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2020年3月23日月曜日

2020/3/23-26_剱岳早月尾根

剱岳 早月尾根

日程:3/23-26

メンバー:縄(3,L)、畑中(3,SL,記録)、箱守(3,食料)、福田(2,装備)

1日目

天気:快晴のち曇りのち雪

6:45 伊折
9:15 番場島
14:50 1700m地点



夜行バスに揺られて富山駅へ。そこから上市まで電車で行き、その後伊折までタクシー。約8000円。


いよいよスタート。林道の前半にはほとんど雪が無く、剱岳に向かっているという実感が湧かない。初めはクロックスで歩いていたが途中から雪が出始めたので登山靴に履き替える。そんなこんなで2時間ほど歩き馬場島に到着。富山県警の方に挨拶をし諸々の確認を済ませていざ登山開始。


最初の急登の階段は夏道が出ていたが、松木平手前まで上がるとラッセルが腿あたりになったので、松尾平の平坦な場所へはトラバースせずに雪の少ないリッジ通しに進む。
ラッセル
その後もワカンに履き替えたりしながら1700m地点で幕営。富山湾が見えて景色がとても良い。

1700m地点の幕営地



2日目

天気:風雪


6:00 起床
8:20 幕営地発
11:30 早月小屋



今日は天気も悪く夜まで風が強い予報だったので早月小屋までしか登らないことにして、遅めの出発。


ひたすらラッセル。初めはワカンで進んだが、硬い雪の層がありワカンだと歩きにくくなったのでアイゼンに履き替える。ワカンによる浮遊力を失ってしまい踏み抜き地獄となりなかなかに辛い。たまに下の地面までぽっこり空いている大穴が出てくるのでヒヤヒヤする。



3ピッチで早月小屋に到着。雪を掘りしっかり風防ブロックも積んだアタックキャンプを完成させる。時間があったのでトレースを付けに行こうか迷ったが、依然として天気は悪く効果が薄いとして結局行かなかった。
早月小屋脇の雪壁で遊ぶやつ



3日目

天気:快晴


3:30 起床
5:00 早月小屋発
5:45 2480mピーク
6:35 2614mピーク
7:30 約2800m地点
8:25 剱岳山頂
8:45 剱岳山頂発
9:00 カニのハサミ、25m懸垂ちょうど
9:40 約2800m地点、25m懸垂ちょうど
10:20 約2720m地点、50m懸垂ちょうど
10:40 約2650m地点fix開始、約50-60m
11:10 約2650m地点fix終了
11:50 2480mピーク、大休憩
12:15 2480mピーク発
12:45 早月小屋




いよいよアタック日。空は快晴。


メンバーの1人が口にした「星が近い。」という文言。詩的でいい表現だと思う。
富山湾に沿った夜景が綺麗


最初は昨日と同じくラッセルとなったが、すぐに硬い氷化した雪面が現れる。2480mピークに登ると、剱岳の西面がかなりの威圧感で迫ってくる。北方稜線も小窓尾根も剱尾根も早月尾根も全て見える。否応なしにテンションが上がる。
剱岳西面

早月尾根上部


休憩後再び出発し少し進むと鎖がある岩場に出会すが、ここは難しくない。しかしその直後数メートルはナイフリッジなので要注意である。その後しばらくは小岩壁や雪稜が続くが基本的に池ノ谷側の雪面を進む。所々傾斜が強く、雪も硬い。そうこうしているうちに2614mピークに突き当たるが、尾根伝いは難しそうなので池ノ谷側を巻く。池ノ谷側斜面は雪崩の心配もあり通過距離を短くしたいので出来るだけピークに近付いてから1人ずつトラバースする。かなりの強風で雪煙が顔に当たり痛い。
2614m峰トラバース終了後
雪煙が舞う

2614mピークの後は、傾斜の強い氷化した雪面と雪稜が交互におおよそ3回現れる。確実にアイゼンとピッケルを効かせながら登っていく。ダブルアックスの方が登り易い。






所々現れる急な雪壁

そのまま登ると岩峰に突き当たり、そこで風も避けられるので休憩。その岩峰の池ノ谷側を巻くとすぐに獅子頭となる。リッジ伝いに進むがそのままでは降りられそうにないので、池ノ谷側に少しクライムダウン&トラバース。昨日の降雪で隠れてしまっているが、ここも下の層がカチカチに氷化しているので慎重にアイゼンの前爪を蹴り込む。その後すぐにカニのハサミとなるが、ここはそこまで凍っておらずアイゼンがサクサク刺さるのでロープを出すか少し迷った後に結局出さずに登る。縦走路に合流しリッジを進むとすぐに頂上に着いた。登頂、かなり嬉しい。景色が良く、写真を撮りまくって大休憩。
頂上
剱沢
八ツ峰
集合写真、遠すぎた
自撮りしてみる

