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2018年9月11日火曜日

2018.9.11北アルプス 焼岳〜親不知縦走

9/11~21 焼岳〜親不知縦走
メンバー:L箱守、福田 

9/11(火)
天候:曇 
記録:福田 
中の湯 5:25 – 9:20 焼岳北峰 9:35 – 14:45 新穂高温泉 15:10 – 16:15 わさび平小屋 

前日に夜行バスに乗り込み5時過ぎに中の湯についた。バスの中ではほとんど眠れずに、寝不足のまま支度をして歩き始めた。天気はあまり良くなく、出発してまもなくガスに巻かれた。1ピッチ目は車道歩きで、2ピッチ目から登山道に入った。このピッチのみ福田がトップで歩き、3ピッチ目からは箱守トップで歩いた。以降11日目終了まで箱守が終始トップを歩くことになる。荷物は25キロほどだろうか。寝不足で体調がすぐれないながらもそこそこのペースで焼岳北峰についた。若干晴れていたが西穂が見えるか見えないかと言った感じだった。そこからの下りは時間がかかった。若干コースタイムをオーバーしつつ中尾峠を通過し、新穂高温泉へと下って行った。稜線上や中の湯からの道と比べると整備が行き届いているとは言えず、倒木が多くて苦労した。一部大きな倒木があり、反対側の道が見えず、ザックを下ろして道を探した。そんなこんなで少し時間をかけつつ中尾温泉まで降りた。足湯があったので入った。1日目とは思えぬ贅沢である。そこからは車道をひたすら歩き、新穂高温泉で少し休憩して、下界との別れを告げてわさび平へと左俣林道を歩いた。わさび平には16時過ぎについた。1日目にしては相当疲弊した。やたら背中のザックが重いと思っていたが、フレームが破損していた。出発前に確認しておくべきだった。箱守さんのダクトテープを借りて修復し、眠りについた。


9/12(
天候:曇
記録:箱守
わさび平小屋 5:45 – 11:20双六小屋12:00 – 13:00双六岳- 14:15三俣蓮華岳- 15:00三俣山荘

起床は4時。5時半出発予定だったが朝食のラーメン作りに手間取り遅れてしまった。計画では笠新道〜笠ヶ岳を予定していたが、天気がそれほど良くないこと、この後も好天はあまり望めそうにないことからできるだけ先に進んでおきたいこと、また、前日の焼岳登山道の倒木が厄介で笠新道にも倒木があるらしくしんどそうだったため、鏡平経由で三俣山荘まで足を伸ばすことにした。わさび平小屋からは歩きやすい小池新道をひたすら登る。標高を上げながら周囲の植物を見ると色づき始めているものが多く、山の上はすっかり秋の様相であると感じた。天候は終始曇りだったが、鏡平では槍穂高連峰を望むことができた。双六小屋には11時半前に着いた。時間に余裕もあったので、大休止することにして、折角なので二人共カルビ丼を食べて英気を養う。ゆっくりと味わった後、双六岳に向けて出発。昨年も今年も夏山縦走では巻いていたので、今回は双六岳に登ることにした。晴れていれば大展望が待っていたようだが生憎のガス。三俣蓮華岳もガス。そのまま三俣山荘に下って幕営。


9/13(木)
天候:曇のち雨 
記録:福田 
三俣山荘 5:20 – 6:25 鷲羽岳 6:35 – 8:30 水晶岳(水晶小屋ピストン) 8:40 – 11:50 野口五郎岳 – 14:00 烏帽子小屋 

朝からガスである。鷲羽の大斜面はガスの中の登高となった。1時間ほどで鷲羽の山頂に立つ。何も見えないが、仕方がない。先を急ぐ。その先も快調なペースで進み、8時過ぎに水晶小屋についた。ザックをデポし、水晶岳を往復した。水晶山頂でも何も見えない。小屋に戻ってザックを回収し、東沢乗越へと下り始めると、少し晴れ間が見えてきた。黒部の東沢源頭部が一望できた。だが、野口五郎を過ぎたあたりからまたガスに巻かれ始めた。三つ岳は巻き、14時ごろに烏帽子小屋に着いた。烏帽子岳を往復しようかとも考えたが、この後雨が降ることや、疲労もあって断念した。夜半には結構強めの雨が降り、テント内も浸水した。 


