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2025年8月7日木曜日

2025 夏合宿 剱岳定着

2025 夏合宿 剱岳定着

 8/7 入山
メンバー:河本(L)、落合、井上(記録)、今野
天気:終日雨
1140 室堂
1510 御前小屋
1600 剱沢
 前日の夜、私たちはバスタ新宿に集合し、そこから富山駅に向かいました。本記事を書いている私(井上)以外の3人全員がバスタ新宿の集合に遅れてきたので、場所を間違えたのかと10分くらい不安だったのはここだけの話。富山駅から室堂までスムーズに進んだ後は、少し準備して室堂を出発しました。出発時、去年の記録にあったのと同じように、河本にここから2週間は家に帰れないが、その覚悟はできているかと聞かれましたが、私は躊躇せずにはいと答えました。この合宿16日間を終えた今振り返ってみると、中高時代と違って、私がこの合宿中1度もホームシックを感じなかったのは、精神的に自立してきたのかなぁとも思います。室堂から雷鳥沢までは近いと聞いていたのですが、意外と長いなあとか考えながらホノボノ歩きました。雷鳥沢から剣御前小屋までは、500mの雷鳥坂が控えていましたが,歩荷訓練を超えてきた私にとってはそこまで苦に感じませんでした。歩荷が不足していた今野は、結構苦しそうだったので、来年からの新入生は歩荷を怠らないようにしましょう。剣御前小屋から剣沢までは下りなので楽々終わらせました。初めての剣沢は、思ったよりも広くて快適でした。


 8/8 雪上訓練
メンバー:河本(L)、落合、井上(記録)、今野
天気:晴れ
0715 出発
1130 真砂沢
1400 雪上訓練
1600 剱沢
 この日は、雪渓の偵察と雪上訓練をしました。朝ちょっと遅めに出発した後、剣沢から1時間ほど行ったところで雪渓におりました。初めての雪渓で私は、いつ下に落ちるかとビクビクしていましたが、ガンガン進んでいく先輩の背中から離れてしまわないよう、必死でついていきました。剣沢と真砂沢の間の雪渓はところどころ大きな穴があったと記憶しています。真砂沢までの間によった長次郎谷は、この時点ではあまり崩れておらず、5、6のコルの大分手前にあるクレバスまで偵察しました。クレバスはそこまで深くなってはいませんでしたが、降りてそこから右岸に取りつくのは難しそうという結論を出して偵察を終えました。真砂沢から剣沢までの帰りは、行きの道を引き返しました。途中で行った雪上訓練は、五月の合宿の復習になり有意義だったと思います。


 8/9 源次郎尾根主稜
メンバー:河本(記録、L)、落合、井上
天気:晴れ
4:30剱沢
5:15取り付き
10:00剱岳
12:30剱沢
 8/7入山で8/13下山予定だったが悪天により11日下山になった私にとって、この山行はこの夏合宿唯一の剱岳の登攀になった。お盆も近いここ一週間では数少ない一日中行動に適した日なで混雑が予想され、実際に他大学の山岳部なども含め人が多かった。何回も行ったことのあるコースなので取り付きやルートなどは特に迷わず、かなり順調に進んでいき岩場の前に並ぶ行列につまってしまう。先頭を歩いていた落合がショートカットと称して道からそれた薄い踏み跡に進入する。踏み跡は藪の中に消えてしまうが、藪の急斜面を登るとルート上部に出られそうなので、そこを登ると行列の途中に割り込んでしまう。やさしい登山者に先を譲って頂き、ボトルネックとなっていたロープを出す岩場を落合リードで越えると、その先はⅡに下りまで詰まる場所はない。順調に進みⅡ峰につき、行列に並ぶことなく懸垂下降した。多分Ⅱ峰に付いたのは多分この日で一番だと思う。ガレ場の多い道を経て剱岳に到着する。晴れた剱岳の景色を楽しみながら下山した。うまく混雑を回避して速いペースで山行を終えることができて良かったと思う。


