20240927-30_穂高岳 登攀
【メンバー】沼田(3, L)、落合(1),鈴木(1)は足の不調のため不参加.
【天気】
day 1 曇りのち小雨
day 2 曇り
day 3 曇り時々晴れ
day 4 雨のち晴れ
【ルートログ】ヤマレコ
【Couse time】
day 1, 9/27 入山日,上高地から涸沢まで
さわんどBT 0630 - 上高地BT 0704 - 明神館 0800 - 横尾 0940 - Sガレ 1117 - 1203 涸沢 - V・IVコル偵察 - 1418 涸沢
day2, 9/28 前穂高岳 北尾根
起床 0300 - 涸沢 0410 - 0512 北尾根Ⅴ・Ⅵのコル 0524 - 4h 35m - 1000 前穂高岳 - 同ルート下降,財布・スマホ捜索 - 1603 北尾根Ⅴ・Ⅵのコル - 1655 涸沢
day 3, 9/29 北穂高岳 東稜,涸沢から奥穂高岳に荷揚げ,涸沢泊
起床 0330 - 涸沢 0430 - 0540 東稜取付き - 0710 東稜 トップアウト - 0712 北穂高小屋 - 0857 涸沢岳 - 0909 穂高岳山荘 0949 - 1035 涸沢(荷物回収,荷揚げ) 1110 - 1234 穂高岳山荘 - 1330 奥穂高岳(荷物デポ)1340 - 1355 穂高岳山荘 1534 - 1622 涸沢
day 4, 9/30 奥穂高岳,馬の背,ジャンダルム,西穂高岳,上高地
起床 0230 - 涸沢 0357 - 0540 穂高岳山荘 0548 - 0616 奥穂高岳 0641 - 0730 ジャンダルム 0756 - 0848 天狗のコル 0848 - 0954 間ノ岳 - 1052 西穂高岳 1119 - 1202 西穂独標 - 1238 西穂山荘 1312 - 1444 西穂高岳登山口 - 1506 上高地BT
【概要】
1年生のマルチピッチクライミングの練習のため,涸沢定着で穂高岳周辺の登攀を実施.西穂高岳から上高地までの登山道は大変良く整備されており,下山道に最適だった.このルートで毎年の恒例にしてもよいかもしれない.夏はガスの消費が少ないため,1週間程度の日程でも 500を1つで充分だ.破損・紛失などに対応する場合は,半分を2つにしてもいいかも.
記録の担当はday1, 3 落合,day 2, 4 沼田.
day 1. 記録:落合
今回の山行は1年生の教育を目的として実施された。従って本来はもう一人来る予定だったが直前まで行われた長期縦走で怪我をしてしまい2人での山行となった。私もその縦走が完遂できなかったことに対してやきもきしていたがこの山行に来てからはそんな気持ちも吹っ飛んだので山は素晴らしい。また、本来は9/27〜9/29で穂高岳登攀、9/30〜10/1で北岳バットレス登攀の予定だったが1年生が2人いる中で北岳バットレス登攀は2日間では厳しいかもしれないということで穂高岳登攀のみとなった。10/2から授業が始まるので山行日数を伸ばせなかった訳だが、私としては英語一列の授業を受けるために重い腰を上げて大学に行くよりも山登りをしていた方がよっぽど楽チンなので山行のケツが10/2になっても良いから北岳バットレスにも行きたかったが、他の人のこともあるので仕方ない。さて、上高地ー明神間の左岸林道が閉鎖されていたため右岸からを迂回して明神まで行った。長い林道が更に長くなってしまった。途中の徳沢園で前日に行われたメトロ会で登壇されていた上條社長に挨拶に伺ったが直ぐには顔を出せないとのことで我々が挨拶に来た旨を従業員の方から上條社長に伝えてもらうことにして先に進んだ。涸沢に着いてテントを張るが、地面がまともな場所が殆どなく、最初は不快に感じたが慣れれば問題ない。もっとも、不快ならば小屋脇に積まれたコンパネを下に敷けば良いのだが500円の課金が必要なのでそんなものは使わない。テント設営後、5,6のコルの方へ偵察に行った。しばらく歩いて草付きの中に踏み跡があることを確認してから引き返した。下りはガレ場についた踏み跡を下った。
day 2. 記録:沼田
ヘッドライト行動でコルに到着.日の出の30 min前にはもうヘッドライトは必要ないほどに明るくなった.IV峰の途中からロープを出した.左から回り込めば傾斜は緩く楽に登れるが,我々は正面から登った.あとはIII峰からI峰まで,2, 3 pitchくらい出した気がする.