そして下山開始。結果として早月尾根の核心は登りではなく下降だったと思う。ロープを出したのは合計4回。カニのハサミと先述した3箇所の氷化した雪壁である。カニのハサミは岩にかかった残置スリングで約25mの懸垂。50mロープでギリギリだった。

頂上から見て雪壁1つ目はハイマツの根に括り付けられた比較的新しい残置スリングでこちらも25mちょうどの懸垂。
25m懸垂

雪壁2つ目は、ハイマツの根を支点として持参したスリングを巻き付け約50mの懸垂。
50m懸垂

雪壁3つ目は、1人目がビレイをして貰いながらクライムダウンをし、ロープを固定して2,3人目はfix通過。4人目はクライムダウンという方法をとった。理由としては懸垂下降に使える支点が無く、また50mで足りるか分からない上に途中でピッチを切れるかも分からなかった点等が挙げられる。4人目のクライムダウンは相応のリスクがあるがダブルアックスを持ったメンバーを当てることでそのリスクを可能な限り小さくした。


以上のロープを出した4箇所の後は特に難所もなく慎重に下るだけだ。しかし視界が無かったりすると道迷いや雪庇踏み抜き等その難易度は格段に高くなると思われる。


2480mピークに戻ってくると天気も良く展望も良いのでゆっくりと休憩をする。


ひたすらに綺麗
剱尾根と小窓尾根がいかつい

なんなら今日このまま馬場島まで下山できるぞ、なんて話をしたがやはり好天のなかでゆっくりと剱岳を堪能することにした。早月小屋に戻ってくるとシュラフを干したり靴を乾かしたりしながら長閑な時間を過ごす。夕方には荘厳な雲海も見ることができて、本当に幸せな長い1日だった。
雲海
長閑な時間



4日目

天気:快晴


5:00 起床
6:50 早月小屋発
7:45 1700m地点
8:45 1050m地点
10:10 馬場島
12:45 伊折



起床後すぐに星空を撮影するためにメンバーがテントから出たが、夜明け前は生憎の高曇りで星空は見えなかった。残念。


パッキングを済ませ、下山開始。硬い雪を踏み抜くと沈む上に硬い雪の層がストッパーとなり脛や膝がスタックして当たって痛い。登りはあんなにラッセルしたのに下りはすぐに済んでしまう。でも松尾平の平坦なところは踏み抜きまくってめちゃくちゃ辛かったです。そしてとうとう無事に馬場島に到着。有名な"試練と憧れ"の石碑で記念撮影をし、富山県警の方々にも下山報告を済ませ、快晴の中ゆったりと休憩をする。この下山後ののんびりとした時間、幸せ。
お疲れ様でした

伊折までの林道は完全に除雪されていてかなり楽になっていた。ありがとうございます。伊折からタクシーで上市まで送って貰い、帰路に着いた。
お世話になりました



2020年3月18日水曜日

2020/3/18-19_妙高火打BCスキー

妙義火打BCスキー 記録
メンバー:L縄(3)、吉田(3)、嘉村(1, 記録)


1日目
天候:晴れ

10:10 杉ノ原スキー場上部
12:00 外輪山稜線
13:20 カルデラ
16:00 大倉尾根
17:15 幕営

 前夜青春18切符で妙高高原駅に向かい、そこでステビバとなった。改札の外にある待合室は電気こそ消えないものの暖房が付いており、さらにWiFiもあるという間違いなく過去最高の環境だった。上部のリフトが10時前にならないと動かないということもあり、当日朝はゆっくりの出発。妙高高原駅からはタクシーで杉野原スキー場へ、そしてゴンドラ、リフトと乗り継いで上部に向かう。到着後、いざ板にシールを付けるというタイミングで嘉村のシールの留め具(BW、stsキット)のプラスチックの部分が破れてしまった。とりあえずその日中はテーピングでしのぎ、夜修理することとなった。

