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2018年4月27日金曜日

2018.04.27-30 北アルプス・スキーオートルート

メンバー:4年池田(L)2年縄(記録)
日程:2018427()430()
天候:4/27 晴れ時々霧 4/28 快晴 4/29 快晴 4/30 晴れ後曇り
コースタイム:
4/26() 22:50夜行バス新宿発
4/27() 富山8:30室堂着、9:30室堂発〜15:00五色ヶ原山荘〜17:00越中沢岳頂上手前で幕営、立山にて乗り換え後、
4/28() 6:20撤収、出発〜6:40越中沢岳〜10:30スゴ乗越小屋〜15:30薬師岳〜16:50太郎平小屋〜18:40北ノ俣岳頂上付近で幕営
4/29() 6:40撤収、出発〜8:40黒部五郎岳〜9:30黒部五郎小屋〜13:30双六小屋〜17:10西鎌尾根、左俣乗越付近で幕営
4/30() 6:20撤収、出発〜9:30槍ヶ岳山荘、穂先往復〜11:20大喰岳より槍沢を滑降〜12:30槍沢ロッジ〜16:30上高地=19:00松本=22:30頃帰京

 昨年の双六小屋をベースキャンプとしたスキー山行もオートルートの下見であったと考えると、オートルートは長期的な目標であった。
 4/26から幅広く1週間ほどとって天候の良いタイミングで出かけることに。4/26は予報では雨が残りそうだったがその後はしばらく天候が良さそうということで連休1日前の27からの出発に決定した。シュラフは夏用、食事は朝フランスパン、夜アルファ米、コッヘルは最小限、スキーの袋をナイロン袋、など軽量化に力を入れ、テント縦走ながらも行動中のザックの重さを20kg程度に抑えた。

4/26
 夜行バスは22:50新宿発。乗り心地も悪くなかった。

4/27
一の越より御山谷方面
  連休直前ということもあってか道が混んでいたようで20分ほど遅れたが、走ってなんとか6:04電鉄富山発立山行きに乗り込む。朝から観光客がたくさん載っていた。北方稜線から劔、立山、薬師と良く見える。3月に上級生が登った早月はもう黒い。ダッシュでなんとか間に合うか不安だった立山駅からのケーブルカーは臨時が出ていたので、これで室堂8:30到着は確実になり、一安心。徐々に積雪は増していくがやはり例年よりは少なそうだ。雪の大谷の深さ17mって本当なのか、とか思っていたらそこに着くと実際それくらいある。ちょうど吹き溜まりの場所のようだ。室堂に着いて登山届を出してもらい、建物の中で出発の準備。9:30頃に一ノ越に向けて出発した。ツボ足の人たちも含めて一ノ越には大勢の人が目指していた。50分ほどで順調に一ノ越乗越に着くと、遥か彼方に槍の穂先が見えた。あそこまでいくのかあ、胸を高鳴らせながら御山谷への滑走準備。一ノ越まであんなにいた人もこちらへ向かう人は自分たちだけである。やや堅かったものの楽しみながら鬼岳手前まで滑る。ここから鬼岳への登りも斜度が緩くそれなりに快適そうだ。充電いっぱいの体でサクサク登り鬼岳のコルへ。トレースもあってそれほど問題もなく頂上へ行くことができた。獅子岳へのコルまで一旦滑り込み、獅子岳への登りは念のためアイゼンをつけて担いで登った。この判断がよく、急登もなんとか超える。獅子岳の頂上からは、その後もいくつかピークを越える必要があって担いだままだったが快適な尾根歩きがしばらく続く。眼下には黒部湖も見えた。初日のポイントだったザラ峠の下りは、かなりいい具合に緩んでいて、40度の斜度を感じずにターンしながら快適に滑ることができた。それほど意識していなかったのだが五色ヶ原までは意外にも200mほど登る。シールで登っていくと、右側から急に霧が出てきた。ザラ峠の写真を逃したななどと呑気なことを思っていたが五色ヶ原でこれでは深刻である。GPSを参考に進むが、この文明の利器がなかったらどんなに不安が増していただろうと思うと、ゾッとしてしまう。15時に赤い屋根の五色ヶ原山荘へ。霧が薄くなるタイミングで鳶山に向けて出発した。鳶山の頂上からの下りは調べた通り急斜面のトラバースなのだが、やはり霧のせいでどうも先の様子がわかりにくく、一部40度超えの下りも強いられた。結局この日一番のポイントはこの鳶山の下りだっただろう。ここでやや時間を消費したこともあって幕営は越中沢岳中腹の傾斜の緩い所に決定した。17時に幕営。ツボ足の単独者がこの後通り過ぎていった。19時頃まで明るく、この時間まで行動してもよかったかも、などと池田さんと話す。テント場自体は悪くない場所を選んだがこの日は確か-5℃とかの冷え込みで、やはり夏シュラフの限界を感じずにはいられない厳しい夜だった。


