2020年3月23日月曜日

2020/3/23-26_剱岳早月尾根

剱岳 早月尾根

日程:3/23-26

メンバー:縄(3,L)、畑中(3,SL,記録)、箱守(3,食料)、福田(2,装備)

1日目

天気:快晴のち曇りのち雪

6:45 伊折
9:15 番場島
14:50 1700m地点



夜行バスに揺られて富山駅へ。そこから上市まで電車で行き、その後伊折までタクシー。約8000円。


いよいよスタート。林道の前半にはほとんど雪が無く、剱岳に向かっているという実感が湧かない。初めはクロックスで歩いていたが途中から雪が出始めたので登山靴に履き替える。そんなこんなで2時間ほど歩き馬場島に到着。富山県警の方に挨拶をし諸々の確認を済ませていざ登山開始。


最初の急登の階段は夏道が出ていたが、松木平手前まで上がるとラッセルが腿あたりになったので、松尾平の平坦な場所へはトラバースせずに雪の少ないリッジ通しに進む。
ラッセル
その後もワカンに履き替えたりしながら1700m地点で幕営。富山湾が見えて景色がとても良い。

1700m地点の幕営地



2日目

天気:風雪


6:00 起床
8:20 幕営地発
11:30 早月小屋



今日は天気も悪く夜まで風が強い予報だったので早月小屋までしか登らないことにして、遅めの出発。


ひたすらラッセル。初めはワカンで進んだが、硬い雪の層がありワカンだと歩きにくくなったのでアイゼンに履き替える。ワカンによる浮遊力を失ってしまい踏み抜き地獄となりなかなかに辛い。たまに下の地面までぽっこり空いている大穴が出てくるのでヒヤヒヤする。



3ピッチで早月小屋に到着。雪を掘りしっかり風防ブロックも積んだアタックキャンプを完成させる。時間があったのでトレースを付けに行こうか迷ったが、依然として天気は悪く効果が薄いとして結局行かなかった。
早月小屋脇の雪壁で遊ぶやつ



3日目

天気:快晴


3:30 起床
5:00 早月小屋発
5:45 2480mピーク
6:35 2614mピーク
7:30 約2800m地点
8:25 剱岳山頂
8:45 剱岳山頂発
9:00 カニのハサミ、25m懸垂ちょうど
9:40 約2800m地点、25m懸垂ちょうど
10:20 約2720m地点、50m懸垂ちょうど
10:40 約2650m地点fix開始、約50-60m
11:10 約2650m地点fix終了
11:50 2480mピーク、大休憩
12:15 2480mピーク発
12:45 早月小屋




いよいよアタック日。空は快晴。


メンバーの1人が口にした「星が近い。」という文言。詩的でいい表現だと思う。
富山湾に沿った夜景が綺麗


最初は昨日と同じくラッセルとなったが、すぐに硬い氷化した雪面が現れる。2480mピークに登ると、剱岳の西面がかなりの威圧感で迫ってくる。北方稜線も小窓尾根も剱尾根も早月尾根も全て見える。否応なしにテンションが上がる。
剱岳西面

早月尾根上部


休憩後再び出発し少し進むと鎖がある岩場に出会すが、ここは難しくない。しかしその直後数メートルはナイフリッジなので要注意である。その後しばらくは小岩壁や雪稜が続くが基本的に池ノ谷側の雪面を進む。所々傾斜が強く、雪も硬い。そうこうしているうちに2614mピークに突き当たるが、尾根伝いは難しそうなので池ノ谷側を巻く。池ノ谷側斜面は雪崩の心配もあり通過距離を短くしたいので出来るだけピークに近付いてから1人ずつトラバースする。かなりの強風で雪煙が顔に当たり痛い。
2614m峰トラバース終了後
雪煙が舞う

2614mピークの後は、傾斜の強い氷化した雪面と雪稜が交互におおよそ3回現れる。確実にアイゼンとピッケルを効かせながら登っていく。ダブルアックスの方が登り易い。






所々現れる急な雪壁

そのまま登ると岩峰に突き当たり、そこで風も避けられるので休憩。その岩峰の池ノ谷側を巻くとすぐに獅子頭となる。リッジ伝いに進むがそのままでは降りられそうにないので、池ノ谷側に少しクライムダウン&トラバース。昨日の降雪で隠れてしまっているが、ここも下の層がカチカチに氷化しているので慎重にアイゼンの前爪を蹴り込む。その後すぐにカニのハサミとなるが、ここはそこまで凍っておらずアイゼンがサクサク刺さるのでロープを出すか少し迷った後に結局出さずに登る。縦走路に合流しリッジを進むとすぐに頂上に着いた。登頂、かなり嬉しい。景色が良く、写真を撮りまくって大休憩。
頂上
剱沢
八ツ峰
集合写真、遠すぎた
自撮りしてみる

そして下山開始。結果として早月尾根の核心は登りではなく下降だったと思う。ロープを出したのは合計4回。カニのハサミと先述した3箇所の氷化した雪壁である。カニのハサミは岩にかかった残置スリングで約25mの懸垂。50mロープでギリギリだった。

頂上から見て雪壁1つ目はハイマツの根に括り付けられた比較的新しい残置スリングでこちらも25mちょうどの懸垂。
25m懸垂

雪壁2つ目は、ハイマツの根を支点として持参したスリングを巻き付け約50mの懸垂。
50m懸垂

雪壁3つ目は、1人目がビレイをして貰いながらクライムダウンをし、ロープを固定して2,3人目はfix通過。4人目はクライムダウンという方法をとった。理由としては懸垂下降に使える支点が無く、また50mで足りるか分からない上に途中でピッチを切れるかも分からなかった点等が挙げられる。4人目のクライムダウンは相応のリスクがあるがダブルアックスを持ったメンバーを当てることでそのリスクを可能な限り小さくした。


以上のロープを出した4箇所の後は特に難所もなく慎重に下るだけだ。しかし視界が無かったりすると道迷いや雪庇踏み抜き等その難易度は格段に高くなると思われる。


2480mピークに戻ってくると天気も良く展望も良いのでゆっくりと休憩をする。


ひたすらに綺麗
剱尾根と小窓尾根がいかつい

なんなら今日このまま馬場島まで下山できるぞ、なんて話をしたがやはり好天のなかでゆっくりと剱岳を堪能することにした。早月小屋に戻ってくるとシュラフを干したり靴を乾かしたりしながら長閑な時間を過ごす。夕方には荘厳な雲海も見ることができて、本当に幸せな長い1日だった。
雲海
長閑な時間



