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2022年2月10日木曜日

20220210_冬合宿(崩沢尾根~蝶ヶ岳)

 2022/2/10~2/13 冬合宿(崩沢尾根〜蝶ヶ岳)

 

メンバー:小久保(4)、土田(3)、降矢(2)、孫(1)

 

2/10

 

天気:雪

 

4:30 林道ゲート

8:30 林道途中の駐車場

9:00 尾根取り付き

16:00 1550m付近で幕営

 

 

 崩沢尾根は蝶ヶ岳から大滝山の稜線上から三股まで伸びる尾根で、かつては登山道があったそうだ。長塀尾根ほど一般的ではないが綺麗な形をした尾根であったので今年度の冬合宿の行き先とした。当初はこの尾根から蝶ヶ岳まで上がり、常念岳まで縦走して東尾根を下るという計画をしていたが直前で参加できるメンバーがかなり減ってしまったので尾根往復の計画に変更することになった。

 

 29日に終電で豊科駅に向かう。豊科駅でステーションビバーク(というよりただの野宿)をする。4時にタクシーを予約していたが3時半くらいに来てくれたのであわてて準備を済ませて烏川林道ゲートまで移動。林道は「ほりでーゆ〜四季の郷」近くのゲートが冬季閉鎖されていてそこから10km弱歩くことになる。林道は大平原までは踏み跡豊富で、最も危惧していた林道ラッセルは免れた。大平原を超えたあたりから踏み跡が急に消滅し、膝下くらいのラッセルとなる。三股手前の第二駐車場で林道を外れて、増水注意の看板の横の鉄パイプでできた手すり沿いに作業道らしきところを高低差2030mくらい下ると沢にかかった吊り橋が現れる。思ったより立派な吊り橋で底板こそ外されていたが枠を歩けば全くもって簡単に沢を安全に渡ることができた。



第二駐車場に入る




第二駐車場の看板の右側の道を下る


 

駐車場から橋までの道






 

 沢を渡って少しだけ作業道を歩いて尾根の凸になった部分に移動して、そこでワカンを装着していよいよ尾根の登りに突入する。尾根下部は急傾斜で、積雪量も1mあるかないかぐらいであったので、踏み抜きや雪から出てきた薮で足を滑らせてしまい先頭のラッセルに加えて後続もなかなか大変であった。特に尾根末端の傾斜は急であり、1時間で70~80m程度しか登れなかった。1年生が雪道を歩き慣れていないということもありラッセルの速度に追いついてこないので3人でとにかくラッセルを回すことにする。流石に登るスピードが遅すぎるので休憩は交代でとり常に誰かがラッセルしている状態にする。また斜度が急で荷物を背負ってラッセルすることが困難な箇所は空身でラッセルすることにした。空身ラッセルの欠点は2番目も実質的にラッセルをしなければならないところである。当初は1日目で2000m付近のところで幕営する予定であったが、そこまで行くのは到底不可能であることはすでにわかりきっていたので1550m付近の少し平らなところをこの日の目標にしてとにかく進む。結局そこに到着したのは16時を過ぎた頃であった。しかし1550m付近は結構平らでテントが張れる場所に苦労することはなかった。

 

 雪が降りしきる中急いでテントを設営する。テントに入った後、水作りを始めたわけだがここで深刻な問題が浮上する。孫の行動食がほとんど尽きかけてしまっていたのである。本人曰く「行動食を買いに行く時間がなく、家にあったものをかき集めた。」ということであったが、前日豊科駅付近のコンビニにいった時に買えばよかった話であり、つまりはどれくらいの行動食が必要であるのかがわかっていなかったということになる。私自身かつて行動食がつきかけたことがありその反省から行動食は必ずカロリーを計算して持っていくようにしていた。カロリーを計算して持っていくということを1年生に伝えていなかったことは我々の失態である。そんなことを言っても仕方ないので水を作りながらどうすればいいのかを考える。他のメンバーの行動食も他人に融通できるほどあるわけでもない。そうなると予備食のα米を使って行動食を作るという手法しかなくなるが、どうやらカロリー的に一日分の行動食を作るには1回分の食事の量(120g×4人分)が必要であり、予備日をどれほど使うか見通せない中で予備食をほぼ全て使ってしまうのはどうかという話になった。撤退が頭をよぎる中、思いがけないことがおこった。なんと予備食を余分に持ってきていることが判明したのである。食料計画では予備日3日分の予備食のうち、α米120gは夜食分で朝食の予備食は棒ラーメンということになっていたが、棒ラーメンに加えα米を朝食分も持ってきており余剰が120g×4人×3日分発生することになった。これで一応問題は解決ということになった。無駄な食料を担いだ先輩には申し訳なかったが結果的に我々を救う結果となった。

 

 

 

2/11

 

天気:晴れのち雪

 

6:30 出発

11:35 2003m地点

15:30 2260m付近で幕営

 