 8/10, 11, 12
 この合宿における唯一の最悪な記憶である、大雨停滞について書いていきたいと思います。この記録を書くことすら、私としてはやめてしまいたいレベルなのですが、来年からの新入生への教訓として書き残しておこうと思います。また、他人の不幸は時として愉快だったりすると思うので、読者様にも楽しんでいただき、私たちの苦悩の歴史を供養していただけると助かります。

 8/10
 この日は、大雨停滞の初日でしたが、この日から叩きのめされたことをここにしるしておきます。まず、僕たちが寝泊まりをしていたV4テントは、漏水がひどく、あまり保温機能も感じられない代物だったので、十分な睡眠をとることはかなわず僕たちは朝から衰弱していました。そして、僕たちは、テントのフライが徐々に破けていっていることに気付きました。フライが破けているのをそのままにするわけにもいかないので、落合と私で破けた箇所を縫い付け、ガムテープで補修しました。

 8/11
 この日もこの日とて大雨が降っており、何もやることがなかったので朝遅い時間に起きました。テントの落合、今野が起きた後、私は朝ごはんを一緒に食べるために、一人アライテントで寝ている河本を起こしに外に出ました。そこで私は信じられない光景をみることになりました。なんと前日まで10張はあったテントが私達のテント以外すべて無くなっているではありませんか。確かに、天気予報を見て3日間連続の雨を確認したにも関わらず、近くの室堂から下山しないようなもの好きはそうそういませんよね。朝ごはんを食べながら、自分たちの孤立した状況を共有した私たちは、雨が弱まったタイミングで雨風が多少なりとも弱いと考えられる雷鳥沢にテントを張り替えることを決定しました。テントを撤収したあとは、4人で雷鳥沢に出発しましたが今野のスピードがとても遅かったので、井上落合と今野河本で別れて剣御前小屋に行きました。剣御前小屋に時間差でついた後は4人そろって雷鳥坂を下りました。雷鳥沢に着いたあとは、用事があった河本が一人早めに室堂帰り、私達はテントを張ってその日の行動を終えました。

 8/12
 地獄の雨の3日間の最終日、この日はすることが何もなく暇をもてあましていた私たちは、剣沢停滞の後に行く予定だった縦走の食糧を室堂のロッカーに入れるために朝から室堂に行きました。室堂に荷物を預けた後は特に早めにテントに戻る理由も無かったので室堂で着ているものを乾かしながらグダグダしました。この後に待っている悲劇のことなど知らないままに、、。室堂が閉まる時間にもなりそこを出た私たちは、朝よりも大分弱くなってくれた雨の中、雷鳥沢に向けてズンズン歩き始めました。雷鳥沢も近くなり、その様子が遠目で見える様になると、私達は異変に気付きました。私たちのテントがあるようには見えないのです。異変に気付いた私たちは、急いでテントがあるはずの場所に向かいました。そこで私達はグシャグシャに潰れたテントを見つけたのです。(写真)

テントに入らないことには、どうしようもないので、私達はすぐにテントの修復に取り掛かりました。今野がテントを抑え、以前から何度も裁縫でテントを修復していた落合と井上が今度も裁縫を担当しました。冷たい雨に打たれながらも、必死で作業を進めた私達はなんと45分で修復を終わらせ、テントに入ることができました。テントに入り夜ご飯を食べた私たちは、テントの隙間から入った雨によってずぶぬれになった寝袋に入り凍えながら眠りにつきました。