 最初の危険箇所、沢の横断は問題なく通過。全体として天気も良く雪質も非常に素晴らしい中でシール登行出来たのだが、嘉村と吉田はふかふかの新雪でのシール登行は初めての経験ということもあり、非常に苦労した。特にラッセルに関しては、縄は「そんなにしんどくないで〜」と言いながら軽々こなしていたが、実際にやってみると足先が雪に埋まってしまうなどなかなかうまくいかず、かなりキツかった。

奥に見えるのが最初の沢

 外輪山稜線から妙高山カルデラへの滑走では、嘉村にとっては初めての本格的な山スキーということもあり緊張を伴うものであった。やはりインザックを背負っての新雪の滑走はとても難しく、途中で何度も転んでしまったが、誰もいない雪面にシュプールを付ける快感は得難いものであった。

外輪山稜線からの妙高山

その後ほぼ平坦なカルデラの中を進み、頃合いを見て大倉尾根に登った。斜面がやや凍っておりひやりとする瞬間もあったが、段々と慣れてきたように思える。吉田はシール登行でのターンに苦しんでおり、最終的にシールを外して登っていた。その後大倉乗越から滑走し、黒沢池ヒュッテで再びシールを付けシール登行。ここで嘉村が足の疲労に靴擦れが重なり疲労がかなり溜まっており、しんどい局面だった。その後茶臼山から軽く滑走して高谷池ヒュッテを探したが、なかなか見つからなかった上に日も沈みかけていたので、適当な場所で幕営した。どうやら滑走時に下りすぎていたようだった。テント内でシールを修理し、明日のアタックに備え就寝。

大倉乗越 ここから幕営地へ滑走

※  実は、嘉村の板&シールはOBの方から譲り受けたもので、頂いた時点でもう片方の留め具が既に同じ壊れ方をしていた。その修理を前々日にしようと神田のIスポーツに向かったが、在庫が無く、その後神田の山スキーを取り扱う4,5店舗に問い合わせたがどこも在庫がない状態であった。3月という時期に加え、最近では部品を取り扱う店が非常に少なくなっているとのことだった。結局出発日当日に神田のたまきスポーツというお店が取り扱っているという事で、時間もなかったので部品だけ購入し、車内で自分で修理していたのだ(キットを金属の留め具にはめ込むだけなので、ナイフなどを用いれば自分で出来なくもないのだ)。

幕営地での夕焼け


2日目
天候:晴れ後曇り

  7:10 出発
  9:30 火打山登頂
10:00 滑降終了
11:00 天狗の庭北面滑走スタート
12:30 帰幕
13:00 幕営地出発
15:00 三田原山山頂
17:50 下山

 出発早々に高谷池ヒュッテを見つける。どうやら他にもパーティがいるようだ。最初の平地を順調に歩みを進めると雄大な火打山が目の前に見えてくる。こんな所を本当に滑れるんだろうか⁉︎と思いつつ徐々に登り始める。アイス気味になってやや恐怖を感じ始めた1ピッチ目終了時にスキーアイゼンを装着。火打山の手前で一旦平らになり、再び登り始めるところでアイゼンに履き替える。前日からの靴擦れが余計に痛く、やや辛かったが順調に登り、無事登頂!

3人で撮りたかった、、

 ホッと一息休憩を挟み、いざ滑走へ。サブザックということもあり前日よりは怖さはなくなっていたが、やはり最初は非常に恐怖を抱いていた。しかし、滑り始め、ゆっくりターンしていくと、素晴らしい展望の中、山頂からシュプールを描く素晴らしさに包まれ自然に興奮に変わってゆく。あっという間に下ってしまい、物足りなさを感じるほどであった。



 














僕たちだけのシュプール

その後は時間もあったので天狗の北面も滑走した。徐々にではあるが、新雪に慣れ始め、程よい斜面ということもあり純粋に滑走を楽しむことが出来た。もっと新雪での滑走を練習したい。

BCスキー初心者でも楽しめる斜面でした

帰幕し、メインザックを背負い下山する。黒沢池ヒュッテからは三田原山への急登だが、湿雪でシールにどっしり雪がひっついてしまい、足が今までの何倍も重く、思うように進めない。先頭のラッセルはさらに苦労し、ほとんど力になれなかった。振り返ればここでの登りがこの山行で一番しんどかったと思う。なんとか登り切り、そこからは滑走するだけかぁとホッとしたのも束の間、そこからもまたしんどい時間帯だった。まず足が疲労しきっており体重を支えるので精一杯、そしてしかも長いトラバースに加え樹林帯で雪質もあまり良くなく、あまり気持ちよく滑れる状況ではなかった。さらに、下部で一番危険度が高い沢の横断において、滑走するには斜度が大きいということで板を外して横断することになった。

