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2015年9月4日金曜日

2015.09.04-08 秋山合宿南アルプス南部縦走

秋山合宿南アルプス南部縦走記録
2015/10/15作成
実施日:2015/9/42015/9/8
ンバー:阪本豪 (2,L)、三浦玲児 (2)、中山省吾 (2)

隊の記録(概略)
 5日は兎岳避難小屋泊の予定だったが、百間洞山の家に泊まった。
 7日の予定だった荒川岳往復は、6日に行った。
 台風接近のため8日に、三伏峠よりエスケープした。



記録
98日 晴れ

(竹橋22:40-5:40)ゲート5:55-6:35畑薙大吊橋-7:00ヤレヤレ峠7:10-8:00ウソッコ沢小屋8:15-8:55中の段-9:05ほど良いところ9:20-9:35横窪沢小屋9:50-10:40倒木ベンチ10:55-11:55茶臼小屋

  竹橋からの夜行バスはお世辞にも快適とは言えなかったが,窓際に陣取った阪本はなんとか睡眠を確保した.残る通路側の2人は睡眠が足りなかったようだ.それでも本来ならタクシーかマイカーでしか来られないところに直通で来られるとはありがたい.バスは定刻通りゲートに到着しUターンしていった.降車客は我々を除き3人で,みな茶臼小屋までは同じだ.南アルプス登山指導センターのボックスに計画書を提出し,縦走の始まりだ.ゲートは右を通れるようになっている.
    なかなか吊橋が現れないと愚痴りながら,巨大なダム湖を左にしてだらだら車道を歩いていると,遠くの方を細い線が走っている.まさかと思いながら近づくと湖を渡る細く長い吊橋である.幅が20cmなのに対し,全長はなんと131m.これだけ長い吊橋を渡るのは初めてで興奮した.渡り終えると山道が始まった.じめじめした樹林帯の急坂を登っていく.キノコが多く,陰った印象だ.しばらくは湖に沿ってトラヴァースしていく道である.ゲートから1時間余りのヤレヤレ峠で小休止した.ここは湖側にも尾根があり,冬季には油断すると道に迷いそうだった.
    再びトラヴァース道が続く.しばらくして沢にぶつかり,そこからはウソッコ沢小屋まで沢沿いを登っていく.5個ほど吊橋が出てきたが,濡れた木がとても滑りやすく,阪本と中山は一度ならず滑って危なかった.ここまで水場がなかったので,沢に流れ込む支流の水を汲んだ.エアリアには載っていないが,最近の雨で水量が多いのだろう.本流は色々と汚そうで怖い.さらに登るとエアリアに記載がある方の水場もあり,そこから一息でウソッコ沢小屋だった.無人小屋だが居住性は悪くなさそう.小屋を発つとかなりの急登.本来なら登れそうにもないところに鉄パイプの階段を固定して登山道としているところもあり,足場が傾いた階段などは少し怖かった.一度休憩を挟んで横窪沢小屋.ここでは三浦が沢の水を汲んだ.トイレを使おうと思ったが,今季は管理人が撤収してしまったようで鍵がかかっていた.
    まだまだ樹林帯を登ると,木々の隙間に深南部の山並みがよく見える展望ベンチがあったが,それを越えるともう一つ倒木のベンチがあり,休憩.そこから3分ほどで水呑場だ.事前のネットでの下調べやエアリアでは涸れているということだったが,水量は一般的な水場くらいあった.ピッチを少し延長して頑張って歩き,傾斜が緩くトラヴァース気味になったと思ったら小屋が見えてきた.これでその日の行動は終わり,のはずだったが.
    この一週間悪天候のため飛べなかったヘリが今日飛ぶ可能性があるとのことでテント設営をお預けされ寒い中待っていると,荷運びを手伝ってくれれば晩飯をご馳走してやるとのお言葉.期待して待つがなかなかヘリは来ず,寒い.そのうちに期待していた言葉,小屋の中で待っててもいいよ,を頂いた.小屋はストーブがついていて暖かい.しばらくすると霧が晴れ,どうやらヘリが飛ぶようだ.ヘリは聖平小屋にも荷物を運ぶので少し待ったが,ようやくこちらに飛んできた.こんなに近くでヘリの風を受けるのは初めてで,とにかく凄かった.荷物を小屋に運び込んだりついでに食器洗いをしたりして,豪華ディナーのお相伴に預かる.揚げ物にシューマイに刺身に生秋刀魚の塩焼きにほかほかふっくら白ご飯,それとビールに日本酒.最高だ.おやつにモンブランも頂き,小屋の方や宿泊客と話したりして本当に楽しいひとときだった.明日の朝ごはん用に余った白ご飯とおかずとアップルパイを頂いた.これで明朝は炊事せずともよい.重ね重ねありがとうございました.7時半就寝.
(文・阪本)


