このブログを検索

2020年2月24日月曜日

20200224_八ヶ岳登攀合宿

2020/02/24 八ヶ岳登攀合宿
 2年の福田です。ここ数年2月の恒例行事となっている八ヶ岳の登攀合宿に今年も行ってきました。去年と比べ登攀技術も上がっていることから今年はより活発に合宿を行うことを念頭に置き計画しました。多少変更した部分はあったものの、概ね計画通りに行程を実施することができ、実り多い合宿になったと思います。以下に行動結果と記録(一部)を載せます。

2020/2/25 八ヶ岳登攀 中山尾根               
天気:晴れのち曇り
メンバー:L新垣(2、記録)、福田(2)
前回フォローで登った中山尾根を今度はリードで行った。
行者小屋から中山乗越まで行った後、適当に尾根上をあがっていくと取り付きまで行ける。
1P:手が悪いフェース。福田は足を痛めていたようで時間はかかったが突破。良いバイルがあれば難易度は大きく変わってくるだろう。
2P:大きな岩の右の凹角か左のスラブだが我々は左を行った。ここも手が悪い。雪が少ないことも関係しているかもしれない。
3P:簡単な雪稜をコンテ。150mほど。
4P:凹角からチムニーへ。核心ではあるが、ステミングで体を安定させることができ、ホールドも豊富。小ハングを越えて終了。
5P:縦走路までの約30mを慎重にトラバース。
下降は地蔵尾根から行者小屋。
ビレイステーションの支点はハンガーボルトであり、途中支点も多く取れる。中級ルートで
はあるが比較的安全に冬季登攀トレーニングを積めるおすすめのルートである。



2020/02/25  小同心クラック
メンバー L畑中(3)、縄(3、記録)
天候 晴れのち雪
コースタイム 6:30行者小屋-8:30取り付き-(3p)-10:30トップアウト-11:00横岳-11:50行者小屋

前日に行者小屋にテントを張りこの日いきなり行ったことないルートなので個人的には緊張。実は2017年秋にこのメンバーで一度小同心クラックの計画を立てていたのでリベンジの意味合いもある。
取り付きまでは赤岳鉱泉方面に抜けて大同心稜の踏み跡を辿って行く。取り付きまででそれなりに高度を稼ぐ。凍りついているので途中でアイゼンを履いた。よく核心と称される小同心取り付きへのトラバースは薄いトレースとそれなりに締まった雪で問題なかった。下降ルートの一つである大同心からのクライムダウンも見た目は大丈夫そうだった(結局今回は使わなかった)
顕著なクラックを見つけて登攀準備。縄はクライミングが久しぶりなのでとりあえず1p目は畑中にリードをやってもらうことになった。
1p 30m 畑中リード ガバが多くテキパキと進んでいけるが支点がはじめ見当たらない。カムが使える場所もあまりなく10m以上登ってクリップ。ハンガー2つあるところでビレイ支点
2p 30m 縄リード さっきテキパキ進めるとか書いたけど、それは畑中がリードしたからであって、リードとなると怖い。怖いので支点を取りたいし、実際取れるのだが、支点作る際にオーバー手袋だといちいちカラビナに噛んでそのうちにふくらはぎが悲鳴をあげて余計に怖いって感じ。おまけにクラック沿いに行くはずなのに途中からその左のカンテみたいなのを登ってしまった。残置は一応そっちも豊富にあった。時間かかったしゴーグルは落とすし力尽きたので最後のチムニーチックなハングの手前で無理やり切って畑中にパス。畑中にフォローで運良くゴーグルを撮ってもらえた。ゴーグルはヘルメットの歯の部分か、ヘルメットの下の部分につけるべきなのだろう。
3p 30m 畑中リード 本来は2pであるところのチムニーハングを超えてもらって、一息つくとちょっと傾斜のきついクラックがあって縄なら面食らう。手はガバではある。それを超えたら特にない。
やや残ってて先の状況がわからなかったのでもう1ピッチ適当に伸ばし(出さなくてもよかった)トップアウト。
横岳への登りは右側を巻いた。特に悪場はなかった。あとは稜線同士に歩いて地蔵尾根から行者小屋へ。昼過ぎから雪との予報より早まって、11時ごろから雪が降り始めた。


