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2014年10月25日土曜日

2014.10.25-26 錫杖岳クライミング

2014/10/25 錫杖岳左方カンテ記録 白石薫平

晴れ

5:45平湯--6:15中尾温泉6:30--7:15クリヤ谷徒渉--7:45錫杖沢出合8:15--8:50左方カンテ取付9:10--12:20左方カンテ終了点13:30--15:00注文の多い料理店取付--15:55錫杖沢出合

24日金曜日に夜行バスで平湯に向かった。予定通り6時前に到着し、田中と合流した。ここで田中の車に乗せてもらい、中尾温泉に移動した。

6時30分に出発し、すぐに槍見館の前を通って登山道に入った。落ち葉の多い道を登り、7時15分にクリヤ谷の徒渉をした。徒渉後すぐに錫杖岳前衛フェイスが眼前に迫ってきた。赤テープとエクレアのキーホルダーを目印に登山道を外れ、錫杖沢出合に到着して設営した。

ここから取り付きまでは錫杖沢左岸の比較的明瞭な踏跡を辿った。陽が当たり、暑さに喘ぎながら取り付きには8時50分に到着した。

9時10分に登攀を開始した。以下、全てのピッチで田中がリードした。1ピッチ目・2ピッチ目は岩溝を登る。3ピッチ目は切り立ったフェイスを右上する。ガバに手が届くまではヒヤヒヤした。4ピッチ目はチムニー登り。5ピッチ目は岩溝状の場所を登ったが、ランアウトしてしまう。6ピッチ目はリッジを登り、テラスに出た。7ピッチ目は核心のオフウィズスだが、出だしでA0をした。オフウィズスから左のフェイスに出るところでも少々苦労した。最終8ピッチ目は剥がれそうなフレークを使いながら右上気味に登ってブッシュに入って登攀終了である。後ろからガイドパーティーが来ていたので、3時間程で抜けることになった。ブッシュで昼食を食べた。

下降は、初め1ピッチは同ルートを下り、残りの3ピッチは注文の多い料理店ルートを下りた。1、2、4ピッチ目は塚本が先頭で下り、3ピッチ目は田中が先頭で下りた。1ピッチ目で末端の結び目を解かずロープを回収しようとしてしまい、田中が少し登り返した。

下山は初め北沢を辿ったが錫杖沢岩小屋付近で滝があったので、左岸の踏跡を使って戻った。錫杖沢出合のテント場は盛況だった。薪を拾い、楽しい焚き火タイムとなった。田中からビールを頂き、おいしい麻婆春雨を食べた。焚き火はなかなか弱まらなかったが、暗くなってから下りてくるパーティーも多かったので、良い目印になったのではなかろうか。

左方カンテはIV級、V級の難し目のピッチが続くルートだったが、A0を交えながら登り切ることができた。フリーでの登攀力の向上と、脆弱なホールドやプロテクションに負けない精神力を本チャンルートに行って鍛えることが課題として浮かび上がり、現在地を把握できたクライミングだった。