4/28

 震えながらコンロの火をつけてフランスパンを食べる。あまり急いでもカチカチの中越中沢岳の下りをアイゼンで歩くことになるので、多少余裕をもたせながら出発。頂上までは20分で着いた。多少シールのままで下った後担ぐ。尾根伝いに行ければ良いのだがもちろんそういうわけにはいかない。ところどころトレースを参考にしながら急斜面をトラバースする。しばらく行くと夏道が出ていた。スキー靴とアイゼンで急な夏道を我慢しながら下るが意外に長い。スゴ乗越までもう一つトラバース気味にピークを越え、大休憩。ここから薬師岳まで長い長い登りだ。10:30に小屋に着き氷をナルゲンに補充。シールがややへたったのでテーピングで補強した。間山まで日差しに刺されながら一気に登る。なんとも適当な名前だがそれは綺麗な白い山で個人的にはハクノリが思い起こされた。久しぶりに槍が見えたがなんだまだまだ全然遠い。アミノ酸で薬師岳への登りへ気合を入れ直す。この間山からすぐの雪庇は立派だった。
槍はまだ遠い

北薬師への登り
大きく安全マージンを取って進み、その後緩やかな長い登り。北薬師岳の偽ピーク(のようなもの)を超えた後再び巨大な雪庇を避けるため担ぎながら登る。これほどのものを作ってしまうのだ、厳冬期の吹雪の凄まじさは想像に難くない(多分その想像を超えているのだろうが)。頂上直下もまた担ぐ。一気にエネルギーの消費速度が加速しているのを全身で感じる。ただ、北薬師の頂上から薬師岳を見ると、下調べに反して意外にほとんどスキーで登れそうだ。というか薬師岳の北東のカールがかっこいい。何度か担いだ以外はスキーで大体たどれたがたっぷり1時間かかった。さすがの体力ルートを実感する。避難小屋付近まで一部担ぎながら移動。薬師岳からの標高差700mの滑りは特に最初の方は滑り心地も良かった。あんなに苦労した登りもスキーにおいては、下りは一瞬である。これよりなだらかな山容となるのでハーネスも脱いだ。GW営業の賑やかそうな太郎平小屋を傍目にシールで颯爽と過ぎ去り、優越感に浸る。太郎山を下ったコルに張っても良かったのだが、我々はさらなる高みを目指してまだ進んだ。
北ノ俣岳頂上付近
緩やかな斜面は、それもそれで靴擦れを加速させたが、既に我々を下方から優しく照らすようになった淡い光に励まされつつ、慣性でももの上下運動を続けた。300m登って北ノ俣岳頂上付近の土の上で幕営。冷え込みは弱く12時間半行動の体をゆっくり癒した。



