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2017年9月8日金曜日

2017.09.08 大井川西俣から南ア縦走記録(後半縦走)

メンバー : 中山(), 中西

記録 :

911        天気 : , 夜から雨

0430起床 ─ 0622三伏峠小屋 ─ 0636三伏山 ─ 0717本谷山 ─ 0815ゴーロ ─ 0840塩見新道分岐 ─ 0900塩見小屋 ─ 0945塩見岳西峰1005 ─ 1041北俣分岐 ─ 1205北荒川岳1245 ─ 1457熊ノ平小屋 (1630設営 1930就寝)

三伏峠で山行が一区切りついてしまたので, 南アルプスの縦走が面倒くさくなっていた。エスケープする理由はいくらでもある。12日の天気予報は雨だ。縦走を行なったとしても確実に停滞する。一般道の縦走なのに沢靴・登攀具・ザイルを担いで行かなければならない。シングルウォールであるG-LIGHTテントは防水性能に不安がある。北沢峠まで長い。気持ちが切れかけていた。11日の朝になっても縦走か下山か迷っていた。塩見方面の天気は悪くなりそうだが, 下山の決め手とはならなかった。メンバーの体調も良好で食料も十分にある。とりあえず縦走に出発することにした。

2人とも以前通ったことのある道だ。塩見新道分岐の周辺は北側が開けている。甲斐駒の花崗岩の岩肌はここからでもよく目立つ。塩見小屋から45分で塩見岳西峰に着いた。山頂標には, ローマ字とハングルで読みが書かれている。「西峰」の読みは, ローマ字では「セイホー」, ハングルでは「ニシノミネ」となっている。どちらが正しいのだろうか。

北側はガスっていて視界が無かったが, 南側は悪沢岳まで望めた。ここから見える大井川は山間の奥底を流れていて川面は見えないが, 三伏沢の突き上げていく様子はよくわかる。ここで中西のスマホが壊()れた。携帯を修理する, という下山の理由ができてしまった。ここから熊ノ平まではエスケープルートの話ばかりしていた気がする。北俣分岐からはガレ場の上部をトラバースする。濃霧時はガレ場を下りて行かないよう注意が必要だ。トラバースが終わると雪投沢のコルに着く。雪投沢方面のルートは霧でよく分からなかった。ガレ場の縁沿いに1ピッチ歩くと北荒川岳に着く。山頂で40分ほどかけてラーメンを作って昼食とした。行動中に食事を作る機会が今後あれば, 風の弱い樹林帯で作りたい。この先は熊ノ平まで緩やかなアップダウンを繰り返しながら樹林帯を進む。新蛇抜山の手前にある竜尾見晴はそこだけ窓を開けたように展望が良い。天気が良ければ爽快だろう。先ほどまで晴れていた南の空から怪しい雲が迫ってきた。急いで北上する。

ほどなくして熊ノ平に着いた。小屋でぜんざい(500)を頂く。おいしい。次の山行ではあんこを持っていくことを決めた。翌12日に下山する案も出たが, 大雨の予報が出ていたので翌日は停滞とする。テントを設営する前に, テン場にあったベニヤや石を積んでテントを浮かせて浸水対策とした。それでも夜通し降った雨によってテント内に水たまりができた。空気口周辺の素材はなぜか防水ではないらしく, 数分でびしょ濡れになってしまう。出入口のメッシュからも寝ている間に水が垂れてくる。 G-LIGHTは雨が予想される山行では不適だ。冬山用として考えるべきだろう。



912        天気 : , 14時から回復

(0800起床 1830就寝)

昨晩から降り続いた雨は朝になっても止まない。腹がへったので8時ごろに起き出した。一晩でシュラフもザックもびしょ濡れだ。下山はおろかトイレに行くことさえはばかられる大雨だ。それでも とりあえずテン場代は払いに行かなければならない。12時~15時のランチタイムに合わせてテントを出る。熊ノ平小屋でうどん(800)を注文した。雨が降っているので屋外ではなく小屋の中で頂いた。隙間風1つ吹かないことに加えて, ガスストーブが焚いてあるので暖かい。ぐっしょりと濡れたテントに戻ることを考えただけで気が滅入る。雨の日は小屋泊に限る。うどんにはサービスとして ちまきが付いてきた。中華ちまきではなくて, 炊いたもち米をきなこに付けて食べるだけの ちまきだったが, これが非常に美味しかった。今までのエッセンに足りなかったのは, きなこだ。タンパク質も摂取できて一石二鳥ではないか。今までどうして気付かなかったのだろう。きなこをテントに持ち帰って茹でた餅に砂糖と一緒に付けて食べてみた。おいしい。次の山行ではきなこも持っていくことを決めた。

雨は14時ごろから漸次弱まっていった。小屋では一時的に精神力が回復したが, テントに戻るとエスケープの話をしてしまう。翌日は好天の予報なので縦走の完遂に必要なのは ずくだけだ。野呂川の増水が心配だったので白峰三山縦走はパスした。両俣小屋に下りて野呂川出合からその日のうちに下山するか, 北沢峠に下りて一泊してから次の朝最初のバスで下山するか。翌日の気分で決めることにした。とにかく野呂川出合で9時台のバスに乗るため1時半に起床することにして就寝した。



913        天気 :