9/14(
天候:曇
記録:箱守
烏帽子小屋5:00 -7:45不動岳-9:55船窪第2ピーク-11:0船窪岳-12:30船窪小屋

 3時半に起床。弱い雨の音が聞こえて憂鬱になる。しかし撤収する頃には雨は止んでいた。ヘッドライトをつけて5時に出発。この日は針ノ木小屋までコースタイム13時間ほどを歩く予定で、途中の船窪小屋のタイムリミットを12時としていた。ガスっていたのと先を急いでいたので烏帽子岳はスルー。四十八池は見事な池塘が点在していて歩いていて気持ちの良いところだった。6:20頃再び稜線に出て南沢岳へ。曇りながらも、遠くの剱岳や不動岳の切れた稜線が見えた。不動岳までは、片側が崩壊していて切れたザレのトラバースなどがあったがルートを間違えなければ問題はなかった。不動岳〜七倉岳は崩壊が激しいと聞いていたが、実際には不動岳〜船窪第二ピーク間は崩壊地を避けるように崩壊側と稜線を挟んで反対側の斜面に樹林帯のアップダウンが続く登山道が整備されており特に問題はなかったが、船窪岳第二ピーク〜船窪岳〜船窪小屋が大きく崩壊したザレの道で、ハシゴやロープが連続していて緊張感があった。また、この区間は北アルプスの稜線の中では標高が低く、船窪乗越は2100mしかない。船窪乗越から見た船窪岳の崩壊面は迫力があり、剱の雰囲気とはまた異なる人を寄せ付けないような存在感があった。
船窪岳のテント場についた時点で12時を過ぎており、体力的にも激しいアップダウンの連続で疲れていたのでこの日は船窪小屋にとまることにした。また、この日まで曇りや霧、雨続きで精神的に辛かったこと、さらにこの日も翌午前中まで雨の予報だったため、以前から船窪小屋に泊まってみたいという思いもあり休養の意味も兼ねて船窪小屋に食事付きの小屋泊にすることとし、テント場から少し離れた水場で水を汲んでから小屋に向かい、受付をした(小屋とテント場は15分くらい離れている)。船窪の水はこの縦走の中ではかなり珍しく美味しかった。船窪小屋の夕食は、お代わりし放題のビーフシチューを始め天ぷらなどどれも本当に美味しく、幸せな気持ちになった。小屋泊の贅沢を知ってしまった。


9/15(土)
天候:雨 
記録:福田 
船窪小屋 6:30 – 10:35 針ノ木小屋 

船窪小屋の主人に見送られながら快適な小屋を後にする。朝から雨である。北葛岳まで快調に飛ばし、2ピッチ目終了までに北葛乗越まで進んだ。風雨が強く、もうすでにレインウエアの中まで濡れていた。蓮華の大下りの下部の鎖場は全て順層で雨でも登りやすかったように思う。蓮華岳に近づくと、風雨が強まって来た。蓮華岳はほとんど吹きっさらしで休憩できそうになく、そのまま針ノ木小屋まで下った。針ノ木小屋に入り、ラーメンを食べながらこの先新越山荘まで行くかどうかを考えたが、雨が止みそうにないこと、箱守さんの体調がすぐれないことを理由に針ノ木小屋で素泊まりすることにした。乾燥室が使えたのはとてもありがたかった。


9/16(
天候:曇
記録:箱守
5:30 針ノ木小屋-6:30 針ノ木岳-9:45 新越山荘 10:05-11:50 種池山荘

出発する時も天気は相変わらずで、ガスに覆われていた。また、前日までの予報通り稜線では西風が強く、朝のうちは雨も降っていたのでこの日も辛抱を強いられる日になった。しかし8時頃になると雲は取れ、少しだけ晴れ間が出た。稜線の東側には遠方まで広がる雲海が見られ、久しぶりに遠くまで見えたことに二人とも感動する。順調に新越山荘まで進み、時間に余裕があったので新越山荘前のベンチで少し長めに休憩する。新越山荘は小屋泊のみでテント場はない。休憩していると小屋の方が出てきたのでこの後の天気や種池山荘、冷池山荘について少し話をした。小屋の方によると、種池山荘のテント場は展望がないが周囲を木々が囲んでいる一方で冷池山荘は周囲に樹木のない稜線上にあり、この日の午後〜翌日午前中に予想されている強い雨風を耐えるには種池が良いだろうとのことだった。時間的には冷池まで行って翌日鹿島槍〜五竜へ行くこともできたが、悪天の中岩場の連続する区間を歩くリスクの高さを考え、この日は種池でテントを張って悪天を耐え、翌日天候が収まってから冷池まで2時間だけ進むことにした。正午前に種池山荘に到着し、木の近くに幕営した。雨は予報通り夕方頃から本格的に降り出していたが、その日の天気予報で翌々日が待望の晴れとなっていたのでモチベーションを失うことはなかった。


9/17(月)
天候:曇時々雨 
記録:福田 
種池山荘 10:40 – 11:20 爺ヶ岳中峰 – 12:10 冷池山荘 

この日は冷池までと決めていたので、朝から二度寝を決め込み、昼前になってやっと出発した。爺ヶ岳のピークを全て踏み、2ピッチで冷池まで行った。夕方ごろにテント内がにわかに明るくなったので、外に出てみると、久々の太陽を見ることができた。剱立山が一望できる素晴らしい眺望が広がっていた。明日への期待が高まった。思えば入山してから今までまともに晴れていないのである。 
久々の太陽が立山連峰の向こうに沈む