2020/02/25  八ヶ岳 縦走
メンバー:L(2)、土田(1)、松坂(1、記録)
天気:晴れのち雪
行程:行者小屋6:308:00赤岳8:159:40横岳(奥ノ院)~10:45硫黄岳~11:45赤岳鉱泉11:5512:30行者小屋

朝からよく晴れていて、眺望が期待できる。文三郎尾根をずんずんと進んでいきたかったのだが、急登がなかなかに辛い。朝食をリバースしそうになりながら中岳との分岐ですでに虫の息である。ほうほうの体で赤岳に到着。360°の大展望だが、少し雲行きが怪しい。崩れる前に帰れるか。赤岳からは気持ちのいい稜線歩き。横岳は梯子やらなにやらが設置されているため大して怖くない。風もそこまで強くなく、快適に進んでいく。なんだかんだで硫黄岳に。風がつよいことでおなじみの硫黄岳でも風はそんなに強くない。ただ、少し雪がちらついてきた。下り始めるとすぐに樹林帯に入るため雪は気にならなくなる。つづら折りに斜面を降り切って、しばらく歩くと赤岳鉱泉に着く。赤岳鉱泉のアイスキャンディーでは数人がアイスクライミングをしていた。赤岳鉱泉から行者小屋までの道はたいしたことないと思っていたら、意外と中山乗越まで登り、かったるかった。中山乗越から少し下ると行者小屋。


20200226 阿弥陀北稜
メンバー
A隊 L(3)、松坂(1、記録)
B隊 L新垣(2)、林(2、記録)、土田(1)
天候:晴れ
行動概要:
9:30行者小屋 発
11:05ジャンクションピーク
11:40取り付き
13:40登攀おわり
14:00山頂
16:00行者小屋 着

この日は遅い時間から天気が回復する予報だったので、出発をいつにするかで議論があり、グダグダした末、9時くらいに待っていても仕方ないので出発しようということになった。行先は当初は赤岳南峰リッジの予定だったが、ガスでルーファイの難易度が挙がることを考慮して阿弥陀北稜に変更した。

 まずはジャンクションピークを目指して歩く。ジャンクションピークまではラッセルする箇所もあったが、夏道を踏めればスムーズに歩くことができた。
 私は記録係なのに歩くときに注意が足らず、ジャンクションピークは気づいたら越えていた。新垣に「今ジャンクションピークだったねー」と言われ、なんだかもったいないことをしたような気持ちになった。
 ジャンクションピークから30分程度で取り付きに到着した。新垣は去年少し巻いたところから登ったらしい。今回は手前から登った。まずA隊の縄さんがリード。少し難しそうにしていた。次にB隊の自分がリード。少し右側に巻くようにして登った。汚い登り方だったと思うが、怖かったので仕方ない。終了点は豪華なボルトがある。
 2ピッチ目・3ピッチ目は特に難しい箇所もなく、岩稜歩きのような登攀だった。プロテクションがとりにくかったが、落ちることもなさそうなので、ま、いいかな~と思った。
 
 3ピッチ目を終えて、少し休憩した。この日はやたらと暖かく、オーバーグローブがなくてもいいくらいの陽気だった。気持ちいい~~
 ここから少し歩けば山頂に着く。同じ日に阿弥陀北西陵に出ていたパーティと運よく合流し、掘り出した標識の前で記念撮影をした。ガスが立ち込めていたが、TUSACのアイドルこと新垣と東海のギャングの異名を持つ土田の二人と写真を取れて、喜びもひとしお。

 帰りは道を間違えないよう、慎重に下った。下山で道に迷って遭難する事故が起きているが、なるほどこれは注意しないと自分も失敗するぞと思った。途中からは雪と風が体につらく当たったが、2時間ほどで行者小屋のベースに帰還できた。非常に充実した、たのしい登攀ができたので、大満足だった。