4/29
黒部五郎岳
ツボ足パーティーの横を、スキーの機動力を見せつけながら中俣乗越までトラバース。黒部五郎岳手前の登りはだんだんと傾斜が急になっていくが途中でスキーアイゼンを付ければなんとかなった。ここまでくれば双六小屋まで昨年に経験済みである。昨年バテバテで視界に入った記憶すらない笠に、今年は大いに魅力を感じた。
やや緊張したものの東斜面の雪の緩みに助けられ、今年もカールからの滑りを堪能した。小屋で大休止した後、黒部五郎岳を高さで僅かに凌ぐ三俣蓮華岳まで、今度は500mの登りとなる。木々を抜けながら同じ傾きで登るのにやや梃子摺った。昨年発達していた雪庇に比べると今年のものは小さく、1回担いだ他はシールで登ることができ、三俣蓮華岳に。
三俣蓮華岳より

槍はもうだいぶ近づいてきた。ついに見えた核心の西鎌尾根は、岩と雪が交じって簡単ではないことが推察された。丸山を下った後の部分は雪が崩壊しかかっていて急いで渡る。一旦担いで双六岳をトラバースした後小屋まで100mほど滑降。3日目はここで泊まる予定だったがそれだと4日目じゅうに帰京できなさそうなので西鎌尾根を行けるところまで進む。樅沢岳への登りは完全に夏道が出ていた。意外にスキー靴の底はフリクションが効いて歩きやすい。樅沢岳を下ったコルには左の沢からトレースがついており、樅沢岳の頂上を踏まずとも樅沢から登ることも可能なようだ。しばらくアイゼンで進んだが硫黄乗越手前から比較的尾根が広く、使わないと思っていた板を出動させることに。アップダウンはあるのでシールの使いどころが試される。途中で双六から槍を単独でピストンしたという登山者に会う。千丈沢乗越から先も技術的困難はなかったという朗報を聞くことができた。数十分進むとしばらく夏道が続いた。テント適地がなければ手前まで引き返すことも覚悟したが、左俣乗越の看板付近には我々のために用意されたかのような雪のない平坦なスペースがあった。穂先の方向に入り口を設定して、最後の夜を迎えた。明日の午後から段々と天候が崩れるらしく、タイミングは大正解だったようだ。

テントからの眺め


4/30
槍までのルンゼを登る池田さん
天気は良いものの夜明け前から風が強かった。板をザックに括りつけて出発だが、序盤は夏道がほとんど出ており、アイゼンなしで歩き始めた。数十分ほどでアイゼンを履き、夏道と雪上を交互に進んでいく。1時間半ほどで千丈沢乗越。やはりコルに来ると風は強く、風下で最後の登りに向けて十分にエネルギーを補給した。飛騨沢を右に見て頂上直下のルンゼを詰める。もちろん落ちたら止まらないだろうが斜度はそれほどでもなく、雪もある程度緩んでいることからロープを出さずに慎重に進んでいった。千丈沢乗越から1時間半後ついに肩の小屋に到着。後は穂先を登って槍沢を滑降して、4時間歩くだけだ。…結構あるのでまだ達成という感じはなくまず穂先へ。大勢がとりついている割にアイゼンでの登り下りが個人的には思ったより怖く消耗した。冬季登攀、この冬にはしっかり経験したい。穂先から下ってきて池田さんの提案で大喰岳に登ってそこから槍沢を滑ることになった。槍ヶ岳直下のように岩が出ておらず真っ白で快適そうである。まさかこの荷物でまだ登るとは、と思ってしまったが根性を見せるべく30分ほど登ってなんとか頂上へ辿り着いた。槍を左正面に見ながら絶好のザラメ雪を滑っていく。あっという間に槍沢に合流し、しばらくシュプールを描くことができた。ババ平のあたりからはいかに滑りで繋げられるかのクロスカントリーステージに入る。槍沢ロッジのあたりまでごまかしながら進めたがついに限界に達し、これより距離的な核心に入る。1時間スキー靴で歩いた後横尾でランニングシューズに履き替えて残り11キロ歩く。徳沢ではソフトクリームに励まされながらなんとか1630分ごろ観光客溢れる上高地へ。ついに4日間計40時間以上の行動の末スキーで室堂から上高地までつないだ。長野で夕飯を済ませてあずさ最終便で無事その日じゅうに帰京した。


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