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2017年2月26日日曜日

2017.02.26-03.01 春山合宿 八ヶ岳

記録:白石薫平

メンバー:白石薫平、三浦玲児(CL)

2月26日 入山

  • 時刻:11:05美濃戸口11:25--12:35美濃戸山荘12:45--13:38堰堤広場13:45--14:45赤岳鉱泉
  • 天候:晴のち曇
TUSACの春山合宿は登攀、スキー、縦走などの選択肢を提供し、各自の趣味に従ってどれかの合宿に参加するのがここ数年の形式となっている。今年の登攀は、OBの協力を受けずに実施してステップアップすることを目標に、その中でも特に赤岳主稜を目指した。メンバーは、OBと冬の八ヶ岳を経験している三浦に加え、冬の本チャンが初めての白石という構成だ。
鈍行の中央線で日頃の寝不足を解消しながら、茅野駅に向かった。駅から歩いて10分程にあるスーパーマーケットで食糧を買い出す。2人での実施ということで膨れ上がったザックの影が脳裏にチラついたが、なるべく考えないようにして鍋の材料を買った。そして産まれた35kgのザックを抱え、バスで美濃戸口へ。歩き出すと2月だというのに汗が吹き出し、歩みはまるで牛のよう。すれ違う人には「歩荷隊ですか?」なんて聞かれ、ちょっと良い気になる。天気が悪くなかったのが幸いし、3時間強で赤岳鉱泉に到着。ビールで乾杯した。

2月27日 阿弥陀岳北稜

  • 時刻:5:30起床--7:15出発--7:30中山乗越--7:40行者小屋--8:15 2520m地点 8:25--9:00登攀開始--10:10阿弥陀岳10:35--11:20文三郎尾根分岐--11:42赤岳主稜取付下11:50--12:10行者小屋12:20--12:40赤岳鉱泉
  • 天候:快晴のち曇
一発目は阿弥陀岳北稜である。日が登って暖かくなるのを見計らって出発。行者小屋からは文三郎尾根方面へ少し歩き、中岳沢末端から北稜へ上がるトレースを辿って、見晴しが良い地点にたどり着く。快晴無風で、八ヶ岳とは思えないほどの暖かさであった。ここからは急な雪面を登り、岩稜取付に到着した。先行は、2人がかなり上部に1パーティー、取付では4人が準備していた。彼らは初心者を含むからと、我々に先を譲ってくれた。
1P目は三浦リード。ボルトがしっかり打たれた岩を登り、短めにピッチを切った。2P目は白石リード。簡単な岩を越え、雪面を岩に突き当たるまで登った。終了点はボルト。3P目は三浦リード。岩を登り、細い雪稜を渡る。アプローチ同様、トレースがしっかり刻まれているので怖さはなかった。この雪稜は絶好の撮影スポットということで、フォロワーはポーズを考えておくと良いだろう。約1時間の登攀で山頂に到着した。


雪稜
阿弥陀岳山頂から東への下降は慎重に行くべきだが、ここもステップが切られていた。中岳、文三郎尾根分岐への登り返しで汗をかき、再び下降を開始する。途中、翌日の目標である赤岳主稜の取付へのトラバースを見学し、トレースが付いていることや雪が安定していることを確認した。後はステップを追って気楽に尾根を下り、行者小屋に到着。昼前には阿弥陀岳をガスが覆い始めた。寒くなく視界良好でちょうど良い時間帯に登れたこと、そして合宿で第一の成果を挙げられたことを喜んだ。
午後はラジオを聞きながらゆっくりと過ごした。夜には赤岳鉱泉に小雪が舞った。

2月28日 赤岳主稜

  • 時刻:5:30起床--7:10出発--7:45行者小屋--忘れ物を取りに戻る--8:20行者小屋8:25--9:30登攀開始--13:55赤岳14:15--14:35地蔵尾根分岐--15:08行者小屋15:15--15:35赤岳鉱泉
  • 天候:快晴
昨日と同様のスケジュールで行者小屋へ向かう。すると、白石がテントにロープを忘れるという失態を犯したことが発覚。一人で急いで取りに戻り、約30分を無駄にしてしまった。行き帰りで二度会う人が多く、恥かしかったこと。中には声を掛けてくれる人もいて、「察してそっとしておいてくれよ〜」と筆者は思った。
再び出発し、文三郎尾根を無心に登る。トラバース開始点で雪面の状態を再度チェックし、取付へ向かう。雪は締まっており、トレースもあるので、怖さはなかった。先行は、下部岩壁の上にいる1パーティーと上部にいる1パーティーが確認できた。


赤岳西面
  • 1P目は三浦リード。チョックストーンのチムニーIV級は、まず左の岩に一段上がってスリングを掴んでチョックストーンの上に移った。そして凹角を登っていく。
  • 2P目は白石リード。凹角を最後まで登り、簡単なミックス・雪稜を中間部まで登る。
  • 3P目は三浦リード。前ピッチの雪稜を岩壁に突き当たるまで登る。
  • 4P目は白石リード。凹状の中間岩壁を登る。
  • 5P目は三浦リード。雪面を右上し、ダケカンバで終了点を作る。
  • 6P目は白石リード。同様に雪面を右上。この辺りの2ピッチはコンテで登っているパーティーが多いようだが、やはり中間支点は取れなかった。
  • 7P目は三浦リード。再び岩壁に入り、ミックスに入る。
  • 8P目は白石リード。チムニー状を右上し、視界が開けてミックスに入る。この辺りで2人とも段々と疲労が顔に出始めた。終了点で合流したときには、眼前に続く雪面と最後の凹状を見て、思わず「長い!」と声を上げた。
  • 9P目は三浦リード。雪面を15m、そして最後の凹状を登り続けて、合計45mロープを出し、縦走路が見える地点まで到達。
ここからはロープを引き摺って赤岳頂上山頂まで歩く。山頂ではガッチリ握手。写真撮影を済ませ、ロープを畳んで下降を開始。8P目を登っている間に雲が出始めたが、昨日とは違って稜線がガスに覆われることはなく、ほっと安堵しながら地蔵尾根を下った。地蔵尾根分岐から20分程は全く気の休まらない急な下りであり、今回はステップが切られていたから慎重に下るだけだったが、トレースがなければ難儀するだろう。樹林帯に入れば後は気楽なもので、充実感のあった山行を振り返りながらテントに帰った。

3月1日 下山

  • 時刻:8:05起床--10:25出発--10:55堰堤広場--11:25美濃戸山荘11:35--12:20美濃戸口
  • 天候:晴のち曇
下山を決め込んで朝はゆっくりする。食糧を全部消費し、帰る。登りであれほど辛かった道も、下りならば鼻歌を歌いながらである。ほぼ全面凍結した林道を美濃戸口までアイゼンを履いて歩き、下山する。冬場の平日はバスが運行していないので、タクシーで茅野まで帰った。

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