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2022年8月12日金曜日

20220812_剱岳源次郎Ⅰ峰側壁成城大ルート

 20220812_源次郎Ⅰ峰側壁成城大ルート

 

メンバー:L福田(OB)、土田(4)

天候:曇り時々雨

 

 

4:00 剱沢出発

4:40 源次郎尾根取り付き

6:45 成城大ルート取り付き

7:00 登攀開始

9:55 源次郎Ⅰ峰

12:40 源次郎尾根取り付き

15:00 剱沢

 

 

朝食の素麺が想像以上にキツく(量が多く尚且つ不味い)、気分が上がらない中、剱沢を4時に出発する。お盆期間中とあって多くの人たちが剱沢を出発している。剱沢雪溪を降っている最中に源次郎尾根に向かっている多くのパーティが見え、渋滞を覚悟する。福田さんは去年の記憶が蘇ってくるようだ(2021夏合宿源次郎尾根の記録を参照)。源次郎尾根取り付きでアイゼンとピッケルをデポして尾根を登り始める。取り付きすぐの岩場で先行パーティに追いつき岩場を超えた少し先で先を譲っていただく。また次の岩場でも先を譲っていただいた。この岩場が案外悪く、ちょっと怖いが執念で突破。尾根末端から1時間ほどで縦走路と別れるポイントに到着。小休止をとって踏み跡を辿る。しばらく進むとルンゼが出てきてそこを下る。ほんの少しルンゼを降りると、すぐトラバースする踏み跡があるのでそれを辿る。途中踏み跡が消えかかるが、ハイマツの中をかき分けて進むと草付きに出て、そこをトラバースすると中央バンドに出る。あとはバンドを登っていけばハーケンが打たれているテラスに出て、テラス右側のルンゼが1p目となる。有難いことに私が4p目のリードをさせていただけることになったので奇数ピッチを福田さん、偶数ピッチを私がリードすることにした。


源次郎尾根取り付き


中央バンドまでの藪漕ぎ



中央バンド


 

 

1p目 福田

 

取り付き右側のルンゼを登り、草付きを登る。福田さんは3回目とだけあって、あっという間にビレイ解除のコール。終了点はそこそこ広いテラス。

 

 

2p目 土田

テラスから右に移り、カンテ状のフェースを登る。カンテが2~3枚あってどこを登ればいいのかあまりわからなかったが簡単そうなところから登る。終了点はハイマツテラスと呼ばれる広いテラスだが、あんまり「ハイマツ」という感じはせずただの広いテラス。

 

3p目 福田

 

テラス左側のカンテの左を登る。足でうまくステミングっぽいことをして登ることができ楽。終了点はそれなりに広いテラス。3p目終了時点で登攀開始から1時間経過していた。




テラスに乗り越すところ


 

 

4p目 土田

 

このピッチがこのルートの技術的核心となるピッチである。自分が想像していたよりも斜度はないが、非常に開けた岩場ではあった。ビレイポイントからTUSACの2019年夏合宿で崩落させてしまった箇所の痕跡がはっきりとわかった。3年経った今でも遠くからわかるほどの大きさであったので相当な崩落だったのでしょう。

 

トポ(日本の岩場下巻)ではピッチ終了点からすぐにトラバースする図になっていたが、まず5m弱直上する。そのあとフレークがあるところまでトラバース。トラバースを始めるところまで全くプロテクションが取れないので少し怖い。トラバースを終えるとフレークをつかみながら直上。左のフレークにカムがよく決まるし、足を突っ込むことができるので安心。フレークを抜けた先で再びトラバース。このトラバースがこのピッチの中一番緊張した気がする。トラバースをした後、残置が連打されている箇所があるが次のピッチのロープの流れを考えてもう少し左上して、(半分浮いた)綺麗なボルトのある箇所でピッチを切る。このビレイポイントは他のピッチのビレイポイントと違ってテラスと呼べるほどのものでなく、ものすごい露出感のある場所であった。

 

さて、実はこのピッチの終了点につく直前で雨が降り始めた。福田さんは雨が降る中、慎重に登っていたが、さすが3回目とだけあってすんなり登ってきた。




最初のトラバースを終えたところ


 

 

5p目 福田

 

ビレイポイントから少し左にトラバースしてそこを直上。再度左にトラバースして草付きのルンゼを登り、最後はハイマツを藪漕ぎするピッチ。雨のせいで岩が濡れ始めており、慎重にリードが進む。リードのビレイ中は雨が止んでいたが、私が登り始めるときに再び降り始める。最初の岩の直上は慎重にいけば大丈夫であったが、直上後のトラバースが濡れのせいで非常に怖い。外傾している岩はもれなく滑りそうで相当に気を使ったし、尚且つ足場が崩れやすく、一箇所、足を乗せようとしたら崩壊した場所があった。晴れていれば容易にクライムダウンして行くことができるそうなのだが、濡れているのでそんなことは到底できない。草付きは岩のホールドがなく、草の束を根っこから掴んで登るという「快適」とは言い難いクライミングをしていた。またピチ最後の藪漕ぎも、とにかく滑るのでハイマツを引っ張りながらの奮闘的なクライミングとなった。正直、このピッチがフォローながら一番恐怖感を感じた。ピッチの終了点はハイマツを超えた先のテラス。

 

5p目を終了すればあとは適当にハイマツを藪漕ぎしてちょっとした岩場を越えれば縦走路に復帰することができるので、5p終了時点でロープを片づける。と言っても途中の岩がツルッツルでこれまた奮闘的なクライミングになってしまった。そんなこんなで縦走路に復帰してⅠ峰頂上に行く。この段階で10時であった。Ⅰ峰で休憩を取りながら長次郎谷側を見るとフェースにはクライマーが張り付いている。特にCフェースは盛況であった。


最後はハイマツとの闘い


 

山頂をバックに


フェースがよく見える




Ⅰ峰からは源次郎尾根を上がって山頂に至って下山するパターンと源次郎尾根をそのまま下降するパターンがあるが我々は後者を選択した。しかしながら源次郎尾根の下降は私にとって結構大変であった。まず私自身下降が下手な上、尾根がまあまあ急傾斜であり、気を使わなければならない場面が多かった。それに加え、途中意味不明の分岐がありハズレの方に進んでしまうと大変な下降を強いられる場面があった(こういう場合は面倒くさがらずに分岐まで戻るのが正解なのでしょう)2番目の急な岩場と、尾根末端から見て最初の岩場は懸垂下降で降った。結局私の下降スピードが遅かったせいで2時間30分も下降にかけてしまった。どうでもいい話だが源次郎尾根上に結構落とし物が多く、気付いたものだけで、何かのケース、ヘルメット、時計などがあった。

 

福田さんはこの日中に下山するということなのでここでお別れして先に行ってもらう。私は尾根下降で体力を大方吸われ、剱沢まで登り返すのになんと2時間以上かけてしまった。

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