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2020年8月6日木曜日

20200806_小川谷廊下

20200806 小川谷廊下 記録

 

日程  :8/6()

メンバー:L畑中、新垣(記録)

天気  :晴れ

行程  :8:00 玄倉バス停

     9:40入渓

     13:05 遡行終了

     15:30 玄倉バス停

記録

 コロナによる自粛のせいでメンバーは両名とも復帰戦であったため、登攀グレードが低いルートで、晴れが続いた水量の少ない日に山行を行おうということになった。しかし、いざ現地へ行ってみると山の緑のダムとしての機能は優秀で長梅雨の後の沢の水量は過去の記録と比較してもかなり多かった。

 入渓後にいくつか梯を下降し地図上では引き返す必要があり二股まで行き、右股へすすむ。一つ目の難所は滝ではなく、チムニー状の岩の隙間。A0やお助け紐をリーダーに出してもらいつつ越える。その後は、水流沿いに進むことができロープを出す必要はない。次の危険箇所はⅢ級程度の滝の高巻きである。苔むしたルンゼやフェース状の岩を慎重にのぼる。ここは、メンバーの実力次第ではロープを出していいかもしれない。高巻き後は、木の根を支点としている残置ロープ等を利用しつつ丁寧に沢に復帰する。崩れた石堤ともう一つの石堤を過ぎたあたりから、旧作業道に出ることができる。

 下山ルートは所々崩壊しており、また道がわかりにくかった。ヒルは下山道の草むらに大量におり、4匹ほどズボンに噛み付いていたが塩で全部駆除した。久しぶりの山行でかつ、綺麗な水量の多い沢であったため最初はテンションが上がりほとんどの滝を水流沿いに突破していたが、最後は疲労で水の抵抗が辛くなり河原を歩く始末であった。体力の増強に努め、コロナ自粛解禁とともに山に行けるよう準備していきたい。




20200806_大山

202086(大山

メンバー:箱守(4)、土田(2) 

 

天気 晴れのち曇り

 

8:30(大山ケーブルカーバス停)9:30(下社)11:30(大山)13:20(蓑毛バス停)

 

 3月下旬に突如発表された課外活動の全面停止から4ヶ月経過し、季節は厳しい冬から酷暑へといつの間にか変わってしまっていた。思い返してみれば最後に山に行ったのは2月下旬の八ヶ岳登攀だった。当時は厳しい寒さに耐えながら登攀をしたことは遠い昔のように思える。7月下旬から順次再開が認められ長期間の空白期間がありまた自宅待機(ステイホーム)が推奨された期間があった他、今年の長梅雨の影響で外に出て運動する機会が少なかったため今後の活動へのステップとして今回真夏の大山に行くことになった。

 

階段をのぼる
当日は梅雨明けで東京でも気温が30度を超えており非常に暑かった。大山ケーブルカーバス停からケーブルカーを使わずに参道と思われる道を歩いたがかなり傾斜のある階段で下りは結構怖そうだなと思いつつただひたすら下社を目指して階段を登った。930頃には下社に到着した。この頃は太陽が強烈に照りつけ相当暑かった。この辺りは人気の観光地だそうでかなり整備されておりいつも人が多いらしいがこの日は平日ということもあってかあまり人はいなかった。下社からは参道というよりかは登山道という雰囲気の道をひたすら登り続ける。途中途中に熱中症にならないように休憩を挟む。標高が1000mを超えたあたりから急にガスが出てきて視界がかすみだしてしまう。しかしそれは強烈な日差しを遮ってくれるので好都合であった。11時半頃に山頂に到着した。山頂についた頃にはガスが少し晴れ山頂からの景色が見えるかと期待したがそれは叶わなかった。山頂で休憩した後下山を開始するが再びガスが一面を覆ってしまった。山岳神社で霧がかかるとその雰囲気は凄まじく、まるで自分が異世界に迷い込んでしまったように思えるほど幻想的な雰囲気を醸成していた。登山では下りでも筋肉消費は激しいがこの日はのぼり以上に下りの時にここ数ヶ月の運動不足と筋力の低下を感じた。標高が下がると当然気温も高くなりバス停に着く1時間前ほど前からだんだん不快な気温になっていきだんだん汗の量も増えて行く。それでも無事蓑毛に到着。バス停付近では渓流を使った川魚釣りをしている家族連れが多くいて今年はあまり感じる機会がなかった本格的な夏の到来を感じた。


下山したはいいもののバスに乗って駅についた時ぐらいから頭痛や吐き気、手足の痺れが発生し完全に熱中症だと悟った。自分の中では水分や塩分のこまめな摂取を心掛けてはいたのだがそれでもダメだった。暑さに体が慣れていなかったのであろうか。以後気を付けたい。

幻想的


 今年の夏は例年の夏のように幅広く活動することは残念ながらできない。私も今年の夏は45日でどこかに縦走に行こうかなと考えていたのだがそれはおそらく実施できない。夏は思うように活動できないが今年の冬こそは例年とまでは言わないがある程度の幅の活動ができることをただ願うばかりである。そのためにも低下した体力をなんとしても回復させさらに去年以上の体力を獲得したい。今回相当久しぶりに緑に囲まれた場所に行ったがやはりずっと家に閉じこもっていて忘れていたものを思い出させてくれる感じがした。

2020年3月23日月曜日

2020/3/23-26_剱岳早月尾根

剱岳 早月尾根

日程:3/23-26

メンバー:縄(3,L)、畑中(3,SL,記録)、箱守(3,食料)、福田(2,装備)