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II峰はクライムダウンできる |
前穂高岳の山頂についてから,私の盛大なやらかしが発覚する.なんと北尾根のどこかに,財布(ポーチ)とスマホをそれぞれ別の場所で落として来るという,しょーもないやらかしをしてしまった...なぜ山頂に着くまで気が付かなかったのだ,なぜバックアップを取っていないのだと自分を責めた.今後は荷物の確認とバックアップを取ることは忘れないようにする.同行した後輩には余計な手間をかけさせてしまった.申し訳ない.お礼に下山後の飯をご馳走することでチャラや.落とした場所に検討が付いてたので,「このまま探さずに諦めるわけにはいかないな,後続パーティーもいなかったな」ということで,同ルート下降をすることにした.結果,財布はIII峰の1p目終了点で,スマホは3p目終了点付近で見つけた.ここで重要なのが,単純に見える位置に落ちていなかったというところなのだ.
まずは財布を落としたと思われる地点まで下降.クライムダウンと,懸垂下降2回.財布は岩の隙間に落ちて,簡単には潜れない位置で発見.ストック,カラビナ,テーピングを駆使して釣り竿を作り,さらに落とさないように慎重にサルベージして見事回収!財布(ポーチ)の中にスマホが入っていることを期待したが,見事に裏切られ落胆.ということは「スマホは2ピッチ登ったとこの終了点では?」となったので,荷物をデポして再度登り返し.だがしかし,スマホは終了点にはなく,ここではないのかとしばし記憶を辿る.でも可能性があるのはここか山頂かだけど,山頂にありましたなんてオチはマジで勘弁してほしい.なので周囲を捜索してみた.「もしここで落としていたとしたら,そのモノは滑り落ちていく可能性があるのでは?」と思い,球の気持ちになって少し下ってみる.この先はちょっと危険だなと視線だけで辿ってみると,終了点から岩の上を5 mほど滑り落ちた先になんと,見覚えのあるステッカーが貼られた長方形の箱があるではありませんか.ここで雄叫びが出る.結果,登り返し始めてから財布発見場所に戻ってくるのに(スマホのために)2h使用した.
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サルベージしてるときの様子 |
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スマホ発見地点.右下の岩のポケットに落ちていた.奥の方に落ちていたら回収は不能になっていたかもしれない. |
広い北尾根の中で2つの落とし物を無事発見するだなんて,まさか思ってもみなかった.なんらかの信仰心が芽生えてしまう.何に対する?山の神か.ヰ世界情緒か.大きな損失になりそうなところであったが奇跡的な回復を見せた.本当によかった.