9/18()
天候:晴れ
記録:箱守
3:30冷池山荘-4:55鹿島槍ヶ岳南峰-5:20北峰5:35-6:35キレット小屋6:45 -9:50五竜岳10:15 -11:00五竜山荘-12:25唐松岳頂上山荘

2時に起床。遊園地に向かう小学生のような気持ちだ。前日の素晴らしい夕焼けを見てこの日の晴れ予報を確信していた。朝食のラーメンをさっと食べ終えてテントの外に出ると、キンと冷えた空気の中に満天の星空が広がっていた。何にも代えがたい、山でのご褒美だ。偉大な自然の中に自分が溶け込みその一部となっているかのような感覚。堪らずカメラのシャッターを切る。写真にはっきりと無数の星を収めた。
午前3時、冷池山荘のテント場には満天の星空が広がる
雲海と光芒
晴れが続く予報だったので、鹿島槍ヶ岳北峰で日の出を見るために3時半にヘッドライトをつけて出発。同じように日の出前から鹿島槍に向かう小屋泊の人たちをすぐに抜いて先を急ぐ。縦走初の晴れに気分は高揚し歩くペースは自然と早くなる。途中、大町の夜景と星空の写真を撮ったりしながら布引山を超えて鹿島槍南峰へ向かったが、この辺りから西風が強くなり、また、雲に包まれ展望が利かなくなった。ちょうど日の出の時刻に北峰に着いたが雲は取れず、日の出には立ち会えなかった。風も強かったので防寒着を着て山頂で15分待ったが雲が取れることはなかった。諦めて北峰への分岐まで戻り、五竜に向けて進んだ。すると、6時頃に雲は取れて視界が一気に開けた。振り返ると色づき始めた鹿島槍が美しい。稜線にかかる光芒や風格を備えた五竜岳も見事だった。絶景を楽しみながら先へ進んでいると、いつの間にか八峰キレットは通り過ぎており、キレット小屋に到着。前日キレット小屋にそれほど人はいなかったらしく小屋までに1人しかすれ違わなかったおかげで、CTよりはだいぶ早かった。鹿島槍南峰〜五竜山荘は狭い岩稜なのでヘルメットをつけて慎重に進んだ。キレット小屋から先も絶景を堪能しながら順調に五竜岳へ。五竜岳の山頂標識は縦走路から少し外れたところにある。五竜岳からは夏合宿で歩いた立山連峰や、端正な鹿島槍の双耳峰、これから行く白馬岳など北アルプスの名峰を一望できた。時間にはだいぶ余裕があったので山頂でゆっくり休憩し、雲上の楽園を楽しんだ。
五竜岳山頂
五竜山荘から唐松岳頂上山荘までは、穏やかな道を1時間ほど歩いたのち岩場になるが、この辺りは人が多く入るメジャールートなのですれ違いに気を使う。岩場の先にあるピークを通過するとすぐに唐松岳頂上山荘に着く。平日だったが山荘は小屋泊の人が大勢いた。八方尾根からの登山客がほとんどだろう。テント場は山荘から数分下ったところにある。晴れていたので濡れた装備品を乾かすことができた。また、携帯のバッテリーが心配だったので、二人とも山荘で100円払ってコンセントをお借りして充電した。18時頃剱の向こうに沈む夕日を見たのち就寝。



9/19(水)
天候:晴れ 
記録:福田 
唐松岳頂上山荘 5:45 – 6:00 唐松岳 6:15 – 7:45 不帰1峰の頭 – 9:45 天狗山荘 10:00 – 10:40 白馬鑓ヶ岳 – 11:25 杓子岳 – 12:30 白馬岳頂上宿舎 