4日目

天気:快晴


5:00 起床
6:50 早月小屋発
7:45 1700m地点
8:45 1050m地点
10:10 馬場島
12:45 伊折



起床後すぐに星空を撮影するためにメンバーがテントから出たが、夜明け前は生憎の高曇りで星空は見えなかった。残念。


パッキングを済ませ、下山開始。硬い雪を踏み抜くと沈む上に硬い雪の層がストッパーとなり脛や膝がスタックして当たって痛い。登りはあんなにラッセルしたのに下りはすぐに済んでしまう。でも松尾平の平坦なところは踏み抜きまくってめちゃくちゃ辛かったです。そしてとうとう無事に馬場島に到着。有名な"試練と憧れ"の石碑で記念撮影をし、富山県警の方々にも下山報告を済ませ、快晴の中ゆったりと休憩をする。この下山後ののんびりとした時間、幸せ。
お疲れ様でした

伊折までの林道は完全に除雪されていてかなり楽になっていた。ありがとうございます。伊折からタクシーで上市まで送って貰い、帰路に着いた。
お世話になりました



2020年3月18日水曜日

2020/3/18-19_妙高火打BCスキー

妙義火打BCスキー 記録
メンバー:L縄(3)、吉田(3)、嘉村(1, 記録)


1日目
天候:晴れ

10:10 杉ノ原スキー場上部
12:00 外輪山稜線
13:20 カルデラ
16:00 大倉尾根
17:15 幕営

 前夜青春18切符で妙高高原駅に向かい、そこでステビバとなった。改札の外にある待合室は電気こそ消えないものの暖房が付いており、さらにWiFiもあるという間違いなく過去最高の環境だった。上部のリフトが10時前にならないと動かないということもあり、当日朝はゆっくりの出発。妙高高原駅からはタクシーで杉野原スキー場へ、そしてゴンドラ、リフトと乗り継いで上部に向かう。到着後、いざ板にシールを付けるというタイミングで嘉村のシールの留め具(BW、stsキット)のプラスチックの部分が破れてしまった。とりあえずその日中はテーピングでしのぎ、夜修理することとなった。

 最初の危険箇所、沢の横断は問題なく通過。全体として天気も良く雪質も非常に素晴らしい中でシール登行出来たのだが、嘉村と吉田はふかふかの新雪でのシール登行は初めての経験ということもあり、非常に苦労した。特にラッセルに関しては、縄は「そんなにしんどくないで〜」と言いながら軽々こなしていたが、実際にやってみると足先が雪に埋まってしまうなどなかなかうまくいかず、かなりキツかった。

奥に見えるのが最初の沢

 外輪山稜線から妙高山カルデラへの滑走では、嘉村にとっては初めての本格的な山スキーということもあり緊張を伴うものであった。やはりインザックを背負っての新雪の滑走はとても難しく、途中で何度も転んでしまったが、誰もいない雪面にシュプールを付ける快感は得難いものであった。

外輪山稜線からの妙高山

その後ほぼ平坦なカルデラの中を進み、頃合いを見て大倉尾根に登った。斜面がやや凍っておりひやりとする瞬間もあったが、段々と慣れてきたように思える。吉田はシール登行でのターンに苦しんでおり、最終的にシールを外して登っていた。その後大倉乗越から滑走し、黒沢池ヒュッテで再びシールを付けシール登行。ここで嘉村が足の疲労に靴擦れが重なり疲労がかなり溜まっており、しんどい局面だった。その後茶臼山から軽く滑走して高谷池ヒュッテを探したが、なかなか見つからなかった上に日も沈みかけていたので、適当な場所で幕営した。どうやら滑走時に下りすぎていたようだった。テント内でシールを修理し、明日のアタックに備え就寝。

大倉乗越 ここから幕営地へ滑走

※  実は、嘉村の板&シールはOBの方から譲り受けたもので、頂いた時点でもう片方の留め具が既に同じ壊れ方をしていた。その修理を前々日にしようと神田のIスポーツに向かったが、在庫が無く、その後神田の山スキーを取り扱う4,5店舗に問い合わせたがどこも在庫がない状態であった。3月という時期に加え、最近では部品を取り扱う店が非常に少なくなっているとのことだった。結局出発日当日に神田のたまきスポーツというお店が取り扱っているという事で、時間もなかったので部品だけ購入し、車内で自分で修理していたのだ(キットを金属の留め具にはめ込むだけなので、ナイフなどを用いれば自分で出来なくもないのだ)。

幕営地での夕焼け


2日目
天候:晴れ後曇り

  7:10 出発
  9:30 火打山登頂
10:00 滑降終了
11:00 天狗の庭北面滑走スタート
12:30 帰幕
13:00 幕営地出発
15:00 三田原山山頂
17:50 下山

 出発早々に高谷池ヒュッテを見つける。どうやら他にもパーティがいるようだ。最初の平地を順調に歩みを進めると雄大な火打山が目の前に見えてくる。こんな所を本当に滑れるんだろうか⁉︎と思いつつ徐々に登り始める。アイス気味になってやや恐怖を感じ始めた1ピッチ目終了時にスキーアイゼンを装着。火打山の手前で一旦平らになり、再び登り始めるところでアイゼンに履き替える。前日からの靴擦れが余計に痛く、やや辛かったが順調に登り、無事登頂!

3人で撮りたかった、、

 ホッと一息休憩を挟み、いざ滑走へ。サブザックということもあり前日よりは怖さはなくなっていたが、やはり最初は非常に恐怖を抱いていた。しかし、滑り始め、ゆっくりターンしていくと、素晴らしい展望の中、山頂からシュプールを描く素晴らしさに包まれ自然に興奮に変わってゆく。あっという間に下ってしまい、物足りなさを感じるほどであった。



 














僕たちだけのシュプール

その後は時間もあったので天狗の北面も滑走した。徐々にではあるが、新雪に慣れ始め、程よい斜面ということもあり純粋に滑走を楽しむことが出来た。もっと新雪での滑走を練習したい。

BCスキー初心者でも楽しめる斜面でした

帰幕し、メインザックを背負い下山する。黒沢池ヒュッテからは三田原山への急登だが、湿雪でシールにどっしり雪がひっついてしまい、足が今までの何倍も重く、思うように進めない。先頭のラッセルはさらに苦労し、ほとんど力になれなかった。振り返ればここでの登りがこの山行で一番しんどかったと思う。なんとか登り切り、そこからは滑走するだけかぁとホッとしたのも束の間、そこからもまたしんどい時間帯だった。まず足が疲労しきっており体重を支えるので精一杯、そしてしかも長いトラバースに加え樹林帯で雪質もあまり良くなく、あまり気持ちよく滑れる状況ではなかった。さらに、下部で一番危険度が高い沢の横断において、滑走するには斜度が大きいということで板を外して横断することになった。