2014/10/26 塚本

高速バスでの寝不足と左方カンテの登攀の疲れのせいか、二度寝三度寝をかましてしまった。一時間の寝坊。急いで作った朝食は夏山の残りのフルーツグラノーラとスキムミルクなり。食費を浮かせようとする白石の野望が見える。
テントを出ると周りのパーティーはすでに出発した後だった。今日はガイドブック通りにクリヤ谷を少し詰めクリヤの岩小屋から続く踏み跡をたどって前衛フェイスの基部に移り、第三ルンゼを登攀する予定。まず錫杖沢の方には行かずに、中尾温泉から続くクリヤ谷の左岸の一般登山道に戻る。歩いてすぐに渡渉がある。特に問題なし。右岸には大きな岩があり、これはボルダ―でもできそうな岩だなと思って気にせず先に進もうとする。振り返ると田中さんが考え込んでいる。もしやこれがクリヤの岩小屋?ガイドブックを見直すがいまいち距離感がしっくりこない。でも岩に向かって左側に踏み跡が続いている。田中さんが先導し踏み跡を確認してくださるが、踏み跡は続いているみたいだ。どうやらここクリヤの岩小屋らしい。危うく見逃すところだった。反省。
 踏み跡をしばし白石君が先頭で進むがすぐに見失う。田中さんが変わって先頭をやるが、だんだん踏み跡が薄くなっていき本格的なやぶ漕ぎが始まってしまう。登りだわ、暑いわ、落ち葉で滑るわ、枝がうるさいわで散々だった。
ほうほうの体で前衛フェイスの基部に付く。正面のルンゼを登っている二人組が見える。トポや写真のコピーを見比べると、どうやら第三ルンゼの取りつきについたようだ。しばしの休憩の後、ハーネスなどをつけ登攀を開始する。ガイドブックによると1P目はⅢ級と簡単なようなので田中さんに頼んで塚本がリードさせてもらう。2段に分かれていて下部は簡単な階段状。上部は正面が水がしたたっているルンゼで左側にはクラックがあった。下部の階段状は問題がなかったが、残置に導かれるまま登った上部のルンゼで大変な目にあった。濡れていてクライミングシューズが滑りそうになるわ、頭から水を被るわで心が折れそう・・・。たっぷり時間をかけて終了点にたどり着いたときは心底ほっとした。もっと精進しなければ・・。フォローの田中さんはもちろん問題なく登ってきたが、白石もルンゼの出口のところでなかなか悩んでいた。これのどこがⅢ級なんだよ。
P目は白石のリード。1P目でビビってしまった白石だがほとんど歩きのようなところで問題なく通過。カムまで決める余裕。3P目以降は田中さんがすべてリードした。3P目は残置の多い左側クラック沿いに登る。4P目はルンゼの中のチョックストーンには行かず左壁を登る。
P目で先行パーティーに追いつく。フォローの人が苦労しながらルンゼの内寄りの左壁を人工で登っていた。田中さんはそのすこし手前から左壁に取付き大きな上下に挟まった2つのチョックストンの間を左へトラバースして上へ回り込んだ。
セカンドは白石。最初の左壁の取りつきでなかなか上がっていかない。スリングやヌンチャク、ザイルを掴んでもだめ。結局20分ぐらいかかっても5mも登れずに敗退決定。白石はロアーダウンで下してもらい、田中さんはシングルでランニングを回収しながら懸垂して降りてくる。
このあと同ルートを懸垂して降りた。全て塚本が先頭で降りて行った。段々になっているのでバックアップをとり、ザイルの端を持って懸垂を行う。途中ルンゼ内で振られそうになるが何とか耐える。3回の懸垂で取りつきまで降り切ることができた。ただ最後の懸垂で白石が人の頭ぐらいの岩を塚本めがけて落としてきたので死ぬかと思った。さっきまで自分の頭があったところに落ちてきたので肝が冷えた。今回はビビったり、懸垂で振られたり、岩落としたりと白石がなにかとやらかしている・・・。
取付きまで戻り、一休み後、行きとは違い前衛フェイスの基部を左方カンテ側に進み枝沢に入った。この枝沢は踏み跡はほとんどなく岩が不安定だったり滑りやすかったりしたが、それでも行のやぶ漕ぎよりはるかに楽であった。結局テントのすぐ近くの河原に出た。

テントや荷物をまとめて下山。途中混浴の温泉でテンションが上がる3人。きれいなお姉さんがいないかなと話す。降りてみると本当に若い家族連れが入っていていかんともしがたい気持ちになる。田中さんの車で平湯のバスターミナルまで送ってもらう。紆余曲折の果て、市営の温泉に入る。最後は時間に追いかけられながらあわただしく高速バスに乗り込み東京に帰った。