 8/13 後発組入山
メンバー:縄(OB)、沼田(4)、鈴木(2・記録)
天気:晴れ
11:30 室堂
14:20 剱御前小屋
15:00 剱澤小屋テント場
 本来であれば、沼田・鈴木は9日に入山するはずであったが、10日から12日にかけて剱岳周辺は降雨により活動が十分に行えないことが予想されたため、入山日を遅らせることになった。このため、当初予定していた登攀計画も大幅に縮小せざるを得ず、当初の主要ルートを満遍なく回る計画は、諸先輩方にとってはお馴染みであっても、昨年八ッ峰上半と別山右岩稜しか行っていない私にとっては、大変気合いの入る計画だっただけに、今回の雨は私をひどく落ち込ませるのであった。とはいえ、空いた3日間は自由時間になるのだから、沼田さんは博士論文を詰めていただろうし、私は集中講義で課された課題に取り組むことができた(はずだった)。あっという間に11日夜を迎え、沼田さんの車に載せていただいて出発。途中通った民家のすぐそばの畑でシカが群れていたことには驚いた。この夏合宿で3番目に驚いた出来事だった。扇沢駅では上の無料駐車場は既に満車だったため、一つ下の無料駐車場に駐車した。予約し直したチケットは10時発だったため、それまで寝て待った。昨年の夏合宿で利用したトロリーバスから生まれ変わった電気ケーブルカーを堪能しつつ、室堂へ向かった。昨年の経験を踏まえ、軽量化に成功した私に比べ、色々持ってきた沼田さんのザックは重かったが、途中、先発隊からSlackで「バナナを早くもって来い」と急かされ、(怒りを推進力に変えて)テント場まで歩いた。バナナのことだが、今年は先発隊とは連絡が取れていたため、先発隊から差し入れしてほしいものを聞き、沼田さんはあて布、カステラ、バナナ、野菜ジュース等等、私は羊羹、サバ缶、サイダー、縄さんもご厚意でシャインマスカットと恒例のシャウエッセンを持参したのである。このうち、バナナを巡り数日後に井上が問題を引き起こすことになるとはこのとき誰も予想していなかった。ちなみにこの日の夜は私が作ってきたペミカン鍋であり、好評だったので良かった。


差し入れのバナナにご満悦


 同日 停滞組
 この日は地獄の雨の3日間を耐え抜き、やっと晴れが訪れた日でした。落合、井上、今野は朝、雷鳥沢を出発し、剣沢にテントを張りなおしました。そのあとは、体力的に余裕があった井上、落合が長次郎谷の偵察に行き、今野は干してある物品やテントを見るために留守番をした。長治郎谷に出発した私達は雪渓部分に突き当たった時点でアイゼンを履き始めました。しかし、安定した場所を見つけられなかった私は、アイゼンを履こうとして、片方のアイゼンを雪渓の下に落としてしまった。落としたアイゼンを取ろうとして不注意にも石を崩してしまいアイゼンの回収を不可能にしてしまったことも反省すべき点である。その後、落合に片方のアイゼンを借りて長治郎谷まで着いたとき、私たちは3日間の雨によって雪渓が大分崩れていることを発見しました。ベルクシュルントのそばを注意しながら長次郎谷に侵入したのちは、いくつかのクレバスを超えたあと、雪渓から右岸までの取りつきを確認し、長治郎谷から剣沢に帰りました。剣沢に帰ってから少しすると、後発隊の沼田、鈴木とOBの縄さんが到着しました。雨の中のテントという閉鎖された空間で同じ人間とずっと一緒にいた私は、新しい人に会えただけでとてもうれしかったことを覚えています。また、彼らが持ってきてくれたバナナ、カステラ、マスカット、野菜ジュース、羊羹、鯖缶は涙が出るほど美味しかったです。


