると一ルンゼもまあまあ乾いてきていた。
【一ルンゼ】
1ピッチ目(IV30m
ルンゼ左のフェースを登る。トポ上の終了点(ハングのすぐ手前)の手前が難しく、私にはどうにも登れなかったので池田さんに任せることに決め、そこでピッチを切った。近江リード。
2ピッチ目(V+20m
先ほど手間取ったところは足の位置を変えることで比較的容易に突破できた。登れなくてもテンパらず冷静さを保つことが大切だと悟った。ハングを抜けてすぐのところのハンガーボルト2つのビレイ点でピッチを切る。少し上にも終了点があるが、そこはリングボルトなのでこちらの方が良い。池田リード。
3ピッチ目(IV45m
ルンゼを登る。リングボルトの後が少々大変である。私はまず左のほうを少し登り右に移動してまた登った。そこを過ぎれば後は歩きに近いが、50mロープで結構ギリギリの長さであった。近江リード。
4ピッチ目(III20m
左のスラブを登る。池田リード。
5ピッチ目(IV30m
真ん中は水が流れていたので、スラブの右のほうを登っていき、最後に左へトラバースした。トラバースはびしょ濡れなので慎重に行った。フォローのためにもトラバース途中で支点を取りたかったが、なかなか上手く取れる場所がなく一応ちょっとした突起にスリングをかけられた程度であった。近江リード。
6ピッチ目(IV40m
左にカンテを超え、凹角を登る。結構恐ろしく、難しく感じた。凹角を登る途中で木が生えており、これを掴むと安心できる。池田リード。

 日の入りの時間が近づいていたため、これで終わりとし、下降を始めることにした。4ピッチで降りた。まずは登り6ピッチ目の左にカンテを超えたところの懸垂支点まで。次は登ってきた凹角を左側に乗越したところにあるテラスまで。その次は2ピッチ目終了点のハンガーボルトまで降り、最後は取り付きまで。懸垂2ピッチ目が終わった頃にはすっかり暗くなっており、暗闇の中下降する恐ろしさを体感できた。荷物を整理し、ヘッデンの光を頼りに悪めの道を降り、無事帰幕。

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