day 3. 記録:落合
この日は北穂高岳東陵である。前2日で前穂北尾根の方向から取り付き点の見当をつけていたのでそこの心配は特になかった。途中まで登山道を登るのだが、暗いのに思いの外登山者が多くて驚く。東稜取り付きへは2段あるモレーンのうち上部のモレーン上からガレたカールを横切ってルンゼに入るのだが、ルンゼがいくつかあり最初はどのルンゼに入れば良いか分からなかった。正解は登山道から外れる所で見えている最も大きなルンゼである。多分行けば分かる。意外と右寄り。地図を確認して正解のルンゼに入る。我々の前方にフリーソロの方がいたので上からの落石に注意しながら左端の草付き際を登って行った。落石には注意である。最後に右側の尾根に乗って取り付き点に到着した。東稜は踏み跡がしっかりしていた。核心部のリッジでは高度感があったこと、先が見えずどうなっているか分からなかったことからロープを出してもらって沼田さんにリードしてもらった。結局大したことなかったのでこのくらいならロープを出さずにスイスイ行けるようになりたい。その後は懸垂支点があったがクライムダウンした。前日に前穂北尾根2峰の下りや前穂北尾根を下降したことでとても良いクライムダウンの練習ができていたので特にヒヤリハットもなく降りられた。その後は北穂山頂の小屋まで歩きである。北穂高岳に7時過ぎに着いてしまったので翌日のために涸沢に帰ってからテントを穂高岳山荘に上げようと思ったが、穂高岳山荘に電話して確認したところ穂高岳山荘テント場は学割がなく、涸沢より一人あたり1000円高かったので穂高岳山荘でテントを張ることはやめた。その代わり、北穂東稜で使った登攀具類を一度穂高岳山荘付近にデポしに行ってからザイテングラートを降りて涸沢から余分な食料やガスや登攀具等を持って再び穂高岳山荘に上がって元々デポしておいた登攀具類を回収してから奥穂高岳山頂からジャンダルム側に100mほど行ったところに全て置いてきた。ここで天気予報を確認したら翌日は雨が降らなさそうだったので当日夜と翌朝以外の食糧は全てデポした。このおかげで翌朝は雨だったが停滞するか迷う必要がなかったため良かったっちゃ良かった。荷上げの最中には、何処かの山頂を目指すわけでもなく翌日の自分のために今日頑張ることはなんだか未来の自分のために今日の娯楽快楽を犠牲にして勉強に精を注ぐ崇高な東大生と同じようなことをしているような気がしてきて、世間の期待をすべて無視して山に情熱を注ぎ込んでいる我々東大生の端くれは崇高な東大生の真似をせずに翌日に頑張って全てを担ぎ上げればいいのではないかとも思ったが、デカルト様に従って困難は分割させてもらった。結果、翌朝1番の登りが大分楽になったので良かった。目的はデポなので1分とかからない奥穂高岳山頂は無視した。穂高岳山荘に戻ったらテント場に沼田さんの知り合いの方が2人いるとのことだったので挨拶しにいったらココアとお菓子をご馳走になってしまった。ありがとうございました。穂高岳山荘からの帰り際、なんと東大ワンゲルに会ったので軽く挨拶をしてから涸沢に降りた。
day 4. 記録:沼田
深夜にまさかの雨.3:30になってもやまないので少し様子見することにした.雨が小降りになったところで撤収開始.奥穂高岳から西へは通ったことがないエリアだし,日が出れば晴れると確信していたので,予定通り奥穂高岳に向かう.ヘッドライト行動でザイテングラードを登るのは意外と難儀した.どこでも歩けそうなガレ場で数回道を見失い,計10 minくらいロスした.明るいうちによく道を覚えておくことが重要だ.うむむ.6:00前には雨はやみ,青空が見え始めた.その後は晴れと霧が繰り返すようなパッとしない感じ.9:00頃には完全に晴れた.雨に濡れた「馬の背」は緊張感があり,ザイルで確保されないと怖い怖い.ジャンダルムは離れてみると「上るとこあんの?」という感じだが,近づくとちゃんと道はある.しかし,全装備担いでの登攀じみた登りはなかなか疲れる.ある意味良い訓練になった.
西穂高岳山頂からの道はよく整備されており,距離のわりに時間がかからず楽だった.荷物の重さもあり疲れを感じていたので助かった.
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デポ荷物を回収しにきたときに撮影.ザックカバーの中の荷物が若干雨でぬれていた. |
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馬の背.ジャンダルムよりも怖かった. |
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これは岩が濡れていたら怖い.我々の時は既に乾いていた. |
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西穂高岳を過ぎてしばらくたってからの下山道.非常に快適. |