1日目

天気:快晴のち曇りのち雪

6:45 伊折
9:15 番場島
14:50 1700m地点



夜行バスに揺られて富山駅へ。そこから上市まで電車で行き、その後伊折までタクシー。約8000円。


いよいよスタート。林道の前半にはほとんど雪が無く、剱岳に向かっているという実感が湧かない。初めはクロックスで歩いていたが途中から雪が出始めたので登山靴に履き替える。そんなこんなで2時間ほど歩き馬場島に到着。富山県警の方に挨拶をし諸々の確認を済ませていざ登山開始。


最初の急登の階段は夏道が出ていたが、松木平手前まで上がるとラッセルが腿あたりになったので、松尾平の平坦な場所へはトラバースせずに雪の少ないリッジ通しに進む。
ラッセル
その後もワカンに履き替えたりしながら1700m地点で幕営。富山湾が見えて景色がとても良い。

1700m地点の幕営地



2日目

天気:風雪


6:00 起床
8:20 幕営地発
11:30 早月小屋



今日は天気も悪く夜まで風が強い予報だったので早月小屋までしか登らないことにして、遅めの出発。


ひたすらラッセル。初めはワカンで進んだが、硬い雪の層がありワカンだと歩きにくくなったのでアイゼンに履き替える。ワカンによる浮遊力を失ってしまい踏み抜き地獄となりなかなかに辛い。たまに下の地面までぽっこり空いている大穴が出てくるのでヒヤヒヤする。



3ピッチで早月小屋に到着。雪を掘りしっかり風防ブロックも積んだアタックキャンプを完成させる。時間があったのでトレースを付けに行こうか迷ったが、依然として天気は悪く効果が薄いとして結局行かなかった。
早月小屋脇の雪壁で遊ぶやつ



3日目

天気:快晴


3:30 起床
5:00 早月小屋発
5:45 2480mピーク
6:35 2614mピーク
7:30 約2800m地点
8:25 剱岳山頂
8:45 剱岳山頂発
9:00 カニのハサミ、25m懸垂ちょうど
9:40 約2800m地点、25m懸垂ちょうど
10:20 約2720m地点、50m懸垂ちょうど
10:40 約2650m地点fix開始、約50-60m
11:10 約2650m地点fix終了
11:50 2480mピーク、大休憩
12:15 2480mピーク発
12:45 早月小屋




いよいよアタック日。空は快晴。


メンバーの1人が口にした「星が近い。」という文言。詩的でいい表現だと思う。
富山湾に沿った夜景が綺麗


最初は昨日と同じくラッセルとなったが、すぐに硬い氷化した雪面が現れる。2480mピークに登ると、剱岳の西面がかなりの威圧感で迫ってくる。北方稜線も小窓尾根も剱尾根も早月尾根も全て見える。否応なしにテンションが上がる。
剱岳西面

早月尾根上部


休憩後再び出発し少し進むと鎖がある岩場に出会すが、ここは難しくない。しかしその直後数メートルはナイフリッジなので要注意である。その後しばらくは小岩壁や雪稜が続くが基本的に池ノ谷側の雪面を進む。所々傾斜が強く、雪も硬い。そうこうしているうちに2614mピークに突き当たるが、尾根伝いは難しそうなので池ノ谷側を巻く。池ノ谷側斜面は雪崩の心配もあり通過距離を短くしたいので出来るだけピークに近付いてから1人ずつトラバースする。かなりの強風で雪煙が顔に当たり痛い。
2614m峰トラバース終了後
雪煙が舞う

2614mピークの後は、傾斜の強い氷化した雪面と雪稜が交互におおよそ3回現れる。確実にアイゼンとピッケルを効かせながら登っていく。ダブルアックスの方が登り易い。






所々現れる急な雪壁

そのまま登ると岩峰に突き当たり、そこで風も避けられるので休憩。その岩峰の池ノ谷側を巻くとすぐに獅子頭となる。リッジ伝いに進むがそのままでは降りられそうにないので、池ノ谷側に少しクライムダウン&トラバース。昨日の降雪で隠れてしまっているが、ここも下の層がカチカチに氷化しているので慎重にアイゼンの前爪を蹴り込む。その後すぐにカニのハサミとなるが、ここはそこまで凍っておらずアイゼンがサクサク刺さるのでロープを出すか少し迷った後に結局出さずに登る。縦走路に合流しリッジを進むとすぐに頂上に着いた。登頂、かなり嬉しい。景色が良く、写真を撮りまくって大休憩。
頂上
剱沢
八ツ峰
集合写真、遠すぎた
自撮りしてみる

そして下山開始。結果として早月尾根の核心は登りではなく下降だったと思う。ロープを出したのは合計4回。カニのハサミと先述した3箇所の氷化した雪壁である。カニのハサミは岩にかかった残置スリングで約25mの懸垂。50mロープでギリギリだった。

頂上から見て雪壁1つ目はハイマツの根に括り付けられた比較的新しい残置スリングでこちらも25mちょうどの懸垂。
25m懸垂

雪壁2つ目は、ハイマツの根を支点として持参したスリングを巻き付け約50mの懸垂。
50m懸垂

雪壁3つ目は、1人目がビレイをして貰いながらクライムダウンをし、ロープを固定して2,3人目はfix通過。4人目はクライムダウンという方法をとった。理由としては懸垂下降に使える支点が無く、また50mで足りるか分からない上に途中でピッチを切れるかも分からなかった点等が挙げられる。4人目のクライムダウンは相応のリスクがあるがダブルアックスを持ったメンバーを当てることでそのリスクを可能な限り小さくした。


以上のロープを出した4箇所の後は特に難所もなく慎重に下るだけだ。しかし視界が無かったりすると道迷いや雪庇踏み抜き等その難易度は格段に高くなると思われる。


2480mピークに戻ってくると天気も良く展望も良いのでゆっくりと休憩をする。


ひたすらに綺麗
剱尾根と小窓尾根がいかつい

なんなら今日このまま馬場島まで下山できるぞ、なんて話をしたがやはり好天のなかでゆっくりと剱岳を堪能することにした。早月小屋に戻ってくるとシュラフを干したり靴を乾かしたりしながら長閑な時間を過ごす。夕方には荘厳な雲海も見ることができて、本当に幸せな長い1日だった。
雲海
長閑な時間