 こうしてヘトヘトの状態でなんとかゲレンデ上部に帰還した。しかし日が沈みかけているということで急いで滑り降り、なんとか日が沈む前にゴンドラ乗り場に戻ることが出来た。最後はゲレンデの圧雪された斜面でさえパラレルではなく八の字で下っていくざまであった。これを機に筋力増強に励みたい。

2020年3月8日日曜日

20200308_木曽駒ケ岳


2020/03/0809 木曽駒ケ岳(西駒ケ岳)

メンバー:L箱守(3)、近江(3)、松坂(1)(記録)



今回の山行はもともと中央アルプスの縦走の予定だったのですが昨今の諸々の世間の事情を考慮して、やむなく木曽駒ケ岳のみにしたものです。なぜ木曽駒ケ岳にこだわったのか。私は計画者ではないので察することしかできないのですが、きっとしらび平から千畳敷に通じる駒ケ岳ロープウェイが運休していたからでしょう。駒ケ岳ロープウェイは基本通年営業ですが、今はロープウェイ支柱の変形により運休しています。したがって、千畳敷には人が皆無のはず。人のいない木曽駒は珍しい。



3/08
天候:雪
10:50ゲート
11:15桂小場11:40
13:10野田場
14:05大樽避難小屋
14:30幕営地2250m地点
新宿から高速バスで伊那バスターミナルへ。すでに雨が降っていたのでバスターミナルで準備してタクシーにのって冬季ゲートへ。冬季ゲートでも雨が降っている。桂小場の登山口までの林道は今朝降ったであろう雪に覆われていた。桂小場から登山道に入っていく。桂小場から馬返しまでは樹林帯のつづら折りの道であり、とても単調だった。馬返しから先は尾根上の道をいく。ところどころ急登があったが、しばらくして大樽避難小屋につく。大樽小屋にとまるか話し合っていたが、大樽小屋に泊まるのはあまりにも甘ちゃんだということと明日の天候を加味して、もう少し先でテン泊することにした。



3/09
5:20出発
7:20将棊頭山
9:20木曽駒ケ岳9:57
11:10伊那前岳
15:10北御所登山口
16:50駒草の湯
ヘッドランプをつけて暗いうちから歩き出す。昨日の雪で少しばかりトレースが消えていたが、あまり問題なく進んでいく。稜線上で日の出を見たかったが、尾根を登っている最中に太陽がでてきた。森林限界に出る前は雪がある程度柔らかかったが、森林限界にでると雪面がクラストしており、歩きやすい。この日の天気は無風快晴で天気もいい。中央アルプスの稜線上は風が強いと聞いていたので拍子抜けだった。何度かピークを上り下りして、将棊頭山へ。木曽駒ケ岳が長い稜線の先によく見える。すごく遠くに感じる。
稜線の先に木曽駒ケ岳
貸し切り状態の稜線



一旦下ってから、木曽駒に向かって登り返していくが、時折なかなかの急登。しかし、危険な場所は特になく、歩き続けていたら馬の背まで上がっており、少し歩けば山頂だった。雲一つない綺麗な青空で四方の山々がよく見渡せる。ただ暖かい、というか暑い。ロープウェイが止まっているからか人が他に一人もおらず、我々の貸し切り状態だった。一通り山頂を満喫した後、下山開始。斜面を下ったのち、中岳を登り返す。最初はトラバースしていけるかなという感じだったが、無理そうだったので途中から登り返した。宝剣山荘までくると千畳敷の様子が見えるようになる。人が全然いない。ただ除雪している人はいた。伊那前岳までの登り返しは雪が少し深く、またアイゼンに雪が多くつき面倒くさかった。伊那前岳から先は踏みぬきが多く、暑さも相まって頗る疲れた。うどんや峠から先は雪も少なくなり、踏み抜きはなくなり、夏道が顔を出すほどになってきた。蛇腹沢登山口から北御所登山口までは林道だったが結構整備されていた。北御所登山口からバスで帰る予定だったが、バスが土日祝日しか運行しておらず、駒草の湯まで歩いた。


2020年2月24日月曜日

20200224_八ヶ岳登攀合宿

2020/02/24 八ヶ岳登攀合宿
 2年の福田です。ここ数年2月の恒例行事となっている八ヶ岳の登攀合宿に今年も行ってきました。去年と比べ登攀技術も上がっていることから今年はより活発に合宿を行うことを念頭に置き計画しました。多少変更した部分はあったものの、概ね計画通りに行程を実施することができ、実り多い合宿になったと思います。以下に行動結果と記録(一部)を載せます。

2020/2/25 八ヶ岳登攀 中山尾根               
天気:晴れのち曇り
メンバー:L新垣(2、記録)、福田(2)
前回フォローで登った中山尾根を今度はリードで行った。
行者小屋から中山乗越まで行った後、適当に尾根上をあがっていくと取り付きまで行ける。
1P:手が悪いフェース。福田は足を痛めていたようで時間はかかったが突破。良いバイルがあれば難易度は大きく変わってくるだろう。
2P:大きな岩の右の凹角か左のスラブだが我々は左を行った。ここも手が悪い。雪が少ないことも関係しているかもしれない。
3P:簡単な雪稜をコンテ。150mほど。
4P:凹角からチムニーへ。核心ではあるが、ステミングで体を安定させることができ、ホールドも豊富。小ハングを越えて終了。
5P:縦走路までの約30mを慎重にトラバース。
下降は地蔵尾根から行者小屋。
ビレイステーションの支点はハンガーボルトであり、途中支点も多く取れる。中級ルートで
はあるが比較的安全に冬季登攀トレーニングを積めるおすすめのルートである。



2020/02/25  小同心クラック
メンバー L畑中(3)、縄(3、記録)
天候 晴れのち雪
コースタイム 6:30行者小屋-8:30取り付き-(3p)-10:30トップアウト-11:00横岳-11:50行者小屋