 8/14 6峰Aフェース魚津高ルート
メンバー;沼田(4L)、落合(2記録)
天気:曇り
0500 剱沢野営場
0730 Aフェース取り付き 0805
1050 Aフェースの頭
1340 三の窓
 停滞が続き、ここまで1週間ほとんど何もやれなかったがこの日からは晴れが続きそうなので良い気分だ。前日に夕食を食べながら今後の登攀日程を組み、沼田・落合はこの日はAフェースを登ってそのまま三の窓でビバークすることになった。本来はDフェース、南壁A2、八ツ峰縦走なども登り、剣を味わい尽くす計画だったが、まぁ仕方ない。落合は前穂北尾根の簡単なところや赤岳主稜などでのリード経験はあったが、山でクライミングシューズを履いてちゃんとしたところを登るのは初めてだったので高揚していた。ただ、全装を担いでのリードも初めてで、初物が2つ重なり不安でもあった。これに関しては、事前にゲレンデなどで全装を担いでのリードを経験しておくべきであった。
 歩き始めて20分くらいで剣沢雪渓に乗る。長次郎谷手前では右岸が崩落していたが、左岸側は分厚く問題なさそうだったので夏道に乗り移らずに雪渓上の左岸を通過した。前日の偵察同様に長次郎谷出会いの崩落地は左岸に乗り移って通過し、前日と同じ場所から右岸に乗り移る。途中の渡渉点で4L位水を汲み、順調に進む。Aフェース魚津高ルート取り付きは顕著な凹角に残地ハーケンが打ち込まれていたのですぐに分かった。取り付きから下を見ると、熊の岩にテントが張られていた。来年以降、6峰フェースやチンネに行く際には熊の岩ビバークでもいいのかもしれない。奇数ピッチを落合、偶数ピッチを沼田がリードした。


長次郎谷にはものすごくたくさんの人がいてびっくり

 1ピッチ(lV)
ひたすら凹角を登っていく。途中ちょっとハングしていたりした。浮石が多いのがゲレンデと違うなぁとか思いながら登っていたが、沢登りほどの浮石の多さではない。トポの1ピッチ目より伸ばした。中間支点にはロープを岩に擦らせない意味合いもあると教わる。
 2ピッチ(lll)
ここも凹角を登っていく。1ピッチ目と同じような感じ。
 3ピッチ(ll)
簡単なリッジを登るが、浮石が多いのでロープはあったほうがいいと思った。1.2ピッチをトポより伸ばしていたため、一瞬で終わった。

 Aフェースを登攀した後、そのまま八ツ峰上半を縦走しようとしたが、Aフェースの頭から先が悪い(A.Bのコルには懸垂下降で降りられそうだったが、その先どうなっているかよく見えなかった)ので一度5,6のコルに下降してから八ツ峰上半に入った。Dフェースの頭、Eフェースの頭からの下りで懸垂下降し、7峰は巻いた。そのままクレオパトラニードルと三の窓の頭の間のコルを通過するとチンネの目の前に出るはずだが、曇っていて見えなかった。左稜線を登っていると思われる声は聞こえた。チンネと三の窓の頭の間のコルから懸垂下降2ピッチで池ノ谷ガリーに降り立った。クレオパトラニードルとか聞いたことはあったが、位置関係を理解していなかったのでこの辺りの概念を把握できてよかった。池ノ谷ガリーは足元から全ての石が崩れ落ちていき不快だったが、日に日に池ノ谷ガリーの下降が早くなった気がする。まだ昼間だというのに三の窓にはテントが3張りもあり、みんな翌日は左稜線に行くのだとか。我々は狭いスペースにツェルトを張らせてもらった。今年も雪渓から垂れる水を確保でき、水問題は解決された。





Aフェース取り付き



 同日 剱岳北方稜線
メンバー:縄(OB・L)、鈴木(2)、井上(1)、今野(1・記録)
天気:晴れのち曇り
0505 出発
0700 真砂沢
0835 二股
1100 池ノ平小屋
1335 小窓
1630 三ノ窓
 今年は残雪が多く剣沢雪渓のうち大部分を歩行できた。しかし真砂沢から二股の間で自分のサングラスを落としてしまいわざわざ真砂沢まで戻る羽目になってしまった。結局真砂沢で見つけることができた。パーティーの皆さん、本当にありがとうございました。池の平小屋までは大変暑く、地蜂に刺されてしまったので辛い区間となった。日光のかき氷屋の前で刺されて以来8年ぶりのことであるが、やはり痛いものである。旧坑道の後半は強烈なガレ場で落石を起こさないかヒヤヒヤした。小窓から三の窓までの道で自分がバテてしまい相当な時間を要してしまった。険しい道も容易に遂行できる体力を身につけたいものである。西日が差してきた頃、三ノ窓に到着。三ノ窓の少し前に位置する発射台のそばから見える池ノ谷ガリーはとんでもなく怖い。三ノ窓での夜は晴れていて星空が綺麗であった。感動ものであるのでぜひ一度は行ってみて欲しい。