98日 晴れ後曇り

起床3:00-茶臼小屋4:20-5:10森林限界5:20-5:45上河内岳の肩-上河内岳-上河内岳の肩6:15-7:20聖平7:35-8:30森林限界8:40-9:30ガレ場の途中9:40-10:10下る途中10:20-10:35聖兎のコル10:50-11:20兎岳11:40-12:15水場往復12:25-12:40中盛丸山手前のコル12:55-13:35百間洞下降点13:45-14:15百間洞山の家

   起床し,昨日頂いた白飯とおかずとアップルパイで力をつけて出発.日は昇っていなかったのでヘッドランプをつけて稜線を目指す.茶臼岳には寄らずいよいよ稜線歩きスタートだ.途中外れるところがあり,薄暗い中で道を探すのに手間取ったが,快調に進む.途中草原や花畑があったようだがよく見えなかった.その内に右から太陽が昇り出す.富士山もよく見えた.一度休憩を挟んで上河内岳の肩についた.この先も長いがせっかくの200名山,眺望も良いとのことで空荷で往復する.確かに気持ち良かった.再び進み始める.振り返ると,上河内岳が二重山稜となっているのがよく分かった.高度を下げて樹林帯を下って行くと聖平である.小屋はすぐそこに見えたが特に用事もなく寄らなかった.ここから見ると聖岳の登りは果てしない.面白味の無い道をただただ登り,森林限界及び山頂手前のガレ場で二度休憩して前聖岳に着いた.結構しんどかった.三人とも軽くバテ気味だったのでペースに注意だ.
    日本アルプス最南の3000m峰である聖岳には仰々しい看板が立っていたが,ピッチの切れ目の都合上足を止めずに早速下る.こんなに山頂を気にせず聖岳を後にするのは我々くらいであろう.そこからは急に登山客の数が減った.コルまでの途中に幾つか足場が崩れやすいザレ場があり,阪本がそこで転んで手をついた際に手のひらを切って出血したため,小休止して消毒した.絆創膏も貼ったがすぐに剥がれた.聖兎のコルでも多少休憩.行動が長い日なので,休憩は多めに取っている.そこから兎岳へと登り返す.この合宿の特に前半に言えることだが,南アルプスはピークとコルの高低差が激しい.かなり下ったと思ったらまたかなり登らねばならない.難しいところだ.兎岳直下には岩場のようなところもあったが,特に問題もなく登頂.泊まる予定であった避難小屋は遠くから見ただけだが,テント数張分のスペースはありそうだった.山頂で休憩しながらなぜ兎岳という名前が付いたのか考えた.今のところは2818mで二羽一羽,という説が有力である.出発して少し下ると水場の分岐があった.阪本と三浦は水汲みに行った.かなり降りるので登り返しが面倒だ.小兎岳を越え,本日最後のピーク,中盛丸山,その手前のコルでもう一踏ん張りのための休憩.中盛丸山は以外とあっさり越えられた.あとは一心に下るだけだ.このあたりでガスっぽくなってきた.下降点は見逃しようがなく,新道を辿って百間洞山の家到着である.長い一日であった.前日のこともあるので少し期待したが,特にもてなしは受けず,トイレや小屋から少し歩くものの綺麗に整地されたテント場で通常通り幕営し就寝した.
(阪本)


96日 曇り後雨

0300起床―0430百間洞山の家発―0520百間平―0620赤石岳手前広場―0715赤石岳頂上―0835大聖寺岳―0910荒川小屋―1100荒川小屋発―1145荒川岳東岳頂上―1230荒川岳避難小屋―1330荒川岳テン場

この日は曇りだった。小屋とテン場の距離は遠かったため特に小屋には寄らず朝は出発した。稜線上では風が少々吹いていた。赤石岳手前広場まではアップダウンのない歩き。なかなか快適であった。
赤石岳頂上手前には避難小屋があったが、寄らず頂上に向かう。頂上には先客が一人いた。風が強く到底休憩できる状況ではなかったので、とりあえず下り休憩できる場所を探す。再び稜線を歩くと大聖平に着いた。開けた場所で、大きなケルンがあった。そこからしばらく斜面をトラバースすると荒川小屋に着いた。とりあえずテントを設置。荒川岳にピストンするか判断する。時間的には十分、一方天気はこれから崩れるとのこと。現段階では雨が降っていなかったためとりあえず出発した。
歩き始めて3040分で雨が降り始めた。風が強く寒い。避難小屋通過後は稜線歩きで風がまともにあたる。惰性で頂上に着く。外人さんが一人同時刻に登ってきた。
下山時は雨、風ともに強くなり、稜線歩きということもあって想像以上にきつかった。途中避難小屋で雨が弱まるまで休憩。
1330にテン場につく。雨は止まずさらに強くなった。テント内にも水が浸入。雨具を乾かすことができず、大変な目にあった。
(三浦)