前日に行者小屋にテントを張りこの日いきなり行ったことないルートなので個人的には緊張。実は2017年秋にこのメンバーで一度小同心クラックの計画を立てていたのでリベンジの意味合いもある。
取り付きまでは赤岳鉱泉方面に抜けて大同心稜の踏み跡を辿って行く。取り付きまででそれなりに高度を稼ぐ。凍りついているので途中でアイゼンを履いた。よく核心と称される小同心取り付きへのトラバースは薄いトレースとそれなりに締まった雪で問題なかった。下降ルートの一つである大同心からのクライムダウンも見た目は大丈夫そうだった(結局今回は使わなかった)
顕著なクラックを見つけて登攀準備。縄はクライミングが久しぶりなのでとりあえず1p目は畑中にリードをやってもらうことになった。
1p 30m 畑中リード ガバが多くテキパキと進んでいけるが支点がはじめ見当たらない。カムが使える場所もあまりなく10m以上登ってクリップ。ハンガー2つあるところでビレイ支点
2p 30m 縄リード さっきテキパキ進めるとか書いたけど、それは畑中がリードしたからであって、リードとなると怖い。怖いので支点を取りたいし、実際取れるのだが、支点作る際にオーバー手袋だといちいちカラビナに噛んでそのうちにふくらはぎが悲鳴をあげて余計に怖いって感じ。おまけにクラック沿いに行くはずなのに途中からその左のカンテみたいなのを登ってしまった。残置は一応そっちも豊富にあった。時間かかったしゴーグルは落とすし力尽きたので最後のチムニーチックなハングの手前で無理やり切って畑中にパス。畑中にフォローで運良くゴーグルを撮ってもらえた。ゴーグルはヘルメットの歯の部分か、ヘルメットの下の部分につけるべきなのだろう。
3p 30m 畑中リード 本来は2pであるところのチムニーハングを超えてもらって、一息つくとちょっと傾斜のきついクラックがあって縄なら面食らう。手はガバではある。それを超えたら特にない。
やや残ってて先の状況がわからなかったのでもう1ピッチ適当に伸ばし(出さなくてもよかった)トップアウト。
横岳への登りは右側を巻いた。特に悪場はなかった。あとは稜線同士に歩いて地蔵尾根から行者小屋へ。昼過ぎから雪との予報より早まって、11時ごろから雪が降り始めた。


2020/02/25  八ヶ岳 縦走
メンバー:L(2)、土田(1)、松坂(1、記録)
天気:晴れのち雪
行程:行者小屋6:308:00赤岳8:159:40横岳(奥ノ院)~10:45硫黄岳~11:45赤岳鉱泉11:5512:30行者小屋

朝からよく晴れていて、眺望が期待できる。文三郎尾根をずんずんと進んでいきたかったのだが、急登がなかなかに辛い。朝食をリバースしそうになりながら中岳との分岐ですでに虫の息である。ほうほうの体で赤岳に到着。360°の大展望だが、少し雲行きが怪しい。崩れる前に帰れるか。赤岳からは気持ちのいい稜線歩き。横岳は梯子やらなにやらが設置されているため大して怖くない。風もそこまで強くなく、快適に進んでいく。なんだかんだで硫黄岳に。風がつよいことでおなじみの硫黄岳でも風はそんなに強くない。ただ、少し雪がちらついてきた。下り始めるとすぐに樹林帯に入るため雪は気にならなくなる。つづら折りに斜面を降り切って、しばらく歩くと赤岳鉱泉に着く。赤岳鉱泉のアイスキャンディーでは数人がアイスクライミングをしていた。赤岳鉱泉から行者小屋までの道はたいしたことないと思っていたら、意外と中山乗越まで登り、かったるかった。中山乗越から少し下ると行者小屋。


20200226 阿弥陀北稜
メンバー
A隊 L(3)、松坂(1、記録)
B隊 L新垣(2)、林(2、記録)、土田(1)
天候:晴れ
行動概要:
9:30行者小屋 発
11:05ジャンクションピーク
11:40取り付き
13:40登攀おわり
14:00山頂
16:00行者小屋 着

この日は遅い時間から天気が回復する予報だったので、出発をいつにするかで議論があり、グダグダした末、9時くらいに待っていても仕方ないので出発しようということになった。行先は当初は赤岳南峰リッジの予定だったが、ガスでルーファイの難易度が挙がることを考慮して阿弥陀北稜に変更した。

 まずはジャンクションピークを目指して歩く。ジャンクションピークまではラッセルする箇所もあったが、夏道を踏めればスムーズに歩くことができた。
 私は記録係なのに歩くときに注意が足らず、ジャンクションピークは気づいたら越えていた。新垣に「今ジャンクションピークだったねー」と言われ、なんだかもったいないことをしたような気持ちになった。
 ジャンクションピークから30分程度で取り付きに到着した。新垣は去年少し巻いたところから登ったらしい。今回は手前から登った。まずA隊の縄さんがリード。少し難しそうにしていた。次にB隊の自分がリード。少し右側に巻くようにして登った。汚い登り方だったと思うが、怖かったので仕方ない。終了点は豪華なボルトがある。
 2ピッチ目・3ピッチ目は特に難しい箇所もなく、岩稜歩きのような登攀だった。プロテクションがとりにくかったが、落ちることもなさそうなので、ま、いいかな~と思った。
 
 3ピッチ目を終えて、少し休憩した。この日はやたらと暖かく、オーバーグローブがなくてもいいくらいの陽気だった。気持ちいい~~
 ここから少し歩けば山頂に着く。同じ日に阿弥陀北西陵に出ていたパーティと運よく合流し、掘り出した標識の前で記念撮影をした。ガスが立ち込めていたが、TUSACのアイドルこと新垣と東海のギャングの異名を持つ土田の二人と写真を取れて、喜びもひとしお。

 帰りは道を間違えないよう、慎重に下った。下山で道に迷って遭難する事故が起きているが、なるほどこれは注意しないと自分も失敗するぞと思った。途中からは雪と風が体につらく当たったが、2時間ほどで行者小屋のベースに帰還できた。非常に充実した、たのしい登攀ができたので、大満足だった。


2020/02/26 阿弥陀北西稜
メンバー:L畑中(3)、福田(2、記録)
天候:霧時々雪
行者小屋9:40-ボルトのあるテラス12:00-14:00阿弥陀山頂14:10-15:40行者小屋