4日目

天気:快晴


5:00 起床
6:50 早月小屋発
7:45 1700m地点
8:45 1050m地点
10:10 馬場島
12:45 伊折



起床後すぐに星空を撮影するためにメンバーがテントから出たが、夜明け前は生憎の高曇りで星空は見えなかった。残念。


パッキングを済ませ、下山開始。硬い雪を踏み抜くと沈む上に硬い雪の層がストッパーとなり脛や膝がスタックして当たって痛い。登りはあんなにラッセルしたのに下りはすぐに済んでしまう。でも松尾平の平坦なところは踏み抜きまくってめちゃくちゃ辛かったです。そしてとうとう無事に馬場島に到着。有名な"試練と憧れ"の石碑で記念撮影をし、富山県警の方々にも下山報告を済ませ、快晴の中ゆったりと休憩をする。この下山後ののんびりとした時間、幸せ。
お疲れ様でした

伊折までの林道は完全に除雪されていてかなり楽になっていた。ありがとうございます。伊折からタクシーで上市まで送って貰い、帰路に着いた。
お世話になりました



2020年3月18日水曜日

2020/3/18-19_妙高火打BCスキー

妙義火打BCスキー 記録
メンバー:L縄(3)、吉田(3)、嘉村(1, 記録)


1日目
天候:晴れ

10:10 杉ノ原スキー場上部
12:00 外輪山稜線
13:20 カルデラ
16:00 大倉尾根
17:15 幕営

 前夜青春18切符で妙高高原駅に向かい、そこでステビバとなった。改札の外にある待合室は電気こそ消えないものの暖房が付いており、さらにWiFiもあるという間違いなく過去最高の環境だった。上部のリフトが10時前にならないと動かないということもあり、当日朝はゆっくりの出発。妙高高原駅からはタクシーで杉野原スキー場へ、そしてゴンドラ、リフトと乗り継いで上部に向かう。到着後、いざ板にシールを付けるというタイミングで嘉村のシールの留め具(BW、stsキット)のプラスチックの部分が破れてしまった。とりあえずその日中はテーピングでしのぎ、夜修理することとなった。

 最初の危険箇所、沢の横断は問題なく通過。全体として天気も良く雪質も非常に素晴らしい中でシール登行出来たのだが、嘉村と吉田はふかふかの新雪でのシール登行は初めての経験ということもあり、非常に苦労した。特にラッセルに関しては、縄は「そんなにしんどくないで〜」と言いながら軽々こなしていたが、実際にやってみると足先が雪に埋まってしまうなどなかなかうまくいかず、かなりキツかった。

奥に見えるのが最初の沢

 外輪山稜線から妙高山カルデラへの滑走では、嘉村にとっては初めての本格的な山スキーということもあり緊張を伴うものであった。やはりインザックを背負っての新雪の滑走はとても難しく、途中で何度も転んでしまったが、誰もいない雪面にシュプールを付ける快感は得難いものであった。

外輪山稜線からの妙高山

その後ほぼ平坦なカルデラの中を進み、頃合いを見て大倉尾根に登った。斜面がやや凍っておりひやりとする瞬間もあったが、段々と慣れてきたように思える。吉田はシール登行でのターンに苦しんでおり、最終的にシールを外して登っていた。その後大倉乗越から滑走し、黒沢池ヒュッテで再びシールを付けシール登行。ここで嘉村が足の疲労に靴擦れが重なり疲労がかなり溜まっており、しんどい局面だった。その後茶臼山から軽く滑走して高谷池ヒュッテを探したが、なかなか見つからなかった上に日も沈みかけていたので、適当な場所で幕営した。どうやら滑走時に下りすぎていたようだった。テント内でシールを修理し、明日のアタックに備え就寝。

大倉乗越 ここから幕営地へ滑走

※  実は、嘉村の板&シールはOBの方から譲り受けたもので、頂いた時点でもう片方の留め具が既に同じ壊れ方をしていた。その修理を前々日にしようと神田のIスポーツに向かったが、在庫が無く、その後神田の山スキーを取り扱う4,5店舗に問い合わせたがどこも在庫がない状態であった。3月という時期に加え、最近では部品を取り扱う店が非常に少なくなっているとのことだった。結局出発日当日に神田のたまきスポーツというお店が取り扱っているという事で、時間もなかったので部品だけ購入し、車内で自分で修理していたのだ(キットを金属の留め具にはめ込むだけなので、ナイフなどを用いれば自分で出来なくもないのだ)。

幕営地での夕焼け


2日目
天候:晴れ後曇り

  7:10 出発
  9:30 火打山登頂
10:00 滑降終了
11:00 天狗の庭北面滑走スタート
12:30 帰幕
13:00 幕営地出発
15:00 三田原山山頂
17:50 下山

 出発早々に高谷池ヒュッテを見つける。どうやら他にもパーティがいるようだ。最初の平地を順調に歩みを進めると雄大な火打山が目の前に見えてくる。こんな所を本当に滑れるんだろうか⁉︎と思いつつ徐々に登り始める。アイス気味になってやや恐怖を感じ始めた1ピッチ目終了時にスキーアイゼンを装着。火打山の手前で一旦平らになり、再び登り始めるところでアイゼンに履き替える。前日からの靴擦れが余計に痛く、やや辛かったが順調に登り、無事登頂!