 8/15 剱岳北方稜線
天気 晴れ
0440 三ノ窓
0740 剱岳本峰
1040 剣沢
 出発後すぐに池の谷ガリーを登る。昨日怖がっていた割には意外と登ることができた。しかしその後の岩場は高度感がありロープ無しにしては難易度が高くかなり怖かった。その後は両脇崖の稜線歩きを慎重に行い無事剱岳に到着。停滞もあったため自分としては何と合宿9日目での本峰初登頂である。全員で記念写真を撮った後は別山尾根を下り剣沢に帰還した。


 同日 チンネ 左稜線
メンバー:沼田(4L、記録)、落合(2)
天気:晴れ、1300頃から雨、時々曇り
先行パーティー1あり
0550 登り始め
0915 核心部
1130 TO(渋滞待ち参考)
1300 三ノ窓 泊
 今年の雪渓は昨年よりも大分残っており、水の確保も全く問題なし。念のため担いで登ったが、その必要はなくもっと食料を充実させればよかったと後悔。三ノ窓では東北大学山岳部OBG隊とお会いした。なんと福田さんの弟さんがいて、予てより一度お会いしたいと思っていたため、突然の邂逅に少々感動した。

朝日を浴びる

チンネ左稜線 登り始め

 2, 4 p目あたりの偶数ピッチと、最後の方のピッチをリードしたと思う。あまり記憶していない。広いフェースのピッチでは、先行隊のビレイヤーから提案があり、ビレイヤーが登り始める前に登らせていただいた。ロープに干渉しないよう中間支点を選んだため、少しランナウトする箇所もあったが、傾斜はきつくなくホールド・スタンスも豊富なのでなんてことはない。登り始めから数時間もするとガスが出始め、視界が10 mもないほどだった。途中、遠くで聞こえていたヘリコプターの音が近づき、「すぐ目の前にヘリが現れるのでは」と思うほどにうるさかった。結局、ヘリの姿は見えなかったが、後に知った話だと北方稜線の遭難者を捜索する富山県警のヘリだったらしい。なお、遭難の当事者とは前日池ノ谷ガリーと三ノ窓で会話しており、後日、剱沢野営場で縄さんや後輩らが情報聴取に応じていた。

 我々が懸垂下降するころには、後続の東北大隊も登り終えていた。懸垂下降はルンゼに直接下る方向ではなく、一旦コルに降りるルートを選んだほうがよい。先行して下降した落合から「ロープがスタックして回収ができない」と合図があり、僕の番で下降ルートを変えた。

 チンネ左稜線は2024年夏合宿で近江・尾高ペアが登ったときに、TOまで8時間?ほどかかったという話を聞いていたためかなり警戒して挑んだが、実際はそんなに時間はかからなかった。脆い箇所はなく快適な岩だった。景色は霧により全くなかったが、高度感もありいい眺めなんだろうな。 


僕は昨年やったので@チンネの頭



 8/16 チンネ中央チムニー
メンバー:沼田(4L)、落合(2記録)
天気:霧
0450 三の窓
0540 チンネ中央チムニー登攀開始
0830 チンネ中央チムニーTO
0955 三の窓 1010
1205 剣岳
1355 剣沢野営場
 三の窓から中央チムニーがよく見えていたため、取り付きで迷うことはないでしょと思っていたが、この日はガスっていたので盛大に迷う。ジャンダルムの左のルンゼっぽいところを少し登った後、左のルンゼに入り、1度中央チムニーを登っている沼田さんの記憶も頼りに取り付きに到着した。()内名前はリード。