1年前の時点ではこんなにも早くこのルートにトライできるなんて思ってもいなかった。周りの人と環境に恵まれたのは幸運だ。ただ、天気は思わしくなく、前日から雪が降り続いている。ガスで視界は20mほど。午後にかけて天気が好転していく予報なので、朝からゆっくり過ごし、視界が多少良くなってきたタイミングで出発した。
行者小屋から少し降って取り付きを探す。事前のリサーチに拠れば黄色と緑のテープを探してそこから左に入っていくようなのだが、緑のテープが見つからない。(後から調べたところ緑の“テープ”ではなく“ロープ”でした先輩ごめんなさい。)仕方がないので適当に目星をつけて膝ラッセル。だいぶ手前から入りすぎたようで、何本も小さい尾根を越えてようやくトポにある開けた涸れ沢に出た。そこから先は踏み跡はあるにはあったが前日の雪でほぼ埋まって結局ラッセル。痩せた稜上に出たところで雪が少なくなり氷が出てきたのでアイゼンをつけたが、それも一時的ですぐ上からまたラッセルになった。あたりはずっとガスがかかっていて自分がどのくらいの高さを登っているのかまるで見当がつかない。気づくと目の前に岩があった。おそらく下部岩稜だろう。岩にエビの尻尾が大量についていて少しいやらしかったがここはノーロープで通過した。
さらに少しいくと立派なボルトのあるテラスに到達した。右に顕著なバンドが伸びていて、少しいくと左上するルンゼ状にルートが取れそうである。ただこれも前日の降雪で悪そうに見え、少し話し合ってバンドを経由せずリッジを直登することにした。ここからロープを出してこのピッチは畑中さんリードで。これは晴れてたらすごい高度感なんだろうなとか思いつつガスっているので何も感じずに通過した。続くピッチは福田リードで同じようにリッジ歩きでこれも立派なハンガーボルトまで。ここからルートは右のクラックか左にトラバースして凹角のスラブかの2通り取れるようだ。右のクラック直登はエビの尻尾しか見えなかったので左にルートをとる。畑中さんリードでトラバースしてそのまま核心に突っ込むのかと思っていたら、思ったより早くビレイ解除のコールがかかりいってみると核心手前でビレイしていた。核心は自分がリードすることになった。
出だしは2mほどの垂壁で、スタンスはしっかりしているのでそれほど苦労はしない。バンドに乗り上げたところからトラバースになり、手はガバフレークがあるが積雪により足元が悪い。雪の下に地面があるのか灌木なのかわからないが、とにかく落ちないことを願って通過した。トラバースが終わるといよいよ核心のスラブで、スラブ面へマントルを返すところから始まる。スラブ面に乗り上げ、右のカンテにバイルをかけて足を上げていく。装備の総数の関係でバイルが一本しかなく、不安定な体勢でのバイルの持ち替えを何度も強いられ辛かった。もがきながらジリジリと足を上げていくが上に行くに従って足がなくなっていく。冷静になって次のムーブを考えるがなかなか思い浮かばない。目の前の残置スリングを掴みたい衝動を抑えつつ、左手に持ち替えたバイルで遠いフレークにフッキングし、左手一本と両足アイゼンスメアで右手遠いガバを立ち上がって取ってなんとか越えた。5mほど先のハンガーまでロープを伸ばし、ビレイ解除のコール。長かった。支点を作って畑中さんを迎える。そのあとは山頂までノーロープで歩いた。視界がなくいつの間にか御小屋尾根に合流して、しばらく歩いて目の前に見覚えのある人影があると思ったら北稜を登り終えた新垣、林、土田だった。山頂で記念撮影をし、下降は雪崩のリスクが高い中岳沢を避けて文三郎道から下った。16時前に北稜隊も全員揃って行者に戻った。
会心のクライミングだった。またこんなクライミングがしたい。心残りは記念写真のポーズを2人ともミスって田舎のコンビニにいるヤンキーになってしまったこと。

2020/2/27 石尊稜

メンバー:L畑中(3、記録)、新垣(2)
天候:曇り時々晴れ、強風

行者小屋6:00-間違いルンゼ終点8:00-石尊稜取り付き8:50-登攀開始9:00-上部岩壁11:30-縦走路13:00-行者小屋14:00


この日は朝から寒い。八ヶ岳っぽい冷え込み。行者小屋から中山乗越を通過し赤岳鉱泉の方に降る。途中にある橋の少し手前から側のロープを潜り石尊稜に続くはずの踏み跡に入る。雪が降った後なのである程度埋まっており、脛から膝くらいのラッセルになる。しかし踏み跡に従ってルンゼを詰めていっても取り付きが見えない。おかしいなあと思いつつも進む。するとハングした岩壁に突き当たる。流石におかしいので一応右手の稜に登って現在地を確認すると、1つ深いルンゼを挟んで南側にめちゃくちゃ石尊稜っぽい尾根が見える。チーン。何も考えずトレースに従ったらこの結果、恥ずかしすぎる。降りてラッセルし直すのめんどくさいなあなんて考えながら思い当たる分岐まで降って逆の分岐(南側)に入る。下山後に色々な方のブログを見ていると、2/24に無名峰南稜というルートにトライされている方がいたので踏み跡はその方だと思う。トレースは埋まっていて全く無いが、軽すぎる雪のラッセルをこなしながら何とか取りつきらしい所に到着。取りつき直前のリッジは傾斜もあり少し悪い。岩壁少し手前の平らなところで用意をし、スタート地点へ。ハンガーボルト2つあり。リードは奇数畑中、偶数新垣。

1P
フェースを直上する。雪でべったりと覆われており払い除けながらの登攀となる。ホールドは少なく、アイゼンで確実にスタンスに乗り込んでいく必要がある。中間支点にはボルトが打ってあるが、なかなかに緊張する。傾斜がキツくなる上部の手前にある雪と草付きのバンドに沿って左にトラバースしてほぼリッジ上の潅木でビレイ。

2~4P
傾斜のある岩と灌木混じりの雪壁を3ピッチ。支点は主に灌木。基本的にはただの歩きだが、所々悪い。

5P
傾斜も落ち、両側が切れ落ちた綺麗な雪稜となる。確保はせずにコンテで進む。風が強くてかなり冷える。上部岩壁の取り付きにはハーケン3つにスリングが巻いてあるのでそこで支点を作成。

6P
新垣リードで取り付くが、明らかに岩壁の大部分が海老の尻尾で覆われていてコンディションは悪い。ここでも下調べ不足が響いて、正規ルートなのか判別できないまま登り出す。ビレイ点でゼロピンを取った後に5mほどランナウトし中間支点も取れていない。リスクが高いと判断しクライムダウンしてきてもらう。他に登れそうなところも無いので、敗退も考えたが、上部岩壁の基部をトラバースしていけばなんとか縦走路に抜けられそうだ。そこでトラバースを開始する。

7~9(全て畑中リード)
ビレイ点は順にスノーバー、ピナクル、縦走路の杭の順で作成した。傾斜があり所々緊張するが、アイゼンでしっかり蹴り込めば大丈夫。中間支点は取らなかった(というより取れなかった)

なんとか縦走路に辿り着き、ロープをしまう。その後地蔵尾根を下降し行者小屋へ。今回の登攀は取り付き間違いから始まり、精神的に疲弊した。取り付き間違いの原因は下調べ不足と踏み跡への盲信なので、猛省。直前にメンバー変更で石尊稜に行くことになったが、BCを作り、1日単位で計画されている今回のような山行では行く可能性があるルートは全てきちんと調べておくべきだった。上部岩壁のルートも結局は最初に登り出したルートで合っていた。上部岩壁は登れなかったが、自分で登れそうな箇所を見出し、縦走路にトップアウトできたことは良い経験になったと思う。

2020/2/27 赤岳主稜
メンバー:縄(3)、林(2)、土田(1、記録)
天候:晴れ
6:15 行者小屋
7:30 取り付き
15:05 登攀終了
16:00 行者小屋