3人で撮りたかった、、

 ホッと一息休憩を挟み、いざ滑走へ。サブザックということもあり前日よりは怖さはなくなっていたが、やはり最初は非常に恐怖を抱いていた。しかし、滑り始め、ゆっくりターンしていくと、素晴らしい展望の中、山頂からシュプールを描く素晴らしさに包まれ自然に興奮に変わってゆく。あっという間に下ってしまい、物足りなさを感じるほどであった。



 














僕たちだけのシュプール

その後は時間もあったので天狗の北面も滑走した。徐々にではあるが、新雪に慣れ始め、程よい斜面ということもあり純粋に滑走を楽しむことが出来た。もっと新雪での滑走を練習したい。

BCスキー初心者でも楽しめる斜面でした

帰幕し、メインザックを背負い下山する。黒沢池ヒュッテからは三田原山への急登だが、湿雪でシールにどっしり雪がひっついてしまい、足が今までの何倍も重く、思うように進めない。先頭のラッセルはさらに苦労し、ほとんど力になれなかった。振り返ればここでの登りがこの山行で一番しんどかったと思う。なんとか登り切り、そこからは滑走するだけかぁとホッとしたのも束の間、そこからもまたしんどい時間帯だった。まず足が疲労しきっており体重を支えるので精一杯、そしてしかも長いトラバースに加え樹林帯で雪質もあまり良くなく、あまり気持ちよく滑れる状況ではなかった。さらに、下部で一番危険度が高い沢の横断において、滑走するには斜度が大きいということで板を外して横断することになった。

 こうしてヘトヘトの状態でなんとかゲレンデ上部に帰還した。しかし日が沈みかけているということで急いで滑り降り、なんとか日が沈む前にゴンドラ乗り場に戻ることが出来た。最後はゲレンデの圧雪された斜面でさえパラレルではなく八の字で下っていくざまであった。これを機に筋力増強に励みたい。

2020年3月8日日曜日

20200308_木曽駒ケ岳


2020/03/0809 木曽駒ケ岳(西駒ケ岳)

メンバー:L箱守(3)、近江(3)、松坂(1)(記録)



今回の山行はもともと中央アルプスの縦走の予定だったのですが昨今の諸々の世間の事情を考慮して、やむなく木曽駒ケ岳のみにしたものです。なぜ木曽駒ケ岳にこだわったのか。私は計画者ではないので察することしかできないのですが、きっとしらび平から千畳敷に通じる駒ケ岳ロープウェイが運休していたからでしょう。駒ケ岳ロープウェイは基本通年営業ですが、今はロープウェイ支柱の変形により運休しています。したがって、千畳敷には人が皆無のはず。人のいない木曽駒は珍しい。



3/08
天候:雪
10:50ゲート
11:15桂小場11:40
13:10野田場
14:05大樽避難小屋
14:30幕営地2250m地点
新宿から高速バスで伊那バスターミナルへ。すでに雨が降っていたのでバスターミナルで準備してタクシーにのって冬季ゲートへ。冬季ゲートでも雨が降っている。桂小場の登山口までの林道は今朝降ったであろう雪に覆われていた。桂小場から登山道に入っていく。桂小場から馬返しまでは樹林帯のつづら折りの道であり、とても単調だった。馬返しから先は尾根上の道をいく。ところどころ急登があったが、しばらくして大樽避難小屋につく。大樽小屋にとまるか話し合っていたが、大樽小屋に泊まるのはあまりにも甘ちゃんだということと明日の天候を加味して、もう少し先でテン泊することにした。



3/09
5:20出発
7:20将棊頭山
9:20木曽駒ケ岳9:57
11:10伊那前岳
15:10北御所登山口
16:50駒草の湯
ヘッドランプをつけて暗いうちから歩き出す。昨日の雪で少しばかりトレースが消えていたが、あまり問題なく進んでいく。稜線上で日の出を見たかったが、尾根を登っている最中に太陽がでてきた。森林限界に出る前は雪がある程度柔らかかったが、森林限界にでると雪面がクラストしており、歩きやすい。この日の天気は無風快晴で天気もいい。中央アルプスの稜線上は風が強いと聞いていたので拍子抜けだった。何度かピークを上り下りして、将棊頭山へ。木曽駒ケ岳が長い稜線の先によく見える。すごく遠くに感じる。
稜線の先に木曽駒ケ岳
貸し切り状態の稜線



一旦下ってから、木曽駒に向かって登り返していくが、時折なかなかの急登。しかし、危険な場所は特になく、歩き続けていたら馬の背まで上がっており、少し歩けば山頂だった。雲一つない綺麗な青空で四方の山々がよく見渡せる。ただ暖かい、というか暑い。ロープウェイが止まっているからか人が他に一人もおらず、我々の貸し切り状態だった。一通り山頂を満喫した後、下山開始。斜面を下ったのち、中岳を登り返す。最初はトラバースしていけるかなという感じだったが、無理そうだったので途中から登り返した。宝剣山荘までくると千畳敷の様子が見えるようになる。人が全然いない。ただ除雪している人はいた。伊那前岳までの登り返しは雪が少し深く、またアイゼンに雪が多くつき面倒くさかった。伊那前岳から先は踏みぬきが多く、暑さも相まって頗る疲れた。うどんや峠から先は雪も少なくなり、踏み抜きはなくなり、夏道が顔を出すほどになってきた。蛇腹沢登山口から北御所登山口までは林道だったが結構整備されていた。北御所登山口からバスで帰る予定だったが、バスが土日祝日しか運行しておらず、駒草の湯まで歩いた。


2020年2月24日月曜日

20200224_八ヶ岳登攀合宿

2020/02/24 八ヶ岳登攀合宿
 2年の福田です。ここ数年2月の恒例行事となっている八ヶ岳の登攀合宿に今年も行ってきました。去年と比べ登攀技術も上がっていることから今年はより活発に合宿を行うことを念頭に置き計画しました。多少変更した部分はあったものの、概ね計画通りに行程を実施することができ、実り多い合宿になったと思います。以下に行動結果と記録(一部)を載せます。