中央チムニー 登り始め


 1ピッチ(lll+落合)
凹角とフェースを行ったり来たりしながら登る。しっかり濡れていたので細かいスタンスに立つと不意に滑りそうだった。
 2ピッチ(lll+落合)
凹角を抜けて緩傾斜に出る。中間支点をとった際にロープが盛大にキンクしてしまった。
 3ピッチ(沼田)
ほぼ歩きでaバンドの取り付きまで。
 4ピッチ(lll+落合)
aバンド
 5ピッチ(lll+落合)
bクラック
 6ピッチ(落合)
前のピッチでチンネの頭まで行ってしまおうか迷ったが、ロープの流れが悪くなりそうだったので途中で切った。結果的に前のピッチで頭まで行ってしまったほうがよかった。

 チンネの頭で沼田さんに成長したなと言われて嬉しかったが、テント場で人間力がないと言われて悲しかった。せめて生活力って言って。チンネの頭から懸垂下降で池ノ谷ガリーに降り立ち、そこに荷物をデポして三の窓の荷物を回収しに行き、北方稜線、別山尾根経由で剣沢まで戻った。




 同日 [源次郎尾根班]
メンバー:縄(OB)、鈴木(2・記録)、今野(1)
天気:晴れ
4:20 剱澤小屋テント場
5:50 平蔵谷出合
6:20 取付き
9:40 剱岳本峰
12:00 剱澤小屋テント場
 井上は靴擦れがひどいようで、合宿後に縦走も控えており、何より数日前に源次郎尾根に行っていたため、今回はお留守番ということにになった。

 さて、源次郎尾根は比較的人気であることから、混雑を予想し、夜明け前の午前4時出発を予定していた。しかし、準備がもたついて結局予定時間をやや過ぎての出発となった。前2日間の様子も見て、縄さんとは少し厳しめに1年生を指導していこうと話し合っていたのだが、もう少しテキパキと行動してほしい。

 私のヘッドライトはルーメン値が低いのか、電池残量が少ないのか、今野のヘッドライトに比べて暗く、雪渓に乗り移るまでの下りに若干不安を感じながらも先頭を歩いた。

 平蔵谷出合に到着し、取付きを探すが苦戦する。井上から「思っているより真砂沢側」などの情報を仕入れてはいたが、一度取り付いてみたところはガレガレですぐに諦めた。過去の記録ではピンクテープの誘導があったとの記述も見かけたが、テープは見当たらなかった。結局3,40分程度探し回り、ようやく発見した(写真は撮ったと思っていたがありませんでした。すみません)。少し登って振り返ると、後続パーティーがアイゼンを脱ぎ始めているところだった。その後は順調に進み、先行隊が唯一ロープを出したという箇所も、鈴木リードで難なく通過する。下級生がいる場合はロープを出したほうが良いだろうが、特に難易度が高いわけではなく、左側から登るほうが簡単といわれていたが、右側から登っても特別難しさは感じなかった。これ以降は、第2岩峰の懸垂地点までロープを出すことなく、途中、今回の夏合宿でもはや恒例となった今野の靴紐解けましたに時間を費やされることが何度かあったが、サクサク通過していく。ほかのパーティは、途中で先述した後続が30分ほど遅れて登っている様子が伺えたが、第2岩峰に到着するまでどのパーティともすれ違うことはなかった。先頭かと思っていたが、懸垂地点に到着し、下を覗くと1パーティがいたので違った。懸垂してから本峰までの登りは今野も頑張りを見せ、ほぼ予定通りに到着。昨日より晴れていて景色も綺麗だったので、一応写真も撮って下山した。最後は少し急がせて正午ピッタリにテント場へ戻った。


第2岩峰から懸垂下降


 8/17 6峰Cフェース剣稜会ルート班
メンバー:沼田(4)、鈴木(2・記録)
天気:晴れ
4:00 剱澤小屋テント場
5:00 長次郎谷出合
5:30
6:30 6峰Cフェース取付き
9:30 6峰の頭
13:50 剱澤小屋テント場
 縄さんは今日下山する予定だったが、今野が膝の痛みを訴え、Cフェースには登らないということになり、縄さんは自家用車で来ていたため、縄さんのご好意もあって今野は一緒に1日早く下山することになった。