 冬季の登攀は他の時期に比べ凍傷などの危険がつきまとうため、より一層時間に対して厳しくしなければならないが今回の赤岳主稜の登攀は取り付きから登攀終了までに先行待ちなどはなかったのにも関わらず7時間30分以上要してしまった。当然登攀中の時間は強風にさらされることになり凍傷になるリスクも高かった。幸いなことに凍傷になることはなかったがこれほどまでに時間を必要としてしまった原因を追求し二度と同じ過ちを繰り返さないように努めなければいけない。

 事前に予報でこの日は冷え込むということは知ってはいたが前日に比べて空気の冷え具合が数段階違っていたので驚いた。厳しいものになりそうだと薄々感じながら行者小屋を出発した。森林限界よりも下では風はないが森林限界上に出た途端風が結構強く吹いていが登攀ができないほどの強風ではないとの判断で文三郎道を外れて赤岳主稜の取り付きに向かう。文三郎道から取り付きまでがそこそこ急な斜面のトラバースでありさらに夜間に20~30cmほど降雪しており雪崩の危険性もあったことから各々距離をとって慎重にトラバースをした。文三郎道を外れる時視界はそれほど明瞭ではなくそこから取り付きは見えなかった気がする。斜面をトラバースした先に残置がある取り付きらしき場所に到達した。赤岳主稜の取り付きはCSが目印であることが有名であるがそこもCSに似ていた。ここで林がその場所よりももう少し奥の場所がCSではないかと言ってそこまで見にいった。そこにも残置があったらしい。結局最初に到達した場所から縄がリードで登ることになった。のちに調べてみるとおそらく我々が登り始めた場所は取り付きではなく林が見にいった場所が正しい取り付きだったようである。1p目はつづら岩のおけらルートみたいな岩の隙間を潜る箇所があった。体感ではこのピッチがこの登攀の中で登りにくかった場所の一つであった。また些細なことではあるがここで私はゴーグルを紛失した。

2p目も縄がリードして登ることになった。リードの人が登り初めてしばらくたったのちビレイヤーがリードの人がルベルソを忘れて登っていってしまっていることに気づいで慌てて大声で叫んでリードに知らせようとするが風が強くてなかなか伝わらない。ここに限った話ではないが強風時には声での意思疎通には限度がある。笛を吹いたとしてもこの時のような場合だと用件が伝わらない可能性が高い。やはりトランシーバーはこういう時に重宝するのだろうと思った。結局この時リードとの意思疎通に手間取り多くの時間をロスしてしまい、リードは肩がらみでビレイすることになった。

2p目の終了点で我々が通ったトラバースの跡を後続の3~4人のパーティが歩いているのが見えた。2pが終了したところでリードが縄から林に交代した。リードの交代などがあったためか私が3p目を登りはじめる前には先ほど下に見えていた後続のパーティが追いついてきて瞬く間に我々を抜かしていった。3p目は雪稜で特に問題なく通過した。しばらく経ってから気づいたがここで追いつかれたパーティの足跡は我々が進んでいた道とは異なっていて岩場を避けていて雪稜を登るものとなっていた。

4p目は開始地点から一見難しそうな岩場でありリードが行けそうになかったら引き返してリードを交代しようということになった。リードが登ってしばらくたち姿が見えなくなったところでロープが全く進まなくなってしまった。下に残っていた2人はリードが難しい岩場に当たってしまい身動きが取れなくなってしまったのではないのかと予想し大声で呼びかけたがこの時も強風のために意思疎通をとることに大変苦労した。後で聞いた話によれば岩場自体に困難はなかったが一度はそこでピッチを切ろうと思った場所があったがやはりもうちょっと少しいったところでピッチを切ろうとして先に進んだがあまり良くなく結局引き返して最初にピッチを切ろうと思った場所で結局ピッチを切ることにしたために時間を使ってしまったということである。

続く5p目は最初の方は少し岩登りで後半は雪稜を登るピッチであった。その後の6p目は雪稜だったこともありそのままスタカットの方式で行くことになったが先頭で登っていた人が途中にあった岩場が案外悪いことに気づきfixを張ることになった。Fixを張ったのちに私は登攀を再開したが下のビレイ点で私に繋がっていたロープが絡まってしまったようでそれを解くのに結構手間取っていた。そこでおそらく10分ぐらい待機したように思える。これ以降岩場は特になくただ雪稜を登るだけであった。そして15時を過ぎた頃に赤岳北峰の少し北側に到達し登攀終了となった。この時視界は悪くロープを畳んですぐさま地蔵尾根方向に下山を開始した。そして16時頃に行者小屋に到着した。既に行者小屋に到着していたメンバーは我々のパーティが帰ってくるのがあまりにも遅かったため結構心配していたらしい。大変迷惑をかけることになってしまい反省である。

以上に見たように今回の登攀はいろいろな時間ロスが積み重なって結果として長時間の行動となってしまった。これまで書いたことに加え、毎回ビレイをセットする時、解除する時、またセルフをかける時、外す時に環付きが凍結してしまい凍結するたびに息を吹きかけて解凍していた。これは①凍結しにくい環付きを使用する②セルフを取るときにインクノットで取る で解決できたことであった。これらの原因が積み重なって時間ロスを招いてしまったがやはり最大の要因は意思疎通の不自由さにあったと私は感じた。ロープの引き具合で判断するというのが理想的かもしれないが不確実性をどうしても孕んでしまう。また今回のようにルベルソを下に忘れてしまったといった特殊な事例に遭遇したときにどのように意思疎通をとるべきなのかということを最も手取り早いのはトランシーバーの導入であろうが検討する必要を感じた。私にとっては初めての本格的な冬季登攀であったが今回の赤岳主稜の登攀は私に冬季登攀の厳しさを垣間見させるものとなった。

2020/2/28 八ヶ岳 阿弥陀北陵
メンバー: L福田(2)、新垣(2)、岡本(1、記録)、嘉村(1) 
天候:曇りのち晴れ 
8:00行者小屋 9:00ジャンクションピーク 9:30取り付き 11:00登攀終了 12:00行者小屋 

 天候があまり良くなかったため赤岳主稜は断念し、前日に登攀した阿弥陀北陵にもう一度行き、1年生が初めてのリードを経験することにした。中岳沢の途中から稜線に上がり、稜線を登って岩綾までたどり着いた。前日の踏み跡があったため、順調に進無ことができた。1年生がリードを経験するため、新垣と嘉村、福田と岡本の2パーティーに分け、1年生がそれぞれ別のピッチでリードを経験した。1ピッチ目では、嘉村がリードを経験した。初めての外岩でのリードの様々なセットに手間取りつつも、前日に登攀しているため割とスムーズに登ることができた。2ピッチ目では、岡本が初めてのリードを経験した。難しいポイントは一切無かったため、初めてだったが恐怖をあまり感じることなく登ることができた。1,2ピッチ目共に、終了点にはしっかりとボルトが打ち込んであり、捨て縄もあったため分かり易かった。3ピッチ目は両パーティーとも2年生がリードをした。前日に登攀しており、また2パーティーに分けたこともあって、1時間半でトップアウトできた。下りは、前日と同様に中岳沢を下った。雪崩の危険性を考え、一定の間隔を空けて下った。赤岳に登頂できなかったことは残念だったが、初めてリードを経験することができ、前日の反省を活かして登攀できたため、大変いい経験になった。
 