2020/2/25 八ヶ岳登攀 中山尾根               
天気:晴れのち曇り
メンバー:L新垣(2、記録)、福田(2)
前回フォローで登った中山尾根を今度はリードで行った。
行者小屋から中山乗越まで行った後、適当に尾根上をあがっていくと取り付きまで行ける。
1P:手が悪いフェース。福田は足を痛めていたようで時間はかかったが突破。良いバイルがあれば難易度は大きく変わってくるだろう。
2P:大きな岩の右の凹角か左のスラブだが我々は左を行った。ここも手が悪い。雪が少ないことも関係しているかもしれない。
3P:簡単な雪稜をコンテ。150mほど。
4P:凹角からチムニーへ。核心ではあるが、ステミングで体を安定させることができ、ホールドも豊富。小ハングを越えて終了。
5P:縦走路までの約30mを慎重にトラバース。
下降は地蔵尾根から行者小屋。
ビレイステーションの支点はハンガーボルトであり、途中支点も多く取れる。中級ルートで
はあるが比較的安全に冬季登攀トレーニングを積めるおすすめのルートである。



2020/02/25  小同心クラック
メンバー L畑中(3)、縄(3、記録)
天候 晴れのち雪
コースタイム 6:30行者小屋-8:30取り付き-(3p)-10:30トップアウト-11:00横岳-11:50行者小屋

前日に行者小屋にテントを張りこの日いきなり行ったことないルートなので個人的には緊張。実は2017年秋にこのメンバーで一度小同心クラックの計画を立てていたのでリベンジの意味合いもある。
取り付きまでは赤岳鉱泉方面に抜けて大同心稜の踏み跡を辿って行く。取り付きまででそれなりに高度を稼ぐ。凍りついているので途中でアイゼンを履いた。よく核心と称される小同心取り付きへのトラバースは薄いトレースとそれなりに締まった雪で問題なかった。下降ルートの一つである大同心からのクライムダウンも見た目は大丈夫そうだった(結局今回は使わなかった)
顕著なクラックを見つけて登攀準備。縄はクライミングが久しぶりなのでとりあえず1p目は畑中にリードをやってもらうことになった。
1p 30m 畑中リード ガバが多くテキパキと進んでいけるが支点がはじめ見当たらない。カムが使える場所もあまりなく10m以上登ってクリップ。ハンガー2つあるところでビレイ支点
2p 30m 縄リード さっきテキパキ進めるとか書いたけど、それは畑中がリードしたからであって、リードとなると怖い。怖いので支点を取りたいし、実際取れるのだが、支点作る際にオーバー手袋だといちいちカラビナに噛んでそのうちにふくらはぎが悲鳴をあげて余計に怖いって感じ。おまけにクラック沿いに行くはずなのに途中からその左のカンテみたいなのを登ってしまった。残置は一応そっちも豊富にあった。時間かかったしゴーグルは落とすし力尽きたので最後のチムニーチックなハングの手前で無理やり切って畑中にパス。畑中にフォローで運良くゴーグルを撮ってもらえた。ゴーグルはヘルメットの歯の部分か、ヘルメットの下の部分につけるべきなのだろう。
3p 30m 畑中リード 本来は2pであるところのチムニーハングを超えてもらって、一息つくとちょっと傾斜のきついクラックがあって縄なら面食らう。手はガバではある。それを超えたら特にない。
やや残ってて先の状況がわからなかったのでもう1ピッチ適当に伸ばし(出さなくてもよかった)トップアウト。
横岳への登りは右側を巻いた。特に悪場はなかった。あとは稜線同士に歩いて地蔵尾根から行者小屋へ。昼過ぎから雪との予報より早まって、11時ごろから雪が降り始めた。


2020/02/25  八ヶ岳 縦走
メンバー:L(2)、土田(1)、松坂(1、記録)
天気:晴れのち雪
行程:行者小屋6:308:00赤岳8:159:40横岳(奥ノ院)~10:45硫黄岳~11:45赤岳鉱泉11:5512:30行者小屋

朝からよく晴れていて、眺望が期待できる。文三郎尾根をずんずんと進んでいきたかったのだが、急登がなかなかに辛い。朝食をリバースしそうになりながら中岳との分岐ですでに虫の息である。ほうほうの体で赤岳に到着。360°の大展望だが、少し雲行きが怪しい。崩れる前に帰れるか。赤岳からは気持ちのいい稜線歩き。横岳は梯子やらなにやらが設置されているため大して怖くない。風もそこまで強くなく、快適に進んでいく。なんだかんだで硫黄岳に。風がつよいことでおなじみの硫黄岳でも風はそんなに強くない。ただ、少し雪がちらついてきた。下り始めるとすぐに樹林帯に入るため雪は気にならなくなる。つづら折りに斜面を降り切って、しばらく歩くと赤岳鉱泉に着く。赤岳鉱泉のアイスキャンディーでは数人がアイスクライミングをしていた。赤岳鉱泉から行者小屋までの道はたいしたことないと思っていたら、意外と中山乗越まで登り、かったるかった。中山乗越から少し下ると行者小屋。


20200226 阿弥陀北稜
メンバー
A隊 L(3)、松坂(1、記録)
B隊 L新垣(2)、林(2、記録)、土田(1)
天候:晴れ
行動概要:
9:30行者小屋 発
11:05ジャンクションピーク
11:40取り付き
13:40登攀おわり
14:00山頂
16:00行者小屋 着

この日は遅い時間から天気が回復する予報だったので、出発をいつにするかで議論があり、グダグダした末、9時くらいに待っていても仕方ないので出発しようということになった。行先は当初は赤岳南峰リッジの予定だったが、ガスでルーファイの難易度が挙がることを考慮して阿弥陀北稜に変更した。