2020/02/26 阿弥陀北西稜
メンバー:L畑中(3)、福田(2、記録)
天候:霧時々雪
行者小屋9:40-ボルトのあるテラス12:00-14:00阿弥陀山頂14:10-15:40行者小屋

1年前の時点ではこんなにも早くこのルートにトライできるなんて思ってもいなかった。周りの人と環境に恵まれたのは幸運だ。ただ、天気は思わしくなく、前日から雪が降り続いている。ガスで視界は20mほど。午後にかけて天気が好転していく予報なので、朝からゆっくり過ごし、視界が多少良くなってきたタイミングで出発した。
行者小屋から少し降って取り付きを探す。事前のリサーチに拠れば黄色と緑のテープを探してそこから左に入っていくようなのだが、緑のテープが見つからない。(後から調べたところ緑の“テープ”ではなく“ロープ”でした先輩ごめんなさい。)仕方がないので適当に目星をつけて膝ラッセル。だいぶ手前から入りすぎたようで、何本も小さい尾根を越えてようやくトポにある開けた涸れ沢に出た。そこから先は踏み跡はあるにはあったが前日の雪でほぼ埋まって結局ラッセル。痩せた稜上に出たところで雪が少なくなり氷が出てきたのでアイゼンをつけたが、それも一時的ですぐ上からまたラッセルになった。あたりはずっとガスがかかっていて自分がどのくらいの高さを登っているのかまるで見当がつかない。気づくと目の前に岩があった。おそらく下部岩稜だろう。岩にエビの尻尾が大量についていて少しいやらしかったがここはノーロープで通過した。
さらに少しいくと立派なボルトのあるテラスに到達した。右に顕著なバンドが伸びていて、少しいくと左上するルンゼ状にルートが取れそうである。ただこれも前日の降雪で悪そうに見え、少し話し合ってバンドを経由せずリッジを直登することにした。ここからロープを出してこのピッチは畑中さんリードで。これは晴れてたらすごい高度感なんだろうなとか思いつつガスっているので何も感じずに通過した。続くピッチは福田リードで同じようにリッジ歩きでこれも立派なハンガーボルトまで。ここからルートは右のクラックか左にトラバースして凹角のスラブかの2通り取れるようだ。右のクラック直登はエビの尻尾しか見えなかったので左にルートをとる。畑中さんリードでトラバースしてそのまま核心に突っ込むのかと思っていたら、思ったより早くビレイ解除のコールがかかりいってみると核心手前でビレイしていた。核心は自分がリードすることになった。
出だしは2mほどの垂壁で、スタンスはしっかりしているのでそれほど苦労はしない。バンドに乗り上げたところからトラバースになり、手はガバフレークがあるが積雪により足元が悪い。雪の下に地面があるのか灌木なのかわからないが、とにかく落ちないことを願って通過した。トラバースが終わるといよいよ核心のスラブで、スラブ面へマントルを返すところから始まる。スラブ面に乗り上げ、右のカンテにバイルをかけて足を上げていく。装備の総数の関係でバイルが一本しかなく、不安定な体勢でのバイルの持ち替えを何度も強いられ辛かった。もがきながらジリジリと足を上げていくが上に行くに従って足がなくなっていく。冷静になって次のムーブを考えるがなかなか思い浮かばない。目の前の残置スリングを掴みたい衝動を抑えつつ、左手に持ち替えたバイルで遠いフレークにフッキングし、左手一本と両足アイゼンスメアで右手遠いガバを立ち上がって取ってなんとか越えた。5mほど先のハンガーまでロープを伸ばし、ビレイ解除のコール。長かった。支点を作って畑中さんを迎える。そのあとは山頂までノーロープで歩いた。視界がなくいつの間にか御小屋尾根に合流して、しばらく歩いて目の前に見覚えのある人影があると思ったら北稜を登り終えた新垣、林、土田だった。山頂で記念撮影をし、下降は雪崩のリスクが高い中岳沢を避けて文三郎道から下った。16時前に北稜隊も全員揃って行者に戻った。
会心のクライミングだった。またこんなクライミングがしたい。心残りは記念写真のポーズを2人ともミスって田舎のコンビニにいるヤンキーになってしまったこと。