唐松岳山頂から不帰
放射冷却で朝からひどく冷え込んだ。しかし、景色は最高だった。モルゲンロードに染まる剱岳を眺めながら唐松岳に向かう。唐松岳で衣服調整と記念撮影をした。ここでヘルメットもかぶった。不帰の嶮は高いところから見下ろしても迫力があった。不帰3峰、2峰南峰へは砂礫帯を進み、この先から核心部が始まった。鎖の連続となるが、問題はないように感じた。ただ、八峰キレットよりは高度感を感じた。周りは北アルプス北部の秀峰。朝の澄んだ空気の中稜線を歩くのは最高だ。そうこうしているうちに不帰キレットを通過し、天狗の大下りの登りをこなして天狗山荘についた。天狗山荘は雪崩に巻き込まれて壊れ、修理中だったがテントは設営できるようだ。水もある。ここからは目の前に大きくそびえる鑓ヶ岳を目指す。白い砂礫の斜面を登り40分ほどで鑓ヶ岳についた。相変わらず素晴らしい展望である。特に白馬岳の非対称山稜が一目瞭然だった。杓子まではそこから40分超かかり、コースタイムより時間がかかった。おそらくコースタイムは巻道利用らしい。杓子で少し休憩し、1ピッチで白馬岳頂上山荘についた。今日はいつもよりやたらと疲れていた。ザックを確認すると、案の定フレームが壊れていた。あとで治すことにしてクロックスで白馬岳に散歩に行った。白馬岳からははるか南に槍ヶ岳を望み、北に日本海を望むことができた。ようやくここまで来たのだと実感する。記念撮影をし、白馬山荘のレストランでパンケーキを食べてテントに戻った。 


9/20(
天候:曇
記録:箱守
3:10 白馬岳頂上宿舎-3:40白馬岳-6:00雪倉岳-7:00燕岩(ザック修理)7:30 -9:10 朝日岳-9:35吹上のコル9:50 -11:40黒岩山-12:45さわがに山-14:10栂海山荘

 栂海山荘までCTにして15時間進む予定であったため、1時半に起床して3時過ぎに出発した。テント場が白馬岳直下の稜線上にあるため夜中から風が強く、撤収時もテントなどが風に飛ばされそうになった。朝から気温がだいぶ低く(白馬ではこの日に初氷を観測したそうだ)、冬と同じようなレイヤリングで出発した。暗闇の中白馬岳に登頂し、先を急ぐ。鉢ヶ岳の巻き道途中から明るくなりヘッドライトは要らなくなった。雪倉岳の前後はなだらかな広い尾根だが日本海からの風が強い。福田のペースが上がらないため事情を聞くと、初日に修理したザックの背骨が再び折れて歩きにくいとのことだったので、燕岩で休憩した際にダクトテープで再度補修した。水平道分岐までは下り基調で楽に進む。紅葉が始まった朝日岳が大きく眼前に聳えていた。水平道分岐から朝日岳へは樹林帯の急登が1時間以上続いた。朝日岳頂上では朝日小屋の女将にお会いし、励ましの言葉をもらった。話に聞いた通りインパクトのある人だった。朝日岳の分岐で初めて栂海新道の表示を見て興奮する。吹上のコルでは富山市と日本海がよく見えた。電波の感度が良かったので明日降りる予定の親不知観光ホテルに日帰り入浴の予約電話を入れた。9月の平日に入浴する場合は事前に電話が必要なので注意が必要。吹上のコルから黒岩山までは湿原が広がる長い下り。高山植物や池塘が広がり、穂高や剱のような猛々しい北アルプスの印象からはかけ離れていた。黒岩山から先は低山らしくアップダウンが激しい。途中の北又の水場で水を汲み、犬ヶ岳山頂から5分ほど降りると無人小屋である栂海山荘に着く。小屋だけだと思っていたら小屋の前にテント場が整備されていた。小屋にはすでに9人の団体が入っていた。疲れもあり雨も降っていていたので小屋泊とした。協力金として2000/人を納める(テントは1000)。地元の山岳会が栂海新道とともに管理しているそうだが、綺麗で使いやすく、とても居心地がよかった。暖かい毛布の有難さを感じながら縦走最後の夜を迎える。


9/21(金)
天候:曇 
記録:福田 
栂海山荘 5:15 – 7:50 白鳥小屋 8:05 – 12:00 親不知 

最終日を迎えた。天気は思わしくないが、気分は上々だった。カッパを着て出発する。3ピッチで白鳥山に着いた。白鳥小屋の展望台に登ると、目の前に日本海が見えた。この先にもうここより高いところはないことがわかると感慨深かった。白鳥山を後にして、金剛坂を下ると坂田峠に出た。久々に車道を見た。そこから尻高山まではなだらかな道を歩き、そこでピッチを切った。二本松峠までの間に車道を横切り、峠を過ぎて入道山への最後の登りに差し掛かった。この辺まで来ると気温が上がってきて蒸し暑くなり、また山の大きさが小さくなってきているのを感じていた。入道山は最後のピークで、小休止したのちに記念写真を撮った。そこからは下るだけだ。下るにつれて車の音が大きくなり、旅の終わりを実感した。そして9月21日午前11時50分ごろ、親不知の国道に到着した。下り着くと、箱守さんと握手を交わした。海岸まで下り、海を背にして記念撮影をした。思えば悪天で日程が伸びて、苦労した縦走だった。しかし、最後までやり遂げたことに大きな充実感を感じていた。この縦走を成功させたことは今後山登りを続けていく上で一つの大きな自信になるだろう。 
親不知海岸に到着


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