 まずはジャンクションピークを目指して歩く。ジャンクションピークまではラッセルする箇所もあったが、夏道を踏めればスムーズに歩くことができた。
 私は記録係なのに歩くときに注意が足らず、ジャンクションピークは気づいたら越えていた。新垣に「今ジャンクションピークだったねー」と言われ、なんだかもったいないことをしたような気持ちになった。
 ジャンクションピークから30分程度で取り付きに到着した。新垣は去年少し巻いたところから登ったらしい。今回は手前から登った。まずA隊の縄さんがリード。少し難しそうにしていた。次にB隊の自分がリード。少し右側に巻くようにして登った。汚い登り方だったと思うが、怖かったので仕方ない。終了点は豪華なボルトがある。
 2ピッチ目・3ピッチ目は特に難しい箇所もなく、岩稜歩きのような登攀だった。プロテクションがとりにくかったが、落ちることもなさそうなので、ま、いいかな~と思った。
 
 3ピッチ目を終えて、少し休憩した。この日はやたらと暖かく、オーバーグローブがなくてもいいくらいの陽気だった。気持ちいい~~
 ここから少し歩けば山頂に着く。同じ日に阿弥陀北西陵に出ていたパーティと運よく合流し、掘り出した標識の前で記念撮影をした。ガスが立ち込めていたが、TUSACのアイドルこと新垣と東海のギャングの異名を持つ土田の二人と写真を取れて、喜びもひとしお。

 帰りは道を間違えないよう、慎重に下った。下山で道に迷って遭難する事故が起きているが、なるほどこれは注意しないと自分も失敗するぞと思った。途中からは雪と風が体につらく当たったが、2時間ほどで行者小屋のベースに帰還できた。非常に充実した、たのしい登攀ができたので、大満足だった。


2020/02/26 阿弥陀北西稜
メンバー:L畑中(3)、福田(2、記録)
天候:霧時々雪
行者小屋9:40-ボルトのあるテラス12:00-14:00阿弥陀山頂14:10-15:40行者小屋

1年前の時点ではこんなにも早くこのルートにトライできるなんて思ってもいなかった。周りの人と環境に恵まれたのは幸運だ。ただ、天気は思わしくなく、前日から雪が降り続いている。ガスで視界は20mほど。午後にかけて天気が好転していく予報なので、朝からゆっくり過ごし、視界が多少良くなってきたタイミングで出発した。
行者小屋から少し降って取り付きを探す。事前のリサーチに拠れば黄色と緑のテープを探してそこから左に入っていくようなのだが、緑のテープが見つからない。(後から調べたところ緑の“テープ”ではなく“ロープ”でした先輩ごめんなさい。)仕方がないので適当に目星をつけて膝ラッセル。だいぶ手前から入りすぎたようで、何本も小さい尾根を越えてようやくトポにある開けた涸れ沢に出た。そこから先は踏み跡はあるにはあったが前日の雪でほぼ埋まって結局ラッセル。痩せた稜上に出たところで雪が少なくなり氷が出てきたのでアイゼンをつけたが、それも一時的ですぐ上からまたラッセルになった。あたりはずっとガスがかかっていて自分がどのくらいの高さを登っているのかまるで見当がつかない。気づくと目の前に岩があった。おそらく下部岩稜だろう。岩にエビの尻尾が大量についていて少しいやらしかったがここはノーロープで通過した。
さらに少しいくと立派なボルトのあるテラスに到達した。右に顕著なバンドが伸びていて、少しいくと左上するルンゼ状にルートが取れそうである。ただこれも前日の降雪で悪そうに見え、少し話し合ってバンドを経由せずリッジを直登することにした。ここからロープを出してこのピッチは畑中さんリードで。これは晴れてたらすごい高度感なんだろうなとか思いつつガスっているので何も感じずに通過した。続くピッチは福田リードで同じようにリッジ歩きでこれも立派なハンガーボルトまで。ここからルートは右のクラックか左にトラバースして凹角のスラブかの2通り取れるようだ。右のクラック直登はエビの尻尾しか見えなかったので左にルートをとる。畑中さんリードでトラバースしてそのまま核心に突っ込むのかと思っていたら、思ったより早くビレイ解除のコールがかかりいってみると核心手前でビレイしていた。核心は自分がリードすることになった。
出だしは2mほどの垂壁で、スタンスはしっかりしているのでそれほど苦労はしない。バンドに乗り上げたところからトラバースになり、手はガバフレークがあるが積雪により足元が悪い。雪の下に地面があるのか灌木なのかわからないが、とにかく落ちないことを願って通過した。トラバースが終わるといよいよ核心のスラブで、スラブ面へマントルを返すところから始まる。スラブ面に乗り上げ、右のカンテにバイルをかけて足を上げていく。装備の総数の関係でバイルが一本しかなく、不安定な体勢でのバイルの持ち替えを何度も強いられ辛かった。もがきながらジリジリと足を上げていくが上に行くに従って足がなくなっていく。冷静になって次のムーブを考えるがなかなか思い浮かばない。目の前の残置スリングを掴みたい衝動を抑えつつ、左手に持ち替えたバイルで遠いフレークにフッキングし、左手一本と両足アイゼンスメアで右手遠いガバを立ち上がって取ってなんとか越えた。5mほど先のハンガーまでロープを伸ばし、ビレイ解除のコール。長かった。支点を作って畑中さんを迎える。そのあとは山頂までノーロープで歩いた。視界がなくいつの間にか御小屋尾根に合流して、しばらく歩いて目の前に見覚えのある人影があると思ったら北稜を登り終えた新垣、林、土田だった。山頂で記念撮影をし、下降は雪崩のリスクが高い中岳沢を避けて文三郎道から下った。16時前に北稜隊も全員揃って行者に戻った。
会心のクライミングだった。またこんなクライミングがしたい。心残りは記念写真のポーズを2人ともミスって田舎のコンビニにいるヤンキーになってしまったこと。