97日 曇り時々小雨

0310起床―0500荒川小屋発―0637荒川前岳―0830高山裏避難小屋―1050小河内岳手前―1155前小河内岳頂上―1230烏帽子岳―1330三伏峠小屋

 昨日悪天候の中登った、急坂を再び登る。途中の鹿よけの柵の内側では多様な植物が育っていた。荷物が重い分だけ時間がかかった。荒川前岳を通り過ぎると雨がぱらぱら降ってきた。幸い風は強くなかったため、苦しさはない。その後カールの斜面を延々と下る。途中早稲田アルコウ会の人々とすれ違う。森林限界よりさらに下までいき、しばらくトラバース。途中鎖場があった。
 高山裏避難小屋に着く手前にテン場らしき箇所が67か所見受けられた。この時期、高山裏避難小屋は無人らしい。小河内岳手前まで2回休憩をはさむ。ここら辺はずっと森歩き。このころには雨がやみ、一瞬雲の切れ間も見えた。
 これ以降は稜線上を歩いた。軽いアップダウンを軽快に飛ばしていると、三伏峠の小屋と水場との分かれ道があった。小屋から水を汲みに行くのは大変なので、ここで汲みに行く。水量は豊富だった。ラジオが流れていた。水場から小屋はやはり15分ほどだっただろう。
 広いテント場だった。テープで仕切られており、2030は張れそうだった。小屋に行くと、天気図が貼ってあり、台風の発生を知る。テント場に戻って、今後のことを話し合う。幸いドコモはつながったので、対策は立てやすかった。
 次の日晴れていたら、行動、その後小屋に素泊まり。雨の場合、下山という計画になった。
(三浦)


98日 雨

3:00起床-4:55三伏峠テン場発-5:33衣服調節-6:20林道入る-9:00軽トラックに拾われる-9:15軽トラック降りる-10:07大河原バス停-10:20バス発=11:09伊那大島駅11:51発=12:41駒ヶ根駅13:00

朝起きると雨が降っていた。熊の平小屋まで行けるかは怪しい天候だ。風は弱かった。エッセンを作っている時に、阪本が岸OBからの下山を促すメールに気付いた。雨が強くなってきたこともあり、下山を決定する。1016分大河原発のバスに間に合わせるために急いだ。記録によると登山口まで2時間、そこからバス停まで4時間かかるそうだ。バスを逃してタクシーで帰るのは避けたい。一応、小屋で北部タクシーの番号を写し、雨の中下山を始めた。5時になっても辺りは暗く、しばらくヘッドライトを付けていった。鳥倉新道は石まじりの土の道で晴れていれば歩きやすいだろう。鳥倉登山口から三伏峠小屋までは1/10刻みで道標が立っているので励みになった。中山は下山の途中でスリップして、1mほど滑落した。先行する2人には気づかれなかった。林道に入るころには雨いよいよ強く、傘を差して歩いた。林道はひたすら緩い下り坂だった。道は激しく蛇行しているが、ショートカットはない。舗装路の歩きは膝にくる。林道を2時間歩いたころ、後ろから軽トラがやってきて、運転手さんが「乗ってくかい?」と声をかけてくれた。すぐさま乗り込み、先行していた三浦もあとから乗った。すぐそこの三叉路までだと言われたので過度な期待をせずに、1kmも行ってくれたら嬉しいな、と思った。意外にも10分近く乗せてもらえたので、5,6km進むことが出来た。牛舎の近くで降ろしてくれた。今思い出しても、感謝に堪えない。軽トラはすぐ引き返してしまったので、運転手さんの名前を聞くことも出来なかった。大幅に時間を短縮できた我々は、ゆっくり歩き始めた。民家がちらほら見えだす。下界のにおいがする。バス停は橋の側にあるはずなのに、肝腎の橋が見あたらない。携帯電話で現在地を確認すると、バス停まで歩いて30分の位置にいた。バスが出るまで30分。あまり時間に余裕がないことがわかり、早歩きになる。我々は、バスに間に合ったが、軽トラックに出会わない限り間に合うことはないだろう。次に行く人は注意されたい。

(中山)

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