2020/2/27 石尊稜

メンバー:L畑中(3、記録)、新垣(2)
天候:曇り時々晴れ、強風

行者小屋6:00-間違いルンゼ終点8:00-石尊稜取り付き8:50-登攀開始9:00-上部岩壁11:30-縦走路13:00-行者小屋14:00


この日は朝から寒い。八ヶ岳っぽい冷え込み。行者小屋から中山乗越を通過し赤岳鉱泉の方に降る。途中にある橋の少し手前から側のロープを潜り石尊稜に続くはずの踏み跡に入る。雪が降った後なのである程度埋まっており、脛から膝くらいのラッセルになる。しかし踏み跡に従ってルンゼを詰めていっても取り付きが見えない。おかしいなあと思いつつも進む。するとハングした岩壁に突き当たる。流石におかしいので一応右手の稜に登って現在地を確認すると、1つ深いルンゼを挟んで南側にめちゃくちゃ石尊稜っぽい尾根が見える。チーン。何も考えずトレースに従ったらこの結果、恥ずかしすぎる。降りてラッセルし直すのめんどくさいなあなんて考えながら思い当たる分岐まで降って逆の分岐(南側)に入る。下山後に色々な方のブログを見ていると、2/24に無名峰南稜というルートにトライされている方がいたので踏み跡はその方だと思う。トレースは埋まっていて全く無いが、軽すぎる雪のラッセルをこなしながら何とか取りつきらしい所に到着。取りつき直前のリッジは傾斜もあり少し悪い。岩壁少し手前の平らなところで用意をし、スタート地点へ。ハンガーボルト2つあり。リードは奇数畑中、偶数新垣。

1P
フェースを直上する。雪でべったりと覆われており払い除けながらの登攀となる。ホールドは少なく、アイゼンで確実にスタンスに乗り込んでいく必要がある。中間支点にはボルトが打ってあるが、なかなかに緊張する。傾斜がキツくなる上部の手前にある雪と草付きのバンドに沿って左にトラバースしてほぼリッジ上の潅木でビレイ。

2~4P
傾斜のある岩と灌木混じりの雪壁を3ピッチ。支点は主に灌木。基本的にはただの歩きだが、所々悪い。

5P
傾斜も落ち、両側が切れ落ちた綺麗な雪稜となる。確保はせずにコンテで進む。風が強くてかなり冷える。上部岩壁の取り付きにはハーケン3つにスリングが巻いてあるのでそこで支点を作成。

6P
新垣リードで取り付くが、明らかに岩壁の大部分が海老の尻尾で覆われていてコンディションは悪い。ここでも下調べ不足が響いて、正規ルートなのか判別できないまま登り出す。ビレイ点でゼロピンを取った後に5mほどランナウトし中間支点も取れていない。リスクが高いと判断しクライムダウンしてきてもらう。他に登れそうなところも無いので、敗退も考えたが、上部岩壁の基部をトラバースしていけばなんとか縦走路に抜けられそうだ。そこでトラバースを開始する。

7~9(全て畑中リード)
ビレイ点は順にスノーバー、ピナクル、縦走路の杭の順で作成した。傾斜があり所々緊張するが、アイゼンでしっかり蹴り込めば大丈夫。中間支点は取らなかった(というより取れなかった)

なんとか縦走路に辿り着き、ロープをしまう。その後地蔵尾根を下降し行者小屋へ。今回の登攀は取り付き間違いから始まり、精神的に疲弊した。取り付き間違いの原因は下調べ不足と踏み跡への盲信なので、猛省。直前にメンバー変更で石尊稜に行くことになったが、BCを作り、1日単位で計画されている今回のような山行では行く可能性があるルートは全てきちんと調べておくべきだった。上部岩壁のルートも結局は最初に登り出したルートで合っていた。上部岩壁は登れなかったが、自分で登れそうな箇所を見出し、縦走路にトップアウトできたことは良い経験になったと思う。