 2日目は3日目に登頂するためにとにかく高度をあげる日であった。6時に出発する予定であったが朝に行動食と紅茶を作ったので出発時間が遅れた。天気は前日の雪と打って変わって晴れであった。体感では昨日よりかは雪がしまっていて登りやすく感じたが、急斜面や踏み抜きがちょくちょく出てきて苦労は続いた。1700mを超えたあたりで少しひらけた場所があり常念岳の美しい姿を拝むことができたがしばらくして徐々に上部からガスに覆われいつの間にか自分たちがいる場所もガスに覆われてしまっていた。1800mあたりから急登を超えると1900m付近の平らな場所が出てくる。これを少し登ると2003m地点に達する。ここからは緩やかな登りでラッセルも楽になる。尾根上を無心で歩き続け15:30頃に2260mあたりに平らな場所があったのでそこで幕営することにした。



急登のラッセル


 

ちらっと見える常念




 

2/12

 

天気:薄曇り

 

6:20 出発

9:10 稜線合流

11:00 蝶ヶ岳山頂

14:00 幕営地撤収

18:30 大平原

 

 この日は山頂に向かう予定の日である。6:20分に出発。尾根上は木々が密集しており尾根幅が小さい箇所は少し歩きにくい。また尾根上は木が密集しているせいで踏み抜きが多く、少し脇の斜面を歩いた方が楽であった。また雪庇はほとんどなかった。3時間弱歩くと登山道のある稜線に合流する。稜線といってもただの樹林帯なので全く展望がない上にどこが登山道であるのかがなかなかわかりにくい。尾根と稜線の合流点はピークになっておりそこから蝶ヶ岳方向へはコルに向けて100m弱下ることになる。コルからは山頂に向けてひたすら登る。山頂から100mくらいになると木々の背丈も低くなってきて展望も開けてくるが槍穂高連峰は長塀尾根によって見えない。山頂直下になると雪もだんだん硬くなってくるがアイゼンを履かなければならないほど硬いわけではなく、ワカンのまま歩行する。そして11時に山頂到着。天気は快晴とはならなかったが展望は素晴らしく、東は安曇野の街並み、西は槍穂高連峰がはっきりと見えた。写真を撮っていると長塀尾根方向から3人パーティが上がってきたので写真を撮ってもらう。本山行で唯一、他パーティを見た瞬間であった。頂上は驚くほど風がなく、去年の9月に来た時の爆風とは打って変わって穏やかな山頂でのひとときを楽しむことができた。




尾根上から朝日


目指す山頂が見える


山頂まであと少し


山頂!




 

 この日は翌日天気が下り坂であることが予想されていたのでテントを撤収してできるだけ下山したいと考えていたので、さっさと下山を開始する。稜線と尾根の合流点のピークはトラバースすれば巻けそうであったので巻くことにしたがトラバースが踏み抜き地獄で先頭の私はかなり消耗してしまったが後続の3人の消耗はあまりなさそうであった。13時過ぎに幕営地に到着。テントを撤収して14時に出発。1時間程度かけて2003m地点に到着。そこからさらに1時間程度の下りで1日目に幕営した1550m地点に到着する。このペースだとあと1時間で尾根取り付きまで降りれそうだという話になりこの日に尾根取り付きまで下山することにする。1550m地点から40分程度で尾根取り付きに到着。7時間かけて登った場所が40分で下れるとはなんとも虚しいものである。尾根末端で遂にワカンともお別れ。橋を渡った後の林道までの登り返しが地味に鬱陶しいが気合いで登る。第二駐車場に到着したが、林道を2~3km降りればトイレと屋根のある休憩所のある地点(大平原という場所)があったことを思い出してそこまで行っちゃおうということになった。結局林道を降りることになったが、さすがに1年生のペースが落ちてきたので空身で歩いてもらって荷物は後で回収することにした。大平原に到着した時には18時を回っていた。屋根のある休憩所のようなところにテントを無事張ることができ、気温も高かったので野外炊事をしようかと思ったがだんだん寒くなってきたので、結局テントの中で炊事を行なった。その日は着ている服を入念に乾かしたので就寝時刻は22:30を過ぎていた。




日没直前


 

 

2/13

 

天気:曇り

 

8:50 出発

10:40 烏川林道ゲート

 

 この日の起床時刻は7時。外は既に明るく、だらだらと朝食の準備を行う。その後のんびりテントの撤収を行い出発。無心で林道を歩いて全行程は終了。林道ゲートのすぐ近くには、ほりでーゆ〜四季の郷という立派な温泉施設があり、そこで入浴と食事をとりタクシーで豊科駅に向かった。




先輩は最後まで元気でした


 

 崩沢尾根はアプローチの林道10kmは面倒であるが、渡渉が安全に行える、尾根上にナイフリッジ等の危険箇所が一切ない、要所要所にテント設営が可能な平らな場所がある、尾根全てが樹林帯であるので風をもろに受けることが少ない(樹林帯であることの欠点としては展望が一切ない)、という点を考えると冬季蝶ヶ岳のルートとしての潜在価値はかなりあるのではないかと感じた。

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