2020年2月23日日曜日

2020/2/23-27 南アルプス漂泊

新倉〜峰山尾根〜二軒小屋〜大井川西俣〜北俣尾根〜塩見岳〜三伏峠〜鳥倉


メンバー:L三浦(OB、M2)、近江(B3)、箱守(B3,記録)

北俣尾根は塩見岳東峰から南に直線的に伸びる尾根で、大井川西俣に落ち込んでいる。かつては登山道として利用されていたようだが、今では年に数人入るかどうかくらいのマイナールートになっている。そんな尾根に冬に行こうというのは三浦さんの発案。三浦さんにとっては3回目(?)となる挑戦に現役の我々も誘われた形となった。最初の挑戦は前河内東尾根から西俣におりる計画だったがラッセルが深く敗退、2回目は伝付峠を越えて二軒小屋から西俣林道を詰めようとしたがメンバーの怪我でエスケープしていたようだ。

2/23 

晴れ
8:15 橋
9:00 峰山尾根取付
16:00 2041m手前で幕営

前日深夜に身延駅にバスで到着し、駅近くで適当にビバーク。寒かった。朝一の奈良田温泉行きのバスで新倉までは1時間ちょっと。「ヘルシー美里」と「新倉」のバス停の間にある橋で降ろしてもらい、橋を渡った先の廃林道を20分ほど歩いた大きくカーブする場所を取り付きにした。
峰山尾根取り付き。写真右手の斜面を登る。
ここで準備していよいよ出発するが荷物が結構重く感じた。25kgくらい?はじめ、尾根の最下部はかなりの急登で細く、さらに脆くて滑りやすいので一歩一歩気が抜けない。1ピッチ目からしんどくなって疲れた。が、休憩のタイミングで三浦さんを見ると余裕そうな顔をしているので、多分現役がこういった不整地な急登に慣れていないのが大きい原因なんだろうな。2ピッチ目も傾斜は多少緩くなるがピッチ終わりにはグロッキーになっていた。
峰山尾根下部の急登
1040mくらいで左からの尾根と合流すると傾斜は一気に緩くなり、昔の仕事道が現れる。仕事道はかなり明瞭で、追っていくと1160.5mの三角点を南から巻きながら楽に進むことができた。その先、尾根が細くなってからは仕事道か獣道のような踏み跡を辿りながら疎林をサクサクと進むことができる。道中は数多くの鹿に会った。あと大量の鹿の糞。気づかぬうちにたくさん踏んでいた気がする。雪は1700mくらいから徐々に現れ、やがて軽いラッセルになる。1900mあたりから樹間が狭くなりザックが引っかかりやすいこともあって、そうなるとペースはガクンと落ちた。この日中に稜線まで行きたかったが2041m付近でタイムオーバー。適当な場所を整地して幕営。
夜はα米に各自が好きに用意したものを合わせることにしていた。近江と三浦さんはそれぞれレトルトパウチでカレーと魚を持ってきていた。自分はというと包装も剥いたフリーズドライの親子丼。余裕だね〜とか揶揄いながらも美味しそうな匂いが羨ましかったりした。


2/24 

晴れ
6:00 出発
9:00 稜線
11:30 伝付峠の少し手前
12:50 二軒小屋
16:15 西俣坑口予定地の先で幕営

2日目。明るくなるくらいで出発。稜線までは2時間くらいかと思っていたが樹間が狭く、雪も膝くらいまでの深さになり結局3時間かかった。
朝の峰山尾根。晴れてると気持ち良い
漸く稜線に出て少しは楽になるかと思ったがそんなことはなく、途中からワカンを履きながら二軒小屋分岐まで2時間以上かかった。この日は快晴で気温も高く、重い雪がしんどさを増長させていた。分岐では長めに休憩。この先電波が入らない区間が長く続くので、天気予報など必要な情報は最新のものを入手した。どうやら翌日午後〜翌々日朝が風雪になり悪そうだった。
二軒小屋分岐
そんなことがわかったところで出発して二軒小屋まで降る。この区間は新しめの登りの単独トレースが続いていた。結局伝付に直接出る道は通れたのだろうか。二軒小屋は休日ながら事務所に人はいた。建物も大きく、こんな山奥に…!と圧倒されるものだ。小屋でも特にやることはないので、休憩もそこそこに西俣に向けて歩き出す。林道を歩き始めてすぐに倒木が現れ、西俣林道が去年の台風のあとほとんど修復が進んでいないことを悟った。リニアの工事だから今の期間も修復が少しは進んでいるかと思っていたので意外だった。二軒小屋トンネルを超えて分岐を左に入り、西俣へ。発電所の横を降り最初の橋を渡ろうと思ったら流されていた。
最初の橋
林道はこんな状態に…
仕方がないので左岸をへつって適当なところで飛び石渡渉で対岸の林道に復帰。その先もこんな調子で台風の影響が強く、林道がかなりズタボロだったので流された橋も当てにせず、歩きやすそうなところを歩いて林道が残っていれば林道をできるだけ歩いて先に進んだ。道中、飛び石で渡渉できるところは飛び石で渡渉したが、飛び石では厳しいところもあり、この日は2回裸足で渡渉した。水量はせいぜい脛くらいだが、なんせ2月なので水が超冷たい。もはや痛みで感覚が麻痺する。これは黒部横断とかになるとさらにやばそう。ちなみに近江はビーサンで渡渉しようとしたが見事に脱げてなくしていた。ドンマイ。
「あっっ!ビーサンが!」
暫く進むとだだっ広い西俣の坑口予定地に着いた。多くの資材や重機、プレハブ小屋が残されており、そこに至る林道の惨状を考えるとあまりに異様な光景だった。相当ボロボロのように感じられたがリニアの工事だけあって夏には復旧しているのだろうか。ちょっと想像できない。
抉られた林道。奥が坑口予定地
坑口予定地を過ぎると林道は一段と古いものに感じられた。適当に林道跡を辿り、16時過ぎになっていたので適当なところで幕営。水が簡単に手に入るので楽だった。久しぶりに夏のように伸び伸びと過ごせ、快適な夜だった。
冬の焚き火は燃えやすく暖かい