2020/2/27 赤岳主稜
メンバー:縄(3)、林(2)、土田(1、記録)
天候:晴れ
6:15 行者小屋
7:30 取り付き
15:05 登攀終了
16:00 行者小屋

 冬季の登攀は他の時期に比べ凍傷などの危険がつきまとうため、より一層時間に対して厳しくしなければならないが今回の赤岳主稜の登攀は取り付きから登攀終了までに先行待ちなどはなかったのにも関わらず7時間30分以上要してしまった。当然登攀中の時間は強風にさらされることになり凍傷になるリスクも高かった。幸いなことに凍傷になることはなかったがこれほどまでに時間を必要としてしまった原因を追求し二度と同じ過ちを繰り返さないように努めなければいけない。

 事前に予報でこの日は冷え込むということは知ってはいたが前日に比べて空気の冷え具合が数段階違っていたので驚いた。厳しいものになりそうだと薄々感じながら行者小屋を出発した。森林限界よりも下では風はないが森林限界上に出た途端風が結構強く吹いていが登攀ができないほどの強風ではないとの判断で文三郎道を外れて赤岳主稜の取り付きに向かう。文三郎道から取り付きまでがそこそこ急な斜面のトラバースでありさらに夜間に20~30cmほど降雪しており雪崩の危険性もあったことから各々距離をとって慎重にトラバースをした。文三郎道を外れる時視界はそれほど明瞭ではなくそこから取り付きは見えなかった気がする。斜面をトラバースした先に残置がある取り付きらしき場所に到達した。赤岳主稜の取り付きはCSが目印であることが有名であるがそこもCSに似ていた。ここで林がその場所よりももう少し奥の場所がCSではないかと言ってそこまで見にいった。そこにも残置があったらしい。結局最初に到達した場所から縄がリードで登ることになった。のちに調べてみるとおそらく我々が登り始めた場所は取り付きではなく林が見にいった場所が正しい取り付きだったようである。1p目はつづら岩のおけらルートみたいな岩の隙間を潜る箇所があった。体感ではこのピッチがこの登攀の中で登りにくかった場所の一つであった。また些細なことではあるがここで私はゴーグルを紛失した。

2p目も縄がリードして登ることになった。リードの人が登り初めてしばらくたったのちビレイヤーがリードの人がルベルソを忘れて登っていってしまっていることに気づいで慌てて大声で叫んでリードに知らせようとするが風が強くてなかなか伝わらない。ここに限った話ではないが強風時には声での意思疎通には限度がある。笛を吹いたとしてもこの時のような場合だと用件が伝わらない可能性が高い。やはりトランシーバーはこういう時に重宝するのだろうと思った。結局この時リードとの意思疎通に手間取り多くの時間をロスしてしまい、リードは肩がらみでビレイすることになった。

2p目の終了点で我々が通ったトラバースの跡を後続の3~4人のパーティが歩いているのが見えた。2pが終了したところでリードが縄から林に交代した。リードの交代などがあったためか私が3p目を登りはじめる前には先ほど下に見えていた後続のパーティが追いついてきて瞬く間に我々を抜かしていった。3p目は雪稜で特に問題なく通過した。しばらく経ってから気づいたがここで追いつかれたパーティの足跡は我々が進んでいた道とは異なっていて岩場を避けていて雪稜を登るものとなっていた。

4p目は開始地点から一見難しそうな岩場でありリードが行けそうになかったら引き返してリードを交代しようということになった。リードが登ってしばらくたち姿が見えなくなったところでロープが全く進まなくなってしまった。下に残っていた2人はリードが難しい岩場に当たってしまい身動きが取れなくなってしまったのではないのかと予想し大声で呼びかけたがこの時も強風のために意思疎通をとることに大変苦労した。後で聞いた話によれば岩場自体に困難はなかったが一度はそこでピッチを切ろうと思った場所があったがやはりもうちょっと少しいったところでピッチを切ろうとして先に進んだがあまり良くなく結局引き返して最初にピッチを切ろうと思った場所で結局ピッチを切ることにしたために時間を使ってしまったということである。