 Cフェース組は取付きまで十字のクラックを飛び越えたりガレ場での落石があったりしながらも比較的順調に進む。途中、休憩していた2人パーティーを抜いたが、どうやらCフェースを予定していたらしく、我々もCフェースであることを伝えると、Aフェースに切り替えてくれたらしい。大変ありがたい。

クラックを覗き込む

 取付き基部に到着し、どこから登るか落合と検討するが、それっぽい場所は見当たらなかったので、とりあえず地面が平坦で準備しやすいところから登ることにした。落合・井上パーティーが先行し、沼田・鈴木パーティーが後に続く。沼田さんがフォローだったので、安心してリードすることができた。1ピッチ目はトポではスラブを左上とあったが、我々はスラブを右上した後、ルンゼっぽいところを左上した。落合班が残置で終了点を作っていたが、落合が2p目を終えるまで時間がかかりそうだったので、近くのハイマツ帯で支点を作った。しかし、この支点が色々まずく、後から登ってきた沼田さんにダメ出しをされるのであった。2p目の終了点は落合班から自分たちの左側に残置があると教えられ、いわれた通り落合班より左側の崖に近い広いテラスを終了点とした。3p目は記憶が曖昧だが、最初のナイフリッジを通った後でピッチを切った。トポでは最初フェースを右上とあったが、2p目終了点すぐ上の岩場を直上し、左のリッジ沿いに登った。落合班は3p目でRCCルートの合流したようだった。4p目もナイフリッジがあり、リッジが終わってすぐの古い残置ハーケンを使いつつ終了点を作った。5p目は4p目終了点からすぐ先の広いところに信頼できる残置支点があったので、そこを終了点としたが、もう少し上にいったCフェースの頭にも残置支点があるようで、沼田さんをそのまま頭へ行かせた後、鈴木は確保なしで頭まで登った。途中で抜いた落合班の到着を待ちつつ休憩し、Ⅴ・Ⅵのコルへの懸垂地点を探した。事前情報では、25 mと50 mの懸垂を一回ずつでコルへ下りることができとのことだった。頭からは色んな踏み跡や懸垂地点が錯綜していたが、昨年もCフェースに登った沼田さんがピッタリ懸垂地点を見つけ、事前情報通りの懸垂で下りることができた。どちらのポイントもハイマツで支点が作成されていた。懸垂を終えた後は、下りのガレ場も慎重に進みながら幕営地まで戻った。


剣稜会ルートから見た落合



落合、井上班(記録:井上)
 1ピッチ目は、比較的簡単なスラブを登り、ピッチを切った。後発の鈴木が後から登ってきたが、終了点が狭く、ロープが邪魔になっていたので大変そうだった。2ピッチ目は、1ピッチ目ほどは簡単ではなかったが、スラブかつホールドも悪くなかったので気持ちよく登れたと思う。3ピッチ目は、もともと剣稜会ルートで登攀する予定ではあったのだが、2ピッチ目の終了点がかなり右にあったこともあり、剣稜会ルートよりも右側にあるJECCルートの方向に舵を切った。4ピッチ目は、さすがに登ってきたこともあり高度感が出てきたが、越沢バットレスでパンプをしかけていたことを思い出すと大して恐怖感は感じなかった。4ピッチ、5ピッチ目は、JECCの方向ではあるものの、藪の方に入るなどし、完全にJECCルートを登れた訳では無いので、もし次回登攀することがあれば、忠実にJECCルートを登ってみたい。


 8/18 下山(記録:井上)
天気:晴れ
5:50 剱澤小屋テント場
6:30 剱御前小屋
8:10 室堂
 長かった剣定着もついに終わりを迎え、私たちは室堂に出発しました。下りは、早々と終わり室堂に着きました。そこから、沼田は帰途に着き、鈴木は家族と合流、井上と落合は縦走に出発しました。私は、後に縦走があったとはいえ、定着をやりきったことに一定の達成感を覚えました。


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