2/25 

晴れ→曇り時々雪
5:50 出発
7:35 慣合堰堤
9:20 北俣尾根取り付き
14:20 2560mで幕営

3日目。パッキングが楽な朝だった。出発して、前日と同様に歩みを進める。廃林道は右岸にあり、我々も右岸をずっと歩くことになった。時々大きな崩落地があり、部分的に気が抜けないガレのトラバースが出てくる。暫くすると潰された西俣側起点の看板の先に立派な堰堤が現れる。
ガレのトラバース

堰堤
堰堤を左から超えた先には台地状の慣合集落跡が残っている。かつてここに集落があったなんて、改めて信じられない。小西俣を左に見て裸足で渡渉し、中俣の右岸を進む。渡渉終わりから1時間ちょっと歩いて北俣出合に到着。ここが北俣尾根の取り付きだ。中俣を裸足で渡渉し、取り付きで再び準備する。結局西俣での渡渉は7-8回(うち裸足が4回)だった。
最後の渡渉
北俣尾根は取り付きから雪がついておりアイゼンをつける。序盤はかなりの急登だが、樹木が豊富にあり、木登りの要領で気を掴みながら登ることができる。また、青のマーキングが一定間隔で見られ、自然と登りやすいところを登っているとマーキングが続いていた。
尾根下部の青とピンクのマーキング。ピンクは最近のもの?
天候はこの登りの途中から悪化してきていて、小雪とともに時折風が樹々を揺らしていた。2100mあたりを超えると尾根ははっきりとしなくなり、一面雪の斜面となるので、地図上で左側に伸びている尾根筋に合流するために左斜登高するよう心がけた。雪も深くなってきて、先頭を3人で交代しながら順調に高度を稼ぐ。2350mあたりで明瞭な尾根筋に合流し、膝ほどの雪をラッセルしながらさらに高度を上げる。予定していた2555mには14時頃につき、その地点から少し先に進んだ窪地で幕営することにした。テントを張ったのち、近江と三浦さんはトレース作り&上部偵察のため空身で森林限界の2687mまで往復し、箱守はその間水作りをしていた。この地点では電波は流石に入らなかったがラジオはよく入った。この日の夜から翌未明にかけてはやはり雪になりそう。案の定その日は20時〜5時くらいまでテントに湿雪が吹き付け、あまりよく眠れなかった。雪かきをするほどではなかったが時折テントが倒れかかってきて退けるのに叩いてやる必要があった。


2/26 

曇り時々晴れ
6:20出発
7:20 2687m
9:30 ジャンダルムと塩見岳のコル
10:10 塩見岳東峰
13:10 塩見小屋
15:30 2512mで幕営

夜半に降った雪は30〜40cm程度で、昨日つけたトレースは埋まってしまっていた。撤収もいつもより時間がかかった。少し視界が悪い中出発し、記憶を頼りにできるだけトレースを追って1時間ほどで2687mに到達。装備を整え直し、進むが再び樹林帯に入る。このちょっとした樹林帯は本山行のしんどさの極みであるかのような星三つの区間で、膝上〜腰のラッセルに加えて落とし穴がそこら中にあってハマる。30分ほどかけて漸く抜けると、青空が広がる森林限界上に出た。霧氷が美しいダケカンバ帯を抜けると美しい雪稜が続いており、アイゼンで気持ちよく登ることができた。
綺麗
気持ちの良い尾根
右が塩見ジャンダルム、奥が塩見岳東峰

目の前の斜面を一息登ると2941mのジャンダルムの肩に出て、荒々しい岩峰群が目に飛び込んでくる。振り返ると登ってきた北俣尾根と荒川岳の北面が美しい。ジャンダルムは地図の通り西側の傾斜が緩やかなので、計画通り巻きつつ塩見とのコルまで登る。直登しても楽しかったかもしれない。ここでは箱守が先頭を歩いていたが、稜線に上がるタイミングが少し早かったのでもう少し下をトラバースしてからコルに出てもよかった。コルからの登りは地図上でも急なので警戒していたが、ルーファイに気をつけて登れば難しい箇所はほとんどない(1箇所左から小さく巻いた)。ただ、北俣側が絶壁になっているので絶対に滑落は許されない。
振り返ってジャンダルムと悪沢岳
細い尾根が終わり雪面が広くなるとすぐに山頂。3人でグーパンチを交わす。思えば山を越え谷を進み2日半かけてやっと取り付きに着いた尾根から登頂したのだ。この上ない達成感と喜びに包まれた。一通り写真をとりつつ休憩。雲がかかっていて南アルプス全体を見渡すことはできなかったが十分良い景色だった。
良い天気!
下りは夏道沿いに進むが雪の状態が悪く、途中で2ピッチスタカット。スタカット中のルーファイに時間がかかり、塩見小屋までは山頂から2時間半ほどかかった。樹林帯に入ってからはピンクテープを追いつつトラバース道を進むが相変わらず膝〜腰のラッセルが続き遅々として進まない。2時間ほど進んだところでトラバースが終わり、疲れ果てていたので幕営。無事に塩見を超えることができたので夜はちょっとした宴会に。近江と三浦さんはお酒を持ってきていて山行中少しずつ飲んでいたがこの日は結構飲んでいたと思う。私はお酒が苦手なので舐める程度にもらった。ギムレットやブランデーはどちらも度数が高くピリピリした。ひとしきり盛り上がった後はよく眠ることができた。


2/27 

晴れ
6:30 出発
10:55 三伏峠
13:05 鳥倉登山口
15:15 冬季ゲート

夜は冷え込み、テントが凍りついていたので出発に時間がかかった。すっかり明るくなってから出発し、朝からラッセル。3人で先頭を交代しながらバラバラに休憩を入れ、先頭は常に誰かがラッセルしている状態にした。基本テープが付いており、付近の昔のトレースをできるだけ追いながら進んだ。途中本谷山からの下りでルーファイを間違えたがなんとか尾根に復帰できた。
塩見岳
三伏山直前で真新しいトレースに合流し、三伏峠まで行くと三伏山を往復してきたという二人組に出会った。三伏峠から先にも彼らのトレースが新しくついていたのでそのトレースを追って進んだ。トラバースの途中でいくつか沢を横切ったが、雪崩れてもおかしくなかったので間隔をあけて素早く通過した。以前に近江や三浦さんが来た時よりは雪が多かったらしく、凍結箇所もほとんどなく三伏峠から2時間ほどで登山口に降りることができた。下山記念に写真を撮って冬季ゲートまでテクテク。途中電波が入った広場からタクシーを呼んで冬季ゲートまで来てもらった。清流苑でさっぱりして高速バスで帰京。
お疲れ様でした


インターネット上に記録が溢れている中、記録のかなり少ないルートを冬に時間をかけて登る冒険的な山行ができたのは嬉しく、貴重な経験になった。もっと冬の長期山行の経験を積んでいきたい。