2020/2/27 石尊稜

メンバー:L畑中(3、記録)、新垣(2)
天候:曇り時々晴れ、強風

行者小屋6:00-間違いルンゼ終点8:00-石尊稜取り付き8:50-登攀開始9:00-上部岩壁11:30-縦走路13:00-行者小屋14:00


この日は朝から寒い。八ヶ岳っぽい冷え込み。行者小屋から中山乗越を通過し赤岳鉱泉の方に降る。途中にある橋の少し手前から側のロープを潜り石尊稜に続くはずの踏み跡に入る。雪が降った後なのである程度埋まっており、脛から膝くらいのラッセルになる。しかし踏み跡に従ってルンゼを詰めていっても取り付きが見えない。おかしいなあと思いつつも進む。するとハングした岩壁に突き当たる。流石におかしいので一応右手の稜に登って現在地を確認すると、1つ深いルンゼを挟んで南側にめちゃくちゃ石尊稜っぽい尾根が見える。チーン。何も考えずトレースに従ったらこの結果、恥ずかしすぎる。降りてラッセルし直すのめんどくさいなあなんて考えながら思い当たる分岐まで降って逆の分岐(南側)に入る。下山後に色々な方のブログを見ていると、2/24に無名峰南稜というルートにトライされている方がいたので踏み跡はその方だと思う。トレースは埋まっていて全く無いが、軽すぎる雪のラッセルをこなしながら何とか取りつきらしい所に到着。取りつき直前のリッジは傾斜もあり少し悪い。岩壁少し手前の平らなところで用意をし、スタート地点へ。ハンガーボルト2つあり。リードは奇数畑中、偶数新垣。

1P
フェースを直上する。雪でべったりと覆われており払い除けながらの登攀となる。ホールドは少なく、アイゼンで確実にスタンスに乗り込んでいく必要がある。中間支点にはボルトが打ってあるが、なかなかに緊張する。傾斜がキツくなる上部の手前にある雪と草付きのバンドに沿って左にトラバースしてほぼリッジ上の潅木でビレイ。

2~4P
傾斜のある岩と灌木混じりの雪壁を3ピッチ。支点は主に灌木。基本的にはただの歩きだが、所々悪い。

5P
傾斜も落ち、両側が切れ落ちた綺麗な雪稜となる。確保はせずにコンテで進む。風が強くてかなり冷える。上部岩壁の取り付きにはハーケン3つにスリングが巻いてあるのでそこで支点を作成。

6P
新垣リードで取り付くが、明らかに岩壁の大部分が海老の尻尾で覆われていてコンディションは悪い。ここでも下調べ不足が響いて、正規ルートなのか判別できないまま登り出す。ビレイ点でゼロピンを取った後に5mほどランナウトし中間支点も取れていない。リスクが高いと判断しクライムダウンしてきてもらう。他に登れそうなところも無いので、敗退も考えたが、上部岩壁の基部をトラバースしていけばなんとか縦走路に抜けられそうだ。そこでトラバースを開始する。

7~9(全て畑中リード)
ビレイ点は順にスノーバー、ピナクル、縦走路の杭の順で作成した。傾斜があり所々緊張するが、アイゼンでしっかり蹴り込めば大丈夫。中間支点は取らなかった(というより取れなかった)

なんとか縦走路に辿り着き、ロープをしまう。その後地蔵尾根を下降し行者小屋へ。今回の登攀は取り付き間違いから始まり、精神的に疲弊した。取り付き間違いの原因は下調べ不足と踏み跡への盲信なので、猛省。直前にメンバー変更で石尊稜に行くことになったが、BCを作り、1日単位で計画されている今回のような山行では行く可能性があるルートは全てきちんと調べておくべきだった。上部岩壁のルートも結局は最初に登り出したルートで合っていた。上部岩壁は登れなかったが、自分で登れそうな箇所を見出し、縦走路にトップアウトできたことは良い経験になったと思う。

2020/2/27 赤岳主稜
メンバー:縄(3)、林(2)、土田(1、記録)
天候:晴れ
6:15 行者小屋
7:30 取り付き
15:05 登攀終了
16:00 行者小屋

 冬季の登攀は他の時期に比べ凍傷などの危険がつきまとうため、より一層時間に対して厳しくしなければならないが今回の赤岳主稜の登攀は取り付きから登攀終了までに先行待ちなどはなかったのにも関わらず7時間30分以上要してしまった。当然登攀中の時間は強風にさらされることになり凍傷になるリスクも高かった。幸いなことに凍傷になることはなかったがこれほどまでに時間を必要としてしまった原因を追求し二度と同じ過ちを繰り返さないように努めなければいけない。

 事前に予報でこの日は冷え込むということは知ってはいたが前日に比べて空気の冷え具合が数段階違っていたので驚いた。厳しいものになりそうだと薄々感じながら行者小屋を出発した。森林限界よりも下では風はないが森林限界上に出た途端風が結構強く吹いていが登攀ができないほどの強風ではないとの判断で文三郎道を外れて赤岳主稜の取り付きに向かう。文三郎道から取り付きまでがそこそこ急な斜面のトラバースでありさらに夜間に20~30cmほど降雪しており雪崩の危険性もあったことから各々距離をとって慎重にトラバースをした。文三郎道を外れる時視界はそれほど明瞭ではなくそこから取り付きは見えなかった気がする。斜面をトラバースした先に残置がある取り付きらしき場所に到達した。赤岳主稜の取り付きはCSが目印であることが有名であるがそこもCSに似ていた。ここで林がその場所よりももう少し奥の場所がCSではないかと言ってそこまで見にいった。そこにも残置があったらしい。結局最初に到達した場所から縄がリードで登ることになった。のちに調べてみるとおそらく我々が登り始めた場所は取り付きではなく林が見にいった場所が正しい取り付きだったようである。1p目はつづら岩のおけらルートみたいな岩の隙間を潜る箇所があった。体感ではこのピッチがこの登攀の中で登りにくかった場所の一つであった。また些細なことではあるがここで私はゴーグルを紛失した。

