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2015年6月28日日曜日

2015.06.28 稲子岳南壁左方カンテ

2015630
執筆:阪本 豪
稲子岳南壁左方カンテ山行記録

日程  2015628
メンバー  阪本豪(CL,三浦玲児(SL,装備),岸元士
天候  晴れ,風弱し
コースタイム 
稲子湯登山口駐車場8:15-9:10しらびそ小屋9:20-10:45南壁基部11:50-14:20終了点14:50-15:30しらびそ小屋15:45-16:30駐車場

経緯 
二年生も本チャンルートに挑戦できる時期ではという岸OBの勧めを受け,初心者向けで,二年前に当時二年生であった塚本.津田ペアも登っている稲子岳南壁左方カンテルートの登攀を私と三浦で計画した.二年前は岸が中間で付き添って登ったが,岩場もガイドの整備により良い状態に保たれており,取り付きさえ間違えなければルートや下山路はさほど難しくないとのことで,今回は二人だけで挑むこととなった.白石の転倒が起こったばかりということもあり,浮き石に気をつけるようにとは何度も強調されて注意を受けた.また,ルート図やネットの記録はよく予習して臨んだ.岸の都合により二年前とは変わって日帰りで計画したが,検討委員会での指摘もあったように取り付き11時というのは初見の岩場としては遅く,取り付きを知っている岸の同伴あってこその時間設定である.

行動 
27日は明らかに雨天だったので26日夕刻に延期を決定,28日の天候回復が望まれた.新百合ヶ丘駅530分集合だったので,三浦は阪本宅に前泊した.晴天に恵まれたため始発に乗車して無事定刻に出発,中央自動車道を利用して北八ヶ岳に向かう.車両も少なかったためスムーズに進み,8時頃登山口の駐車場に到着.混み合っていたので端に駐車し,サンダルを登山靴に履き替え支度して出発.長野県警への計画書送付は済ませていたので登山カード提出は割愛した.早めの取り付きを目指して気持ちの良い林の道を少々飛ばし,コースタイムを大分短縮してしらびそ小屋に着いた.ハイキングの親子連れや女性登山者なども目立った.小屋では緊急連絡先を記入し,近頃の南壁の様子を聞く.やはり左方カンテルート以外は危ないとのこと.腹の虫を抑えてから出発し,取り付きへの巻道の入り口を示す,二重にテープが巻かれた木を探しながら歩く.しかしネットで見た目安の20分を過ぎても見つからず,30分ほど一般登山道を歩いたところで無理やり右手の疎林に入り込んだ.枝をかき分けながら登り気味のトラバースをしていくと開けたガレ場に出て,岩場まで登って右のリッジを回りこむとそこが赤いハーケンのある取り付きだった.着いた時には既に1パーティが登攀中,2パーティが待機中であったので,ギア類の準備や腹ごしらえをしながら1時間弱待った.風が強く上部では寒さを感じそうだったので雨具の上のみ着用.ようやく順番が来て,最初のリードは阪本が行うことになった.1,3,5ピッチ目は阪本,2,4ピッチ目のリードを三浦が担当した.

1ピッチ目  ルンゼ中のスラブ.初めの2mほどが怖いと聞いていたが,それほどでもなかった.尖った岩でランニングを取ってみたりした.先行3人パーティが登り始めるまで自己確保しかできなかった.三浦が中程まで登ったところで岸は引き返し,以降しらびそ小屋で待機.30m
2ピッチ目  凹角と登山道レベルの岩場.両サイドに手足を突っ張って登る.ここでも先行パーティ待ち.35m
3ピッチ目  チムニーとガレ場.チムニーを登る際ホールドが見つからず,体が外を向いてしまい怖かった瞬間があったが,落ち着いて見渡すと簡単に抜けられた.先行パーティのそばまで行ったが,後々のロープの流れを考えると一つ手前の支点が良いとアドバイスされ,少し引き返す.見晴らしがとても良く,高度感たっぷり.25m
4ピッチ目  チムニーと核心の垂壁.少しランナウト気味になり,さらに上部ではルートファインディングに手間取ったよう.岩角にロープが擦れてしまう.40m
5ピッチ目  クラック.三浦にはクラックの登り方ができていないと言われた.さほど難しくはない.15m

頂上付近のザレ場には1420分到着.待ち時間も含めて2時間半の登攀となった.ちょうど元来予定していた2時間に待機時間を合わせたくらいであり,相応のペースで登れたと互いに労う.後続はいなかったので終了点付近でハーネスを外してギア整理まで済ませてしまった.休憩の後,下山を開始した.コマクサ保護の鹿除け電気柵にはゲートがあるとのことだったが,発見できなかったので,端のロープの部分をくぐって外に出た.途中枯れ木で歩きづらいところもあったが,いつの間にか中山峠からの登山道に戻り,1530分にしらびそ小屋にて岸と合流した.岸からは15時頃が目安と言われていたが,各支点での待機時間を考えると許容範囲であろう.小屋のおばちゃんに下山を報告し,林間の道を辿って駐車場に戻り着いた.渋滞に巻き込まれたが,サービスエリアで休憩しつつ21時頃新百合ヶ丘駅に到着,解散となった.

所感
まず,初心者向けとはいえ本チャンのルートを二年生だけで成功させられたことは大きな成果だと思う.計画や装備,本番の登攀までを最終的には自分達の判断で実行できたことは自信にも繋がった.ただ,反省すべき点も少なからずある.この計画は岸OBの促しから始まり,稲子岳南壁左方カンテというルートも岸の薦めだったが,本来であれば自分達が行けるルート探しを、時期を見て自発的に行うのが望ましかった.また,取り付き点探しは岸の助けがなければもう少し手間取っていただろう.今回のように踏み跡があるかないか分からないような箇所をアプローチする岩場も少なくなかろうし,そういったところを間違えずに進む力をつけたい.充分な下調べと読図が必要だし,経験者がいるに越したことはない.
登攀中について.クライミングの動作に関しては,岸からも「成長している.見ていて安心できる登り方になった」との言葉があり嬉しかった.私は3ピッチ目に不安を感じた箇所があった.やはりある程度重い荷物を背負っての本チャンリードはゲレンデのクライミングよりしっかりしたホールドを選ばねばならず,ルートファインディングの重要性を改めて認識した.また,ピッチの切れ目の選択はルート図と対応させても意外に難しかった.前のパーティのピッチの切り方や登るラインの選択を辿るのが最善とは限らない.先行パーティが目の前で作業していて支点構築ができない場合に,自己確保とザイルアップなどその時できることをして効率良く待ち時間を使えると良かった.支点構築とビレー準備はまだスピードアップの余地があるだろう.
ギアは使わなかったものも多少あった.ランニングにスリングを使いたくなる場面がたびたびあり,クイックドロー(6つは余計,半数で良いか)よりは簡易ヌンチャクがあれば良いと感じた.カム.ナッツは小さいものを中心に練習にと持って行ったが,もう少し大きめのクラックが多かったので結局使わなかった(取り付きでの待ち時間にそばの岩で試すとよくきまった).この辺りの,ギアの個数や種類などは経験に依るところが大きいだろう.

今回の山行は天気も良く,高度感のある快適なクライミングが楽しめたので,夏合宿に向けても上手く弾みがついたと思う.今後も後輩達が本チャンを始めようという際には是非薦めたい.夏合宿以降も段階的に挑戦をしていく所存である.

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