0200起床 ─ 0345熊ノ平小屋 ─ 0414三国平 ─ 0502三峰岳 ─ 0649野呂川越 ─ 0718横川岳 ─ 0814高望池 ─ 0822伊那荒倉岳 ─ 0930 2677 ─ 1059大仙丈ヶ岳 ─ 1123仙丈ヶ岳1200 ─ 1249薮沢大滝ノ頭 ─ 1345北沢峠1530 =(バス)= 1555広河原1640 =(バス)= 1830甲府

1時半に起床した。夜気が凛々として身にしみる。2時にシュラフから出た。快晴で風もなくて穏やかな朝だ。野呂川出合に下りて今日中に下山するのか, 北沢峠に下りて翌日下山するのかは まだ決めていない。とりあえず野呂川越まで行ってから決めることにした。テントを撤収して三峰岳の登りに取りかかる。朝一の冷え切った身体には重労働だが, 前日停滞していたせいか不思議と足取りは軽かった。三峰岳に着いたころにはヘッデンが要らないほど明るくなっていた。

三峰岳からの下りでは, 巻きすぎたのか一般道をロストした。すぐに復帰して事なきを得た。しばらくは稜線上のハイマツ帯を露にぬれつつ進む。正面には仙丈ヶ岳が遠くに見えて, その東には甲斐駒ケ岳が黒黒と不気味にそびえている。西には雲にとざされた駒ヶ根市街を挟んで木曽山脈の全体が見渡せる。

野呂川越に向かっている途中で, 北沢峠へ下りても今日中に甲府に着くことができることに気付いた。北沢峠の最終バスは15:30だ。野呂川越から8時間以内に北沢峠に着けば間に合う。コースタイムを考えても十分可能だと判断した。北沢峠に下りることが この瞬間に決まった。

樹林帯に入ってしまうと野呂川越までの下りは展望もなくて長くて退屈だ。馬鹿尾根と呼びたくなる気持ちがよくわかる。野呂川越から横川岳までの登りは, 三峰岳からでもはっきりそれと見てわかる急登だ。横川岳まで登ってしまうと伊那荒倉岳まで特徴のないアップダウンが続く。倒木の多い樹林帯となり, 一日中降った雨によって足下はひどくぬかるんでいる。 ひらけている箇所からは仙丈ヶ岳とそこから蜿蜒と伸びる尾根が目を楽しませてくれる。伊那荒倉岳は, 山頂標があるものの展望はなく, 尾根上の1ピークに過ぎない。奥秩父を思い起こさせる特徴の無い尾根だ。この先は尾根通しに苳ノ平まで道が続いているはずだが, どこで道を間違えたのか西側を巻く鹿道に入ってしまって一般道をロストした。すぐに復帰して事なきを得る。苳ノ平は既に通り過ぎてしまったようだ。ここで中西が右手の親指を負傷した。痛そうだが何もすることはできない。一登りすると2676峰に着く。ハイマツに囲まれたピークでここからの景色が抜群だった。

正面には仙丈ヶ岳と大仙丈ヶ岳カールが見える。南アルプスの女王の名に恥じない気品と風格を備えている。仙丈ヶ岳の右肩からは摩利支天を従えた甲斐駒が白い頭をのぞかせている。皆一様に青い南アルプスの山々の中で甲斐駒だけがその荒々しい岩肌を見せている。甲斐駒の手前には早川尾根が横たわり, アサヨ峰を頂点としてゆるやかに地蔵岳のオベリスクまで連なっている。野呂川は北岳をぐるりと取り囲み, 他の山々から北岳を際立たせている。支尾根の少ない仙塩尾根に対して, 北岳だけは自由闊達に尾根を伸ばして我が物顔で土地を占有している。北岳バットレスが見えないためか本邦第二の高峰としての威厳はない。ただ白峰山脈の北端として静かにその存在感を放っている。間ノ岳・三峰岳から右に目を転じると今朝発った井川越の深い谷が見える。稜線をたどると塩見岳がその美しい山襞をむき出している。伊那方面には, 本谷山から派生する()上伊那・下伊那郡界尾根を背景にして, 地蔵尾根の支尾根である中尾根や, 黒檜山などが見える。いずれも目鼻立ちがはっきりとせず, いくらか単調な印象を受ける。

ここから仙丈ヶ岳までは, 正面に仙丈ヶ岳・右手に甲斐駒ヶ岳を常に望みながら歩くことのできる贅沢な尾根道だ。大仙丈までの急登は相当なアルバイトだが景色が良いため気分は爽快だ。午前中に仙丈ヶ岳の山頂に着いた。我々が休憩している間にも, 数十名の登山者が行き交うほどの大盛況だった。下りのコースタイムが3時間なので, 何が起きてもバスには間に合う。山頂で30分ほどゆっくりしてから下り始めた。果たして2時間弱で下ることができたのだが, ここで最終バスの一本前のバスがつい15分前に出発してしまったことを知った。次のバスまで2時間ある。山頂での休憩をちょっと短くするだけで2時間も早く甲府に帰ことを思うと悔しい。帰りのバスは満杯だったが, 芦安で我々2人だけを残して皆降りてしまった。

甲府に着いて高砂湯に行くと9月で営業終了と書いてあった。特に思い出はないが, 甲府に来るたびに通っていた銭湯なので少しさびしい。夕飯は, 添乗員さんがおすすめしてくれた「とんかつ力」で食べると決めていたが, 風呂上がりに寄ってみると営業時間外だった。20時までの営業なので次回利用するときには気を付けたい。


 (中山)

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