 こうしてヘトヘトの状態でなんとかゲレンデ上部に帰還した。しかし日が沈みかけているということで急いで滑り降り、なんとか日が沈む前にゴンドラ乗り場に戻ることが出来た。最後はゲレンデの圧雪された斜面でさえパラレルではなく八の字で下っていくざまであった。これを機に筋力増強に励みたい。

2020年3月8日日曜日

20200308_木曽駒ケ岳


2020/03/0809 木曽駒ケ岳(西駒ケ岳)

メンバー:L箱守(3)、近江(3)、松坂(1)(記録)



今回の山行はもともと中央アルプスの縦走の予定だったのですが昨今の諸々の世間の事情を考慮して、やむなく木曽駒ケ岳のみにしたものです。なぜ木曽駒ケ岳にこだわったのか。私は計画者ではないので察することしかできないのですが、きっとしらび平から千畳敷に通じる駒ケ岳ロープウェイが運休していたからでしょう。駒ケ岳ロープウェイは基本通年営業ですが、今はロープウェイ支柱の変形により運休しています。したがって、千畳敷には人が皆無のはず。人のいない木曽駒は珍しい。



3/08
天候:雪
10:50ゲート
11:15桂小場11:40
13:10野田場
14:05大樽避難小屋
14:30幕営地2250m地点
新宿から高速バスで伊那バスターミナルへ。すでに雨が降っていたのでバスターミナルで準備してタクシーにのって冬季ゲートへ。冬季ゲートでも雨が降っている。桂小場の登山口までの林道は今朝降ったであろう雪に覆われていた。桂小場から登山道に入っていく。桂小場から馬返しまでは樹林帯のつづら折りの道であり、とても単調だった。馬返しから先は尾根上の道をいく。ところどころ急登があったが、しばらくして大樽避難小屋につく。大樽小屋にとまるか話し合っていたが、大樽小屋に泊まるのはあまりにも甘ちゃんだということと明日の天候を加味して、もう少し先でテン泊することにした。



3/09
5:20出発
7:20将棊頭山
9:20木曽駒ケ岳9:57
11:10伊那前岳
15:10北御所登山口
16:50駒草の湯
ヘッドランプをつけて暗いうちから歩き出す。昨日の雪で少しばかりトレースが消えていたが、あまり問題なく進んでいく。稜線上で日の出を見たかったが、尾根を登っている最中に太陽がでてきた。森林限界に出る前は雪がある程度柔らかかったが、森林限界にでると雪面がクラストしており、歩きやすい。この日の天気は無風快晴で天気もいい。中央アルプスの稜線上は風が強いと聞いていたので拍子抜けだった。何度かピークを上り下りして、将棊頭山へ。木曽駒ケ岳が長い稜線の先によく見える。すごく遠くに感じる。
稜線の先に木曽駒ケ岳
貸し切り状態の稜線



一旦下ってから、木曽駒に向かって登り返していくが、時折なかなかの急登。しかし、危険な場所は特になく、歩き続けていたら馬の背まで上がっており、少し歩けば山頂だった。雲一つない綺麗な青空で四方の山々がよく見渡せる。ただ暖かい、というか暑い。ロープウェイが止まっているからか人が他に一人もおらず、我々の貸し切り状態だった。一通り山頂を満喫した後、下山開始。斜面を下ったのち、中岳を登り返す。最初はトラバースしていけるかなという感じだったが、無理そうだったので途中から登り返した。宝剣山荘までくると千畳敷の様子が見えるようになる。人が全然いない。ただ除雪している人はいた。伊那前岳までの登り返しは雪が少し深く、またアイゼンに雪が多くつき面倒くさかった。伊那前岳から先は踏みぬきが多く、暑さも相まって頗る疲れた。うどんや峠から先は雪も少なくなり、踏み抜きはなくなり、夏道が顔を出すほどになってきた。蛇腹沢登山口から北御所登山口までは林道だったが結構整備されていた。北御所登山口からバスで帰る予定だったが、バスが土日祝日しか運行しておらず、駒草の湯まで歩いた。