2p目も縄がリードして登ることになった。リードの人が登り初めてしばらくたったのちビレイヤーがリードの人がルベルソを忘れて登っていってしまっていることに気づいで慌てて大声で叫んでリードに知らせようとするが風が強くてなかなか伝わらない。ここに限った話ではないが強風時には声での意思疎通には限度がある。笛を吹いたとしてもこの時のような場合だと用件が伝わらない可能性が高い。やはりトランシーバーはこういう時に重宝するのだろうと思った。結局この時リードとの意思疎通に手間取り多くの時間をロスしてしまい、リードは肩がらみでビレイすることになった。

2p目の終了点で我々が通ったトラバースの跡を後続の3~4人のパーティが歩いているのが見えた。2pが終了したところでリードが縄から林に交代した。リードの交代などがあったためか私が3p目を登りはじめる前には先ほど下に見えていた後続のパーティが追いついてきて瞬く間に我々を抜かしていった。3p目は雪稜で特に問題なく通過した。しばらく経ってから気づいたがここで追いつかれたパーティの足跡は我々が進んでいた道とは異なっていて岩場を避けていて雪稜を登るものとなっていた。

4p目は開始地点から一見難しそうな岩場でありリードが行けそうになかったら引き返してリードを交代しようということになった。リードが登ってしばらくたち姿が見えなくなったところでロープが全く進まなくなってしまった。下に残っていた2人はリードが難しい岩場に当たってしまい身動きが取れなくなってしまったのではないのかと予想し大声で呼びかけたがこの時も強風のために意思疎通をとることに大変苦労した。後で聞いた話によれば岩場自体に困難はなかったが一度はそこでピッチを切ろうと思った場所があったがやはりもうちょっと少しいったところでピッチを切ろうとして先に進んだがあまり良くなく結局引き返して最初にピッチを切ろうと思った場所で結局ピッチを切ることにしたために時間を使ってしまったということである。

続く5p目は最初の方は少し岩登りで後半は雪稜を登るピッチであった。その後の6p目は雪稜だったこともありそのままスタカットの方式で行くことになったが先頭で登っていた人が途中にあった岩場が案外悪いことに気づきfixを張ることになった。Fixを張ったのちに私は登攀を再開したが下のビレイ点で私に繋がっていたロープが絡まってしまったようでそれを解くのに結構手間取っていた。そこでおそらく10分ぐらい待機したように思える。これ以降岩場は特になくただ雪稜を登るだけであった。そして15時を過ぎた頃に赤岳北峰の少し北側に到達し登攀終了となった。この時視界は悪くロープを畳んですぐさま地蔵尾根方向に下山を開始した。そして16時頃に行者小屋に到着した。既に行者小屋に到着していたメンバーは我々のパーティが帰ってくるのがあまりにも遅かったため結構心配していたらしい。大変迷惑をかけることになってしまい反省である。

以上に見たように今回の登攀はいろいろな時間ロスが積み重なって結果として長時間の行動となってしまった。これまで書いたことに加え、毎回ビレイをセットする時、解除する時、またセルフをかける時、外す時に環付きが凍結してしまい凍結するたびに息を吹きかけて解凍していた。これは①凍結しにくい環付きを使用する②セルフを取るときにインクノットで取る で解決できたことであった。これらの原因が積み重なって時間ロスを招いてしまったがやはり最大の要因は意思疎通の不自由さにあったと私は感じた。ロープの引き具合で判断するというのが理想的かもしれないが不確実性をどうしても孕んでしまう。また今回のようにルベルソを下に忘れてしまったといった特殊な事例に遭遇したときにどのように意思疎通をとるべきなのかということを最も手取り早いのはトランシーバーの導入であろうが検討する必要を感じた。私にとっては初めての本格的な冬季登攀であったが今回の赤岳主稜の登攀は私に冬季登攀の厳しさを垣間見させるものとなった。

2020/2/28 八ヶ岳 阿弥陀北陵
メンバー: L福田(2)、新垣(2)、岡本(1、記録)、嘉村(1) 
天候:曇りのち晴れ 
8:00行者小屋 9:00ジャンクションピーク 9:30取り付き 11:00登攀終了 12:00行者小屋 

 天候があまり良くなかったため赤岳主稜は断念し、前日に登攀した阿弥陀北陵にもう一度行き、1年生が初めてのリードを経験することにした。中岳沢の途中から稜線に上がり、稜線を登って岩綾までたどり着いた。前日の踏み跡があったため、順調に進無ことができた。1年生がリードを経験するため、新垣と嘉村、福田と岡本の2パーティーに分け、1年生がそれぞれ別のピッチでリードを経験した。1ピッチ目では、嘉村がリードを経験した。初めての外岩でのリードの様々なセットに手間取りつつも、前日に登攀しているため割とスムーズに登ることができた。2ピッチ目では、岡本が初めてのリードを経験した。難しいポイントは一切無かったため、初めてだったが恐怖をあまり感じることなく登ることができた。1,2ピッチ目共に、終了点にはしっかりとボルトが打ち込んであり、捨て縄もあったため分かり易かった。3ピッチ目は両パーティーとも2年生がリードをした。前日に登攀しており、また2パーティーに分けたこともあって、1時間半でトップアウトできた。下りは、前日と同様に中岳沢を下った。雪崩の危険性を考え、一定の間隔を空けて下った。赤岳に登頂できなかったことは残念だったが、初めてリードを経験することができ、前日の反省を活かして登攀できたため、大変いい経験になった。