続く5p目は最初の方は少し岩登りで後半は雪稜を登るピッチであった。その後の6p目は雪稜だったこともありそのままスタカットの方式で行くことになったが先頭で登っていた人が途中にあった岩場が案外悪いことに気づきfixを張ることになった。Fixを張ったのちに私は登攀を再開したが下のビレイ点で私に繋がっていたロープが絡まってしまったようでそれを解くのに結構手間取っていた。そこでおそらく10分ぐらい待機したように思える。これ以降岩場は特になくただ雪稜を登るだけであった。そして15時を過ぎた頃に赤岳北峰の少し北側に到達し登攀終了となった。この時視界は悪くロープを畳んですぐさま地蔵尾根方向に下山を開始した。そして16時頃に行者小屋に到着した。既に行者小屋に到着していたメンバーは我々のパーティが帰ってくるのがあまりにも遅かったため結構心配していたらしい。大変迷惑をかけることになってしまい反省である。

以上に見たように今回の登攀はいろいろな時間ロスが積み重なって結果として長時間の行動となってしまった。これまで書いたことに加え、毎回ビレイをセットする時、解除する時、またセルフをかける時、外す時に環付きが凍結してしまい凍結するたびに息を吹きかけて解凍していた。これは①凍結しにくい環付きを使用する②セルフを取るときにインクノットで取る で解決できたことであった。これらの原因が積み重なって時間ロスを招いてしまったがやはり最大の要因は意思疎通の不自由さにあったと私は感じた。ロープの引き具合で判断するというのが理想的かもしれないが不確実性をどうしても孕んでしまう。また今回のようにルベルソを下に忘れてしまったといった特殊な事例に遭遇したときにどのように意思疎通をとるべきなのかということを最も手取り早いのはトランシーバーの導入であろうが検討する必要を感じた。私にとっては初めての本格的な冬季登攀であったが今回の赤岳主稜の登攀は私に冬季登攀の厳しさを垣間見させるものとなった。

2020/2/28 八ヶ岳 阿弥陀北陵
メンバー: L福田(2)、新垣(2)、岡本(1、記録)、嘉村(1) 
天候:曇りのち晴れ 
8:00行者小屋 9:00ジャンクションピーク 9:30取り付き 11:00登攀終了 12:00行者小屋 

 天候があまり良くなかったため赤岳主稜は断念し、前日に登攀した阿弥陀北陵にもう一度行き、1年生が初めてのリードを経験することにした。中岳沢の途中から稜線に上がり、稜線を登って岩綾までたどり着いた。前日の踏み跡があったため、順調に進無ことができた。1年生がリードを経験するため、新垣と嘉村、福田と岡本の2パーティーに分け、1年生がそれぞれ別のピッチでリードを経験した。1ピッチ目では、嘉村がリードを経験した。初めての外岩でのリードの様々なセットに手間取りつつも、前日に登攀しているため割とスムーズに登ることができた。2ピッチ目では、岡本が初めてのリードを経験した。難しいポイントは一切無かったため、初めてだったが恐怖をあまり感じることなく登ることができた。1,2ピッチ目共に、終了点にはしっかりとボルトが打ち込んであり、捨て縄もあったため分かり易かった。3ピッチ目は両パーティーとも2年生がリードをした。前日に登攀しており、また2パーティーに分けたこともあって、1時間半でトップアウトできた。下りは、前日と同様に中岳沢を下った。雪崩の危険性を考え、一定の間隔を空けて下った。赤岳に登頂できなかったことは残念だったが、初めてリードを経験することができ、前日の反省を活かして登攀できたため、大変いい経験になった。
 


0 件のコメント:

コメントを投稿