2014年10月4日土曜日

2014.10.04 谷川岳一ノ倉沢

2014 年10 月TUSAC 一ノ倉沢山行記録
白石薫平

日程2014 年10 月4 日(土)
メンバー飯泉和史(CL)、白石薫平
天候曇り時々小雨
コースタイム群馬県谷川岳登山指導センター5:45–6:04 マチガ沢出合–6:22 一ノ倉沢出合6:30–7:15 ヒョン
グリの滝高巻き8:00–9:00 一ノ倉沢出合9:15–9:30 マチガ沢出合–9:50 群馬県谷川岳登山指導センター
2014 年6 月に澤田と私は、飯泉さんにリーダーをお願いして南稜を登ったが、その時は岩が濡れていて上
部2 ピッチを残して引き返した。それを消化するため今回は、衝立岩中央稜を登って6 ルンゼ右俣を下降後、
南稜の登り残しをこなし頂上経由で下山する計画を立てた。澤田は新疆ウイグル自治区旅行のため今回は参加
できなかった。
集合は3 日22 時駒場だった。飯泉さんの運転で関越自動車道をひた走り、途中1 時間ほどの仮眠を挟んで
4 日2 時30 分頃谷川岳ロープウェイに到着した。紅葉シーズンのため普段使っている立体駐車場は夜間閉鎖
され、少し下の駐車場に停めて車中で仮眠をとった。
朝は5 時過ぎに起き、共同装備を分けて5 時45 分に歩き出した。車道歩きの間、雲に覆われた新潟県側の
空が見えたり、飯泉さんの山岳会のメンバーが登攀を諦めて下りてきたりして、登れるか心配になった。一ノ
倉沢出合に到着して岩壁を見ると、中央稜基部より上はガスに覆われていたため、登攀を見合わせることを決
めた。ただ、6 月のテールリッジまでのアプローチは雪渓伝いだったため、ヒョングリの滝高巻きの様子を知
るために、そこまでは行くことにした。
初めは河原を歩き、すぐ右岸の道に乗った。しばらくして斜面を登る踏み跡と河原に下りる踏み跡に分かれ
た。最初は前者を選んだが途中で踏み跡が消えたので、引き返して河原への踏み跡に戻った。ここからはツル
ツルのスラブ状の岩の上を歩き、細かいスタンスを拾いながら右岸のリッジを登った。そこから再びブッシュ
の中のぬかるんだ踏み跡を歩き、ヒョングリの滝高巻きの懸垂支点に出た。支点には蛍光塗料が入った筒が結
いつけられていたが、夜間下りてきた登山者にルートを知らせるためだという。ここから25 m の懸垂下降と
クライムダウンを経て、一ノ倉沢本流の流れの傍に到着した。この後テールリッジまでは、徒渉してからスラ
ブをトラバース気味に登ってゆく。岩が濡れていてプロテクションも取れない場所なので、ここで引き返すこ
とになった。
この懸垂下降した斜面は飯泉さんが確保なしで登り、私はフォローで登った。水音が大きく声が通らないの
で、笛で連絡をとった。その後登りと同様に踏み跡を下りたが、途中で飯泉さんが他の登山者のタバコの副流
煙を吸い込み動悸がするというので、少々休んだ。登りで細かいスタンスを拾うのに苦労したリッジは25 m
の懸垂下降とクライムダウンで下り、河原に出た。登りと同じ道を下り、9 時に一ノ倉沢出合に戻った。
車に戻り、荷物を片付けて下山報告を済ませた後、温泉に入り食事をして19 時頃駒場に戻った。
この山行では登攀の成果は得られず、ヒョングリの滝高巻きを勉強するだけになったが、コンディション的
に仕方なかっただろう。そして前回、今回と強く感じたのは、一ノ倉沢は取り付きまでのアプローチに神経を
使う場所だということだ。雪渓がなく、岩も濡れていた今回はなおさらだった。山行の翌日に谷川岳の閉山祭
が催され今シーズンは終了したが、今後も一ノ倉沢に行く機会